おでかけ

2023.06.22

ようこそ、おおきに。映画ライター椿屋です。

みなさん、京都お好きですか? 川、お好きですか?

 

夏の京の風物詩といえば、川床! 川床といえば、貴船!!

というわけで、今回は梅雨の晴れ間の深緑を愛でに、貴船まで行ってまいりました~。

なぜなら、梅雨のジメジメ気分も吹っ飛ばすようなタイムループコメディ by 貴船、その名も『リバー、流れないでよ』が公開されると聞きつけたからでございます。

映画『リバー、流れないでよ』公式サイト

 

(C)ヨーロッパ企画/トリウッド2023

 

京の奥座敷として愛される避暑地・貴船を舞台に、オール貴船ロケで撮影された本作を手掛けたのは、京都が日本に、いや世界に!誇る演劇集団「劇団ヨーロッパ企画」。当コラムでは、三度目のピックアップですよ。読者諸君はとっくの昔に履修済だと思いますが、念のため。

 

ヨーロッパ企画についてはこちら→(【ヨーロッパ企画】京都を拠点に活動する変幻自在!な演劇集団 | デジスタイル京都 (digistyle-kyoto.com)

劇団率いる脚本家であり演出家でもある上田誠氏についてはこちら→(【舞台挨拶】劇場版『四畳半タイムマシンブルース』特別上映会後、劇団ヨーロッパ企画座付作家の上田誠氏に独占取材! | デジスタイル京都 (digistyle-kyoto.com)

 

世界27ヵ国53の映画祭で上映され、23もの賞を受賞した第1弾『ドロステのはてで僕ら』に続くオリジナル長編映画第2弾は、川床発祥の店としても有名な老舗料理旅館「貴船ふじや」に関わる面々が、ひたすらに繰り返す2分間から抜け出せなくなるタイムループ群像劇。

出ました! ヨーロッパさんのお家芸!!

(C)ヨーロッパ企画/トリウッド2023

 

お馴染みの劇団員に加えて、京都住まいの本上まなみさんや近藤芳正さんもキャストとして参加。物語の鍵を握る重要なキャラクターとして、乃木坂46の久保史緒里さんも友情出演されています。主題歌は、京都出身のロックバンド・くるり。

(C)ヨーロッパ企画/トリウッド2023

 

ロケは、貴船神社とふじやの全面協力のもと、ドカ雪が降った2023年1月に行われました。

10年に一度といわれた最強寒波の直撃にも負けず撮り切ったタイムループコメディは、どうにかして2分ループから脱出しようともがく大人たちのドタバタ感がそりゃもう間違いなく面白いのですが、冬の貴船ならではの静けさと美しさ、その風情も観どころです。豪雪に打ち勝った末の、本作でしか観られない貴重なシーンが満載でございますよ。

 

(C)ヨーロッパ企画/トリウッド2023

 

作品冒頭からループが始まり、これでもかこれでもかと2分間が繰り返されながら、少しずつ物語が進行していく大胆な構図は、向かい合って立つ料理旅館の独特な構造を巧みに利用したもの。

さすが! 上田氏の持ち味全開!!

86分のエンドレス脱出劇を、ぜひ劇場でご覧あれ。

 

平安時代から愛され続ける貴船の映えスポット

絵馬に願いを綴ったり、おみくじを引いたりするのも、参拝の愉しみのうち。実は、貴船神社は絵馬発祥の地ともいわれているのをご存じでしょうか。

「結社(ゆいのやしろ)」と呼ばれる中宮は磐長姫命(いわながひめのみこと)を御祭神とし、古くから縁結びの神様として信仰されてきました。その証に、平安時代にはあの!恋愛歌人として知られる和泉式部も参拝しはったんですから、そのご利益たるや! なので、絵馬にも和泉式部が描かれているというわけ。

 

加えて、おみくじは水に浮かべると文字が浮き出てくるというステキ仕様。ついつい動画、撮っちゃいますよねぇ。わたくしが訪れた日も、多くの観光客が自撮り棒をぐい~んと伸ばして水占みくじに挑むシーンをスマホに収めてらっしゃいました。

 

 

そんな貴船神社がロケ地となった作品で、パッと思い浮かぶのは……

『名探偵コナン 迷宮の十字路(クロスロード)』!

 

長い階段と朱灯篭がポスターにも採用されていたので、ご覧になった方も少なくないはず。また同じ場所が、『京都メロウ-金魚のこいびと-』(2018年/京都映画センター)にも登場します。

映画「京都メロウ〜金魚のこいびと〜」公式サイト 

 

いまの季節は緑と朱のコントラストが際立って、きっと和泉式部も心の中で「映え☆」と感動したはず!と思わせる、この画力。

もちろん、こちらの貴船神社を象徴するカットは、『リバー、流れないでよ』のメインビジュアルとしても使われております。はい、ドーーーン!

(C)ヨーロッパ企画/トリウッド2023

 

雪が舞う貴船神社もまた、オツなものでございますね。

門前のふじやと鳥居のショットもこんなふうに。そのまま映画の世界に迷い込んだような、いや、映画から風景が飛びしてきたような、なんとも不思議な気持ちになります。ロケ地めぐりでは、「あー!見た見た!!」という再確認の歓びが興奮を呼び起こすのはもちろんのこと、その世界観に浸る没入感もまた魅力。

 

街の喧騒から遠く離れ、水のせせらぎと鳥の囀りと風に揺れる木々の囁きに満ちた貴船は、手軽にトリップ感を満喫できるロケ地のひとつではないでしょうか。この夏、ぜひ貴船で(できれば、ふじやで)川床を堪能し、貴船神社の清涼な空気に癒されてくださいませ。

 

Information
店舗・施設名 貴布禰総本宮 貴船神社
住所 京都市左京区鞍馬貴船町180
電話番号 075-741-2016
営業時間 本宮開門時間6:00~20:00(5/1~11/30)、授与所受付時間9:00~17:00
交通 【電車の場合】
叡山電鉄貴船口駅よりバスで約5分、徒歩なら約25分
【車の場合】
京都駅から北へ約40分
駐車場 あり 料金:800円/2時間
ホームページ https://kifunejinja.jp

Writer椿屋 山田涼子

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Writer椿屋 山田涼子

京都拠点の映画ライター、グルメライター。合言葉は「映画はひとりで、劇場で」。試写とは別に、年間200本以上の作品を映画館で観るシネマ好き。加えて、原作となる漫画や小説、テレビドラマや深夜アニメまでをも網羅する。最近Netflixにまで手を出してしまい、1日24時間では到底足りないと思っている。
Twitter:@tsubakiyagekijo

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