おでかけ

2025.06.03
(c)吉田修一/朝日新聞出版 (c)2025映画「国宝」製作委員会

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ようこそ、おおきに。映画ライター椿屋です。

みなさん、京都お好きですか? 歌舞伎、お好きですか?

 

(c)吉田修一/朝日新聞出版 (c)2025映画「国宝」製作委員会

 

今回ご紹介するのは、この日に芸事のお稽古を始めると上達すると言われている6月6日公開の芸道映画『国宝』です。

原作は、芥川賞作家・吉田修一さんが3年間の黒衣経験を経て書き上げた同名小説。メガホンをとったのは、『悪人』(2010年)・『怒り』(2016年)に続き、3度目となる吉田作品の映画化に挑む李相日監督です。

(c)吉田修一/朝日新聞出版 (c)2025映画「国宝」製作委員会

 

主演は、その美しい顔(かんばせ)の破壊力が凄まじい吉沢亮さん。

任侠一門に生まれながら、上方歌舞伎の名門の当主・花井半二郎(渡辺謙)に引き取られ、人生を懸けて芸の道を突き進む立花喜久雄を演じます。約1年半かけて歌舞伎の稽古に励み、才能があるがゆえに血筋を欲する狂気と執着を見事に体現されていて、早くも本作が“俳優・吉沢亮の代表作”になったと言っても過言ではありません。

(c)吉田修一/朝日新聞出版 (c)2025映画「国宝」製作委員会

 

喜久雄のライバルとなる半二郎の実子・大垣俊介は、現在NHK大河ドラマ『べらぼう』で活躍中の横浜流星さんが演じます。

生まれながらに将来を約束された御曹司が、生い立ちも才能も異なる喜久雄と出会ったことで、互いに高め合いながら芸に青春を捧げていくことになります。悲喜交々を抱え、大きく狂ってゆく運命の歯車にしがみつくかのように、芸の世界を生き抜こうとする役どころです。

(c)吉田修一/朝日新聞出版 (c)2025映画「国宝」製作委員会

 

加えて、歌舞伎指導を担い、役者としても登場する四代目中村鴈治郎さんをはじめ、渡辺謙さん、田中泯さん、永瀬正敏さん、女優陣は高畑充希さん、寺島しのぶさん、森七菜さん、見上愛さん、宮澤エマさん……と、錚々たる顔ぶれがメインキャストを支える本作。

(c)吉田修一/朝日新聞出版 (c)2025映画「国宝」製作委員会

 

歌舞伎を観たことない人から歌舞伎沼にハマっている人まで、すべからく、歌舞伎という日本が世界に誇る伝統芸能に魅了されること必至です。

 

時代劇に欠かせない有名ロケ参道が本作でも大活躍!

上方歌舞伎の名門の名跡をめぐって争うことになるため、物語の舞台は関西です。撮影は、京都・大阪で行われました。

喜久雄が引き取られて間もなく、寺島しのぶさん扮する半二郎の後妻で俊介の実母・大垣幸子に連れられて訪れる劇場など、先斗町や上七軒の歌舞練場をはじめ、さらには近畿最古の芝居小屋として知られる出石の永楽館と、実際の劇場がこれでもか!と登場します。

(c)吉田修一/朝日新聞出版 (c)2025映画「国宝」製作委員会

 

場のもつ力とでも言いましょうか……本物の舞台の空気感が、この物語に説得力をもたらし、観る者の想像力を大いに刺激してくれるのです。

(c)吉田修一/朝日新聞出版 (c)2025映画「国宝」製作委員会

 

常はなかなか見る機会のない楽屋や稽古の様子など、歌舞伎が歌舞伎として受け継がれている裏側にあるものを余すところなく描いているのも、見どころのひとつ。歌舞伎ならではの引抜(舞台上で衣裳を一瞬にして変える演出のひとつ)も迫力の映像で披露してくれます。有名演目のハイライトを一気に観ることができるので、歌舞伎ガイドとしても素晴らしい作品に。カンヌにお呼ばれしただけのことはあります。

(c)吉田修一/朝日新聞出版 (c)2025映画「国宝」製作委員会

 

ロケ地好きのわたくしが俄然前のめりになったのは、襲名披露のお練りシーン!

場所は、昔ながらの風情を残す老舗のあぶり餅屋が向かい合う今宮神社の参道でございます。道の両側は時代劇のセットかと見まがうような趣で、これまでも多くの作品で神社の参道として登場している有名スポット。とくに印象深いのは、『鬼平犯科帳』のエンディングでしょうか。店先に朝顔が飾られ、燈籠越しに賛同を行き交う人々の様子が撮影されている、あの映像です。

本作では、その参道を黒紋付袴姿の歌舞伎役者たちが人力車に乗って進みます。そこでまあ、ひと悶着あるのですが……何が起こるかは劇場でのお愉しみ。

圧巻の舞台美を全身で受け止め、『国宝』の世界観にどっぷりと浸る3時間をお過ごしくださいませ。

 

作品情報

『国宝』https://kokuhou-movie.com/

6月6日(金)全国公開

出演:吉沢亮、横浜流星、高畑充希、寺島しのぶ、永瀬正敏、宮澤エマ、中村鴈治郎、田中泯、渡辺謙 ほか

監督:李相日(『フラガール』『悪人』『怒り』ほか)

配給:東宝

 

【公式SNS】

X(旧Twitter):@kokuhou_movie

Instagram:@kokuhou_movie

TikTok:@kokuhoumovie

Information
店舗・施設名 今宮神社
住所 京都市北区紫野今宮町21
電話番号 075-491-0082(9:00~17:00)
交通 京都市バス 今宮神社前下車すぐ、船岡山下車徒歩7分
ホームページ https://www.imamiyajinja.org

Writer椿屋 山田涼子

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Writer椿屋 山田涼子

京都拠点の映画ライター、グルメライター。合言葉は「映画はひとりで、劇場で」。試写とは別に、年間200本以上の作品を映画館で観るシネマ好き。加えて、原作となる漫画や小説、テレビドラマや深夜アニメまでをも網羅する。最近Netflixにまで手を出してしまい、1日24時間では到底足りないと思っている。
X:@tsubakiyagekijo

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