おでかけ

2018.07.27

「舞台は生でーーーー!!!!」

いいですか? 繰り返しますよ。リピートアフターミー! さんっ、はいっ!

「舞台は生でーーーー!!!!」

 

ようこそおおきに。椿屋劇場支配人こと、ライター椿屋です。

みなさん、京都お好きですか? 演劇、お好きですか?

 

映画に負けず劣らず、お芝居を観るのが大好きなわたくし。大人になって良かったとしみじみ思うのは、東京までサクッと「ハシゴ舞台」に行けるくらいには財力を手に入れたことでございます。食費5:映画&演劇4:着物1、といった割合でしょうか……我が家のお財布事情は。そして三度(みたび)繰り返しますが、「舞台は生で!」を合い言葉に、ライブビューイングなんて邪道よ!とばかりに、様々な劇団や役者さんを追いかけている次第です。

中でも、京都を拠点にその活動の幅をガシガシ拡げておられる「ヨーロッパ企画」(以下、愛情をこめて「企画」は省略)は、新作には必ず足を運んでいる劇団のひとつ。思い返せば、2005年。愛知県で「愛・地球博」が開催され、そうそう、たしか流行語は「小泉劇場」でございましたわね。そんな2005年、初めて彼らの舞台に出合ったあのときの衝撃を、わたくしいまだに忘れることができません。

 

拝見したのは、若かりし頃の瑛太と上野樹里が主演を務めた映画『サマータイムマシン・ブルース』(監督:本広克行)の原作となった同名作品。毎年、夏になると思い出す傑作です。

撮影:原田直樹

 

大学を舞台にしたSF青春コメディで、タイトルを見てお分かりのようにタイムマシンが出てくる物語です。写真中央にある、どっかの水色のネズミが乗ってそうなのが、時をかけるマシーンですね(笑)

 

この物語を観ながら、わたくしはその若い(脚本を書いた当時、劇団代表の上田誠氏は若干20歳の大学生だったのです!)才能に歯軋りするほど嫉妬を覚え、そのロジカルな組み立てと伏線の妙に唸らされ、適材適所な配役とコミカルな台詞回しに声を上げて笑い、ほとほと感心しまくったのでした。

 

あんなに若かった彼らも、もう中年の域。

え?あんまり変わってない?……た、たしかに。

とにかく今夏、結成20周年を記念して『サマータイムマシン・ワンスモア』が全国ツアーで上演されるのです!!! 『ブルース』の15年後の話を、同じメンバーで。なんて夢のある企画でしょう。しかも、同じ舞台で『ブルース』の再演もやっちゃおうというから、わたくしったらもう、ワクワクが止まりません。

 

40のおっさんが演じる大学生。これぞ、演劇の魔法。

そこで、稽古でお忙しい最中、メンバーの中川晴樹さんと西村直子さんにお話をお伺いするべく、ヨーロッパハウス(脚本担当の上田誠氏のご実家である築100年を超える京町家を改装したヨーロッパ企画事務所。お父様がご健在の頃は、製菓工場として名物のラスクを製造販売されていました)へお邪魔してきました♫

 

さて、ここで改めて。

1998年、同志社大学の演劇サークル内で発足した「ヨーロッパ企画」は、一貫して群像コメディを作り続け、SFやゲームの要素をモチーフとするファンタジックな設定を得意とする演劇集団です。

宇宙や塔といった壮大な場で描かれる何気ない日常的会話劇にクスリとさせられ、長らく一緒にやってきた仲間ならではの阿吽の呼吸に思わずニヤリとしてしまうのが人気の所以でしょう。独自の発想力と各団員の特技を活かして、テレビやラジオにも進出し、雑誌媒体などでの企画・制作や、映画祭などの自主イベントの企画・運営まで手掛けています。

 

 

中川「いまだに僕らの代表作というと、『サマータイムマシン・ブルース』だろうと思います。再演するならこのタイミングしかなかった気がします。でもただ再演するだけでは面白くない」

西村「いままでも再演を、一本だけで上演することってなかったですもんね」

中川「そう。だから、どうせなら続きを新しく作ってやろう、と。気持ち的には20年前からあまり変わってないけど、ハコ(劇場)が大きくなったので、体力勝負ではありますね。あの頃よりはしゃいでますよ、40のおっさんたちが(笑)」

西村「私もあんまり変わった気がしないですね。一応、ヨーロッパでは私まだ若手なんで(笑)」

中川「新作はまだどんな内容か僕らも知らないんですが、『ブルース』の稽古をやりながら、上田本人は、どうやって書いたのか、なんでこれが書けたのか分からないって言ってますよ。若さというか、勢いだったんでしょうね」

西村「私が2005年に参加させてもらったときは、タイムトラベルもののルール?みたいなものが分かって、この作品を書いたのが、上田さんが20歳の頃だったと聞いて、その完成度の高さにビックリしました」

中川「初演のときにもエチュード(即興劇)はやったけど、組み立ては上田の力。本当に賢いなぁと思いましたよ。脚本はあまり変わってないですけど、いまの自分たちでできる『ブルース』を観てもらえたら」

西村「私は、大人数での長い台詞劇が新鮮でした。そこも楽しんでもらえたらうれしいです」

 

 

チームワークを武器に、20年の年月を過ごしてきた彼ら。「仲間内で楽しんでいたことが仕事になった」というその言葉通り、まるで文化祭前のような和気藹々とした雰囲気を保ったままひた走る姿が観る者を安心させ、そのくせ次から次へと新しいことを取り入れ、その技術を特技へと磨き上げていく様はわたくしたちを決して飽きさせないのです。

「心持ちは変わらないけれど、やれることは増えた」という彼らが、一貫して崩さない姿勢――それが、「公演が一番大事」というスタンス。どんなにテレビ出演が増えても、最優先されるべきは「生の舞台」なのです。

というわけで。

最後にもう一度、声高に叫ぶことをお許しくださいませ。さぁ! みなさまもご唱和を! せーのっ!

「舞台は生でーーーー!!!!」

 

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