- 2021/03/25
- 第24回 〝春分〟に「桜のぼた餅とこごみの酢醤油漬け」を
京都の街中にありながら、お店の引き戸の扉の向こうは、ゆっくりと時間が流れる…。西村めぐみさん、由香さん姉妹が、自ら改修した京町家で営むカフェ「まつは」のそんな優しい雰囲気とお店の味を家でも堪能してほしいと始めた連載も第3回となりました。今回は、この季節になると必ず作るというお料理2品のレシピを紹介してもらいます。
取材のスタートは、山椒が八百屋さんの店先に並び始めるのをみるとワクワクするという会話から。友だちに誘われて、山に採りに行くこともあるそう。
だけど…、山椒って下処理がちょっと面倒な食材だなぁ、との私の思いを見透かしたように、「このテリーヌは、軸がちょっとくらい入っていても平気なんですよ」と、めぐみさん。「取れる分は除きますが、残ってても『まぁ、いい!』くらいに考えて作ってもらえたら。季節の恵みを、気軽に楽しめる自慢のお料理です」とにっこり続けます。ああ、この大らかさよ~。これが、当連載の魅力のひとつでもあります。
今年の〝立夏〟は5月5日
〝立夏〟は、春分と夏至のちょうど中間の日。暦の上ではこの日から夏が始まるとされていて、今年は5月5日にあたります。
すがすがしいシーズン、「まつは」の中庭の新緑も美しく、風薫るという表現がぴったりです。ちなみに、庭の中央にある桂の木は6年前のお店を始める直前に植えられたもの。当時は姉妹の身長と同じくらいの高さだった木は、今やまっすぐ天へ向かうように伸び、食事で来店した庭師さんに「良い桂ですね」と感心されるほどに。この日は、桂の木の下にテーブルを運び、ホームパーティーのようなイメージで料理の撮影を行いました。
「実山椒のテリーヌ」は、みそを使った和風テイスト。たっぷりの実山椒がピリリとさわやか、ベースとなる鶏ミンチの生地は豆腐を混ぜこんで、しっとりとなめらかな食感に仕上げてあります。「新ジャガイモのすり流し」は、動物性のものを一切使わず、シンプルな素材のうまみを際立たせた一品。テリーヌとの相性を考えて、やわらかな味わいのままで完成としましたが、好みやシーンに応じて、粗びきこしょうを振ったり、オリーブオイルをまわしかけたりしていただくのもおすすめです。