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2026.07.09
一ノ鳥居の古写真(撮影時期不明)深草アーカイブより

はじめまして、E-TOKO深草地域ライターの下坂浩和です。

 

6月21日(日)に開催された『深草今昔写真集』ワークショップに参加しましたので、今回はそのご報告です。

このイベントは、「深草地域の文化『保存・継承・創造』プロジェクト」実行委員会の主催によるもので、デジタル化され深草アーカイブに保存されている明治・大正・昭和の古写真を見ながら、その場所を訪れ、現在の姿を写真に撮るというものです。

以前、このプロジェクトに参加しておられる方からお話を聞く機会があり、町の変化を地域住民が記録する興味深い活動だと思ったことが今回参加したきっかけでした。

ワークショップは2024年度から継続しておこなわれていて、その成果はこれまでに『みんなでつくった深草今昔写真集』第1集と第2集にまとめられています。(入手をご希望の方は実行委員会までメール[fukakusa.kioku@gmail.com]でお問合せください。)

 

ガイダンスで写真の撮り方をレクチャー

参加者は約20名。はじめに砂川会館に集まって、今回の撮影場所と撮り方のレクチャーを受けます。

注意点としては、古写真が撮られた場所を見つけたら、当時のカメラ位置を探して、できるだけ同じ視点から撮るのが重要とのこと。

実行委員長の只友景士さん(龍谷大教授)による撮影場所の説明

 

今回はアーカイブに保存された約800枚の中から選ばれた、伏見稲荷大社境内とその周辺で撮られた7枚の写真が対象です。

観光客が増えて様変わりした境内で、撮影場所を見つけ、うまく撮れるか不安ですが、ともかく現地に向かいます。

 

古写真と現況を見くらべて撮影開始

最初の撮影場所は稲荷小学校正門です。

現在の門柱とその横の塀は塗り替えられて新しそうに見えますが、よく観察すると、古写真が撮られた昭和61年と同じものであることがわかります。

40年前の写真には、手前の道路際の石柱が現状よりも斜めに傾いているように写っていますが、これも修繕されているようです。

稲荷小学校正門前で古写真を見ながらスマホで撮影

 

普段は意識しないで通っている道も、古写真と見比べると古いものがていねいに補修されていることや、おかげで気持ちよく通れることに改めて気づきます。

伏見稲荷大社の境内へみなさん一緒に移動

 

その後、いよいよ伏見稲荷大社の境内へ。

次の撮影場所の藤尾社まではみなさん一緒に移動し、ここで記念撮影。ここから先はAグループとBグループに分かれます。

次の撮影場所の藤尾社で記念撮影

 

伏見稲荷大社の境内にも見られる変化

わたしはAグループのみなさんと3つめの撮影場所である社務所へ。

昭和期の写真と見比べると、社務所のまわりには新しい建物が増築されています。

後日、伏見稲荷大社に問い合わせると、2011年の御鎮座1300年事業で新しい社務所が古い建物の北側に建てられましたが、玄関部分の旧社務所はそのまま化粧直しされて書院として使われているそうです。

古い建物を解体せずに残して、新しい社務所は参拝者からは見えない奥のほうに建てることで、昔からの神社の景観が守られています。

社務所の前で昭和初期の写真と見比べながら撮影。

 

つづいて撮影場所の十石橋、東丸神社、楼門をまわりましたが、どの場所にも少しずつ変化が見られました。

最も変化が大きかったのは、最後の撮影場所のJR稲荷駅前の一ノ鳥居で、鳥居そのものや両側の建物、参道の並木もすっかり変わっていて、同じ場所だと気がつかないくらいです。

古写真に写る狛犬や、「官弊大社稲荷神社」と記された標柱は、境内の別の場所に移されて、今も残っているそうです。

機会があれば、その場所も探してみてください。

一ノ鳥居の古写真(撮影時期不明)深草アーカイブより

 

撮影した写真を見比べてワークショップのまとめ

砂川会館に戻り、参加者全員がそろったところでワークショップのまとめをしました。

龍谷大学只友ゼミの学生さんの司会で、参加者が撮影した写真を並べてスクリーンに映し、古写真にいちばん近い視点で撮影されているものを選びます。

そして、その撮影者が構図のポイントや現地で気づいたことを発表しました。

最後に龍谷大学の学生さんの司会でワークショップのまとめ

 

参加者の中には、毎回参加している方もおられましたが、初めての方も多く、参加者数はこれまでで最多だったそうです。

お父様がかつて住んでおられた深草のことを知りたいと、市外から参加した女性は、境内の狛犬などが別の場所に移されていたことに驚き、参加できて楽しかったと話していました。

また、龍谷大学写真サークルの新入生は、京都の大学に入学したので、京都のことをもっと知りたいと思って参加した、とのことでした。

 

『深草今昔写真集』ワークショップの意義と今後

ワークショップ終了後に実行委員長の只友景士さんに古写真と同じ視点を見つけることにこだわる理由を尋ねると、写真集に新旧の写真を並べた時に、同じ場所であることや変わった点をわかりやすくするためとのお答えでした。

龍谷大学教授でもある只友さんは「深草地元学」を提唱されていますが、これはアカデミックな学問ではなく、大人向け生涯学習のアクティブラーニング(自発的・能動的な学習)で、町に関心を持って、その町を良くしよう、そのために活動しよう、という人たちを育てるねらいがあるようです。

今後は写真展を開催してワークショップの成果を広く発表する機会を探っているとのことでした。

ただ写真を撮って終わりではなくて、参加者が写真を見比べる経験を共有し、さらに社会への発信を通じて町づくりに欠かせない人材を育てたい、という想いが伝わってきました。

 

歴史が感じられる町並みとその変化

古い町家や民家が取り壊されて町並みが変わっていくことは、人の営みとして止められないかもしれませんが、わたし自身は、古い建物を残しながら快適で住み良いまちに変えていくことはできないか、と模索しながら建築設計の仕事に取組んでいます。

スマホやAIが身近になり、技術革新によって社会が急速に変化する時代になりましたが、古くからの景観が残っている深草のような地域では、まちの変化はゆっくりのほうが良い、と思う方も多いのではないでしょうか。

古い写真と現在の姿を見比べ、何がどう変わったのか、これまでの変化を知ることも大事ですが、今のまちの姿を写真で後世に伝え、これからの変化を知るための定点観測の指標として残すことも大切です。

このワークショップを通じて、町並みの変化や次世代に残したい風景について考える人が増えれば良いなと思いました。

 

次回は大岩神社周辺で開催されるようです。健脚向きのようですが、デジスタイル京都のイベント情報などで発信される情報を見つけてぜひ参加してみてください。

Information
店舗・施設名 伏見稲荷大社とその周辺
住所 京都市伏見区深草薮ノ内町ほか

Writer下坂浩和

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Writer下坂浩和

深草で建築士事務所を開設しています。古い建物をいかして今の暮らしに適したものに生まれ変わらせることや、歴史をふまえて新しいものを生み出すことに挑戦しています。 地域に残る歴史的な場所や、新たな文化創造にも目を向け、現代の私たちにとっての価値を見いだし、まちの魅力をお伝えします。

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