おでかけ

2026.06.17
(c)米澤穂信/KADOKAWA (c)2026 映画「黒牢城」製作委員会

ようこそ、おおきに。映画ライター椿屋です。

みなさん、京都お好きですか? 謎解き、お好きですか?

 

6月19日公開『黒牢城(こくろうじょう)』では、有岡城の地下牢にて城主・荒木村重(本木雅弘)と軍師・黒田官兵衛(菅田将暉)との謎解きが繰り広げられます。

密室での少年殺人を皮切りに、城内で次々に起こる4つの怪事件。その真相を探る過程で、季節を追うごとに変化してゆく人間関係が見どころとなる心理サスペンスとしても愉しめるミステリ映画です。

(c)米澤穂信/KADOKAWA (c)2026 映画「黒牢城」製作委員会

 

現存する5つの城で撮影された重厚な画力(えぢから)

物語の舞台は、村重が籠城する有岡城。松竹京都撮影所のスタジオセットと関西各地の城・寺社仏閣でのロケを組み合わせて、その城を表現しています。

冒頭、城門シーンは篠山城で。南側の広場に城門や村人の住居を造り上げ、石垣を有岡城のものに見立てて、城下町から天守までの奥行ある画で観客を映画の世界へと誘います。

国宝・姫路城では、首実検や村重が城外にいる兵の動きに目をやる天守のシーンを撮影。同じく国宝の彦根城は、北東側に現存する石垣が登場します。

(c)米澤穂信/KADOKAWA (c)2026 映画「黒牢城」製作委員会

 

さらに、明石城では撮影前に草刈りや剪定を中断してもらって、草木茂る荒れた道を再現。伊賀上野城においては、城の広場や石垣の形状を活かしながら美術セットを組み合わせ、壮大なロケーションを実現しています。

これらは、「現代的なテーマを含みながら、スタイルとしては古典的な時代劇に挑戦してみたい」という、本作で初の時代劇を撮ることとなった黒沢清監督のご意向があってのこと。かつての時代劇でよく見られた、背景や窓から見える風景に城の石垣や屋根が映り込む場所を求めて、丁寧なロケハン(ロケーションハンティング)が行われた成果なのです。

 

京都の国宝&重要文化財をもロケ地に!

黒沢監督の目を通すと見慣れたロケ地が全く違って見えたそうで、熟練の京都撮影所スタッフらも驚いたといいます。これまでとは一風変わった趣を見せてくれたのは、旧嵯峨御所大覚寺門跡(信長の屋敷として使用)や、紅葉の名所として知られる東福寺といった京都ならではの歴史的建造物。

(c)米澤穂信/KADOKAWA (c)2026 映画「黒牢城」製作委員会

 

中でも、村重と妻・千代保(吉高由里子)がやりとりをする持仏堂のシーンは、宇治市にある黄檗宗大本山萬福寺の「法堂(はっとう)」で撮影されました。

『壬生義士伝』(2003年/松竹)では新選組屯所にもなった法堂は、禅寺における主要伽藍のひとつで説法を行う場所。2024年には国宝に指定され、日本の伝統的寺院建築と中国の仏教建築を融合させた独自のスタイルを特徴とし、黄檗文化をいまに伝えます。

こちらの空間は通常は非公開ですが、5名以上であれば坐禅体験の場として利用することができるのです!

法堂正面の勾欄は、卍および卍くずしの文様に

 

また、この法堂前白州では、U-NEXTで独占配信中のドラマ『ちるらん』も撮影されたばかり。腕が飛んでくような殺陣シーンのロケ地になっています。

入口扉には、魔除けとされる桃の実が彫刻されている

 

さらに、『身代わり忠臣蔵』(2024年/東映)では、法堂と山門の間に立つ本堂「大雄寶殿」が登場。ちなみに、この大雄寶殿と法堂前は、『信長協奏曲』(2016年/東宝)やNHKBS時代劇「雲霧仁左衛門」シリーズでも使われています。

 

さらにさらに、『仕掛人・藤枝梅安』(2023年/イオンエンターテイメント)をはじめとする数々の作品で、様々な寺院の一部として重宝されているのが重要文化財でもある廻廊です。

 

萬福寺の伽藍は全てが屋根付きの廻廊で結ばれていて、雨天時も問題なく法式が執り行える

 

その他、東方丈・松隠堂・開山堂・三門・天真院などなどなど! 寺内のあらゆる場所がロケ地として様々な作品で活躍しているのです。

 

まだまだある!萬福寺の魅力あるスポット

萬福寺のシンボルとして親しまれているのが、斎堂(食堂)の前方入口前にある「開梆(かいぱん)」です。日常の行事や儀式の刻限を報じる魚の形をした法器のことで、「魚梆」「飯梆(はんぽう)」とも呼ばれます。

こちらの巨大木魚は、前出の『身代わり忠臣蔵』でもちゃっかり登場していますので、ぜひ見つけてみてください。

 

毎月第2日曜日(2月と8月を除く)には、境内にて「ほていまつり」が開催される

 

萬福寺の玄関として設けられている国宝「天王殿」の中央には、弥勒菩薩(布袋)坐像が鎮座。七福神でお馴染みの布袋さんは弥勒菩薩の化身といわれ、萬福寺では弥勒仏とされています。その福福しいお姿、拝むだけでも幸せな気持ちになります。

ちなみに、境内には黄檗山萬福寺山号由来となった「黄檗(きはだ)」の樹が植えられています。ぜひ探してみてください。

中国式総門の向かいには、「隠元禅師種茶之碑」も。インゲン豆をはじめ煎茶や西瓜、レンコンや寒天といった黄檗宗の開祖である隠元禅師がもたらしたと伝わる数々のものは、いまの我々の日常にもすっかり溶け込んでいます。教えについて学べば、思わぬ発見が得られるやも?! ぜひ一度、萬福寺を訪れて黄檗文化を体感してみてくださいませ。

 

◎作品情報

『黒牢城(ルビ:こくろうじょう)』https://movies.shochiku.co.jp/kokurojo-movie/

6月19日(金)全国公開

出演:本木雅弘、菅田将暉、吉高由里子、ほか

監督・脚本:黒沢清

原作:米澤穂信「黒牢城」(角川文庫/KADOKAWA 刊)

配給:松竹

【公式SNS】

X(旧Twitter):@kokurojo_movie

Instagram:@kokurojo_movie

TikTok:@kokurojo_movie

Information
店舗・施設名 黄檗山萬福寺
住所 京都府宇治市五ケ庄三番割34
電話番号 0774-32-3900
営業時間 9:00~17:00(受付~16:30)※朱印所~16:30、売店~16:00
交通 JR奈良線・京阪宇治線 黄檗駅より徒歩5分
料金 拝観料 大人500円、中学生・小学生300円
ホームページ https://obakusan.or.jp

Writer椿屋 山田涼子

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Writer椿屋 山田涼子

京都拠点の映画ライター、グルメライター。合言葉は「映画はひとりで、劇場で」。試写とは別に、年間200本以上の作品を映画館で観るシネマ好き。加えて、原作となる漫画や小説、テレビドラマや深夜アニメまでをも網羅する。最近Netflixにまで手を出してしまい、1日24時間では到底足りないと思っている。
X:@tsubakiyagekijo

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