おでかけ

2026.03.27

サステナビリティって、特別なことを始める話だと思っていませんか?

でも実は、本業の中にすでに“タネ”があって——それをどう育てるかで、会社の魅力も、まちの未来も変わっていく。

この連載「サスタネMAGAZINE」では、京都でそれぞれのやり方で“サステナビリティのタネ”を育てている企業を訪ね、取り組みの背景や工夫、そしてビジネスにつながるポイントまで、読みやすくお届けしていきます。

今回は、京都駅近くに佇む都和旅館へ。国際基準を“経営のものさし”として取り入れながら、文化を守り、体験をひらき、選ばれ続ける宿をつくってきた——。その静かな挑戦の中にある「サステナブルのタネ」を探ります。

 

気づけば、とてもサステナブルな宿だった——世界基準で京都の「おもてなし」を未来へつなぐ

今回は、京都駅からほど近く、西本願寺と東本願寺に挟まれた寺内町に佇む 都和旅館 へ。

静かな路地の先にあり、ふっと気持ちが落ち着く場所です。

ここを訪れる宿泊客の約9割は、ヨーロッパを中心とした海外からの旅行者。

取材して感じたのは、「サステナブルだから選ばれている」というより、“選ばれ続けるために、自然とサステナブルになっていった” ということでした。

西本願寺と東本願寺に挟まれた寺内町に佇む都和旅館。静かな路地の先に、旅の時間が始まります。

 

女将・太田佳子さんがサステナブルな取り組みを本格化させたきっかけは、コロナ禍でした。

 

コロナ禍で立ち止まり、「未来の旅館経営」を考えた

「時間ができたからこそ、改めて学び直し、これからの旅館のあり方を考えることができました」

太田さんが語るように、コロナ禍は“止まる時間”であると同時に、“未来への助走期間”にもなったそうです。

いずれは次世代へと旅館を継承していく。そのタイミングまでに、時代に合った、長く続けていけるサステナブルな経営基盤を整えておきたい——。

専門家や同業者、地域のさまざまな人にアドバイスを求めながら、SDGsやサステナブルツーリズムについて本格的に学び始めたといいます。

「何か特別なことをしようというより、これからの旅館経営に必要な視点を、一つずつ整理していった感覚です」

その過程で、都和旅館が“経営の指針”として選んだのが、国際基準に基づく認証でした。

女将・太田佳子さん。コロナ禍をきっかけに、これからの旅館経営と向き合ってきました。

 

国際基準を“経営の指針”に—— Sakura Quality An ESG Practice「3御衣黄ザクラ」の取得

都和旅館は、宿泊施設のサステナブルな取り組みをESGの観点から総合的に評価する認証制度 「Sakura Quality An ESG Practice」 において 「3御衣黄ザクラ」 を取得しています。

ここでお伝えしたいポイントはひとつ。この認証を、都和旅館は “PRのための称号”ではなく、日々の経営判断の指針(ものさし) として使っていることです。

都和旅館では、エネルギーや資源の使い方だけでなく、「従業員への向き合い方」、「京都で旅館を営む意味」や「地域とどう関わり続けるか」まで含めて見直してきました。

ロビーに掲示されている認証は、海外の宿泊客にとって “安心して選べる宿” のサインにもなっているそうです。

ロビーに掲示されている「3御衣黄ザクラ」とGSTC認証。国際基準を経営の指針としていることが、さりげなく伝えられています。

 

「京都の旅館として、どんな価値を守り、何を未来につないでいくのか。文化への影響まで含めて考えることが必要だと感じました。」日本を代表する観光都市・京都の旅館として、次の世代へと紡いでいくためにも「個人の判断」ではなく、一定の基準の中で進むべき道を決めていく「共通言語」の必要性を感じられた太田さんならではの言葉です。

 

食の多様性を受け入れる——精進料理からビーガン・ベジ対応の京会席へ

都和旅館の宿泊客の約9割はヨーロッパから。多様な文化や宗教的背景を持つゲストを迎えるなかで、新たに始めたのが ビーガン・ベジタリアンに対応した京会席付き宿泊プラン でした。

ビーガン・ベジタリアンにも対応した茶懐石。都和旅館らしい一皿が提供されています

 

「実は、全く新しい挑戦という感覚はありませんでした」

都和旅館のある寺内町は、精進料理とも縁の深い土地。これまで京都で扱ってきた精進料理の考え方が、ビーガンやベジタリアン対応とも自然につながっていったといいます。

食の多様性への対応は、特別な付加価値ではなく、「安心して滞在できる宿」であることを伝えるための大切な要素になっています。

 

茶の湯文化への入り口をつくる「静佳庵」と“やさしい茶会”

「外国人観光客はもちろん、地元・京都の方にも茶の湯文化に触れてもらうお手伝いをしたい。」

この視点が象徴的なのが、旅館内に新設された茶室 「静佳庵」 です。

旅館内に設けられた茶室「静佳庵」。茶の湯文化に気軽に触れられる“入口”として整えられました。

 

コロナ禍の補助金も活用しながら整備したこの空間では、「やさしい茶会」と名付けた体験プログラムを実施。
堅苦しい作法を求めるのではなく、初めての人でも気軽に参加できることを大切にしているそうです。

実際に参加しているのは外国人観光客だけでなく、地元京都の方も。
観光と日常、どちらにも開かれた場として機能し、宿泊以外のビジネスにも展開されている点が印象的でした。

「茶の湯文化にとっての“入口”になれたらうれしいですね」

文化を守るだけでなく、体験としてひらく。その姿勢もまた、持続可能な観光の一つの形だといえそうです。

詳細はこちら> https://otonami.jp/experiences/towa-ryokan/

 

1社ではできないからこそ、京都で“つなぐ”サステナブル

都和旅館のサステナブルな取り組みは、1社だけで完結するものではありません。京都の旅館として選ばれ続けるために、京都のまちで育まれた文化を紡ぎ、そして価値を高め合っている印象です。

例えばロビーのテーブル。古い茶箱の上に、京都樹脂が手がけた「西陣織を挟み込んだ樹脂素材」を用いています。

伝統技術を今のかたちで活かし、職人や技術を次世代へつないでいく工夫です。

京都が紡いできた様々な技術や素材を活用することも大切な取り組みのひとつ

 

食材も可能な限り京都産のものを選ぶなど、地域との“関係性を大切にした選択を重ねています。

「京都は、横のつながりで商いを続けてきた“持続的な街”。一緒にできることは、これからも積極的に取り組んでいきたいですね」

こうした連携の積み重ねこそが、自社の利益だけではなく、京都の文化を紡ぐという社会的な価値の創出につながる「京都らしいサステナブル」の姿だと感じました。

 

サステナブルは“未来への投資”——選ばれ続ける宿であるために

サステナブルな活動は、時間もコストもかかります。でも都和旅館は、それを「未来への投資」と捉えていました。

選ばれ続ける宿であるために、これからも一つひとつの取り組みを強化していきたい——。

また、こうした姿勢に共感する若い世代が、将来の採用につながる可能性もあります。

SDGsをスローガンに掲げるのではなく、選ばれ続ける宿であるために積み重ねてきた取組が自然とサステナブルな取組につながっている——。取材を通して、ある意味「いつもの営み」の延長線が持続的な成長につながっているものと感じました。

サステナビリティのタネは、意外と身近なところにあります。あなたの会社の本業にも、きっと。

次回も、京都で育つ「それぞれのサスタネ」を訪ねます。

 


 

京都市には、SDGsに取り組もうとする事業者・団体の活動を、市が様々な形で後押しする仕組み 「京都SDGsパートナー制度」 があり、都和旅館もそのメンバーです。

ここから生まれる“ご縁”は、きっと未来につながるはず。登録料などはかからないので、ぜひチェックしてみてください。

京都SDGsパートナー制度のネットワークやつながりを活かし、都和旅館のように京都に眠るSDGsの資源をビジネスに変えてみませんか?

 

京都SDGsパートナー制度について詳しくはこちら(https://eco.kyoto-u.ac.jp/sdgs/kyoto-times/partnership/)

 

Information
店舗・施設名 都和旅館
住所 京都市下京区東中筋通七条上がる文覚町395
電話番号 075-371-5421
交通 京都駅 地下ポルタC6出口、新阪急ホテル前から徒歩7分
ホームページ https://www.towa-ryokan.jp/

Writerデジスタイル京都スタッフ

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Writerデジスタイル京都スタッフ

タカラサプライコミュニケーションズではたらく京都大好きメンバー。 定番から穴場まで、幅広いKYOTOの情報をお届けします!
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