グルメ・お土産

2026.02.13

こんにちは、京都市への移住経験があるデジスタイル京都スタッフが「京都暮らしの魅力」を語るこの企画。

今回は学生時代に京都に来て、そのまま京都で就職をしたモリのお話です。

 

私は岐阜で育ち、京都市立芸術大学で4年間を過ごしました。卒業後は京都の暮らしを気に入り、そのまま京都の企業に就職しました。現在は転職を経てタカラサプライコミュニケーションズ(以下「TSC」)のデザイナーとして、伏見の街の空気を吸い込みながら制作を続けています。

京都市立芸術大学の旧キャンパス(提供:京都市)

 

友人の多くは東京や大阪へ就職していきました。情報量や仕事の幅の広さに惹かれる気持ちはよく分かります。それでも私が京都に住み続けて働くと決めたのは、この街でこそ育まれる感覚があると確信したからです。

 

デザイナーとして働く”ステージに、京都が向いていると感じる理由

世界級の芸術に“生活距離”で触れられること

神社仏閣の建築、町家のプロポーション、作庭や石の置き方、襖絵や仏像の光の受け方など、世界最高水準ともいえる芸術作品の数々に日々の散歩の中で出会えます。京都では、それらが観光コンテンツとしてだけではなく、生活風景としても横にあります。何気ない散歩の中で、塀の仕上げの美しさに見入ってしまうこともある。小さな視覚体験の連続で、目が自然と鍛えられていきます。これほど多くの世界的な芸術が街に溶け込み、日常の中で触れられる場所は、そう多くないと思います。京都ならではの贅沢さです。

 

自然×都市”のバランスが良いこと

市内の中心地から少し歩けば、鴨川沿いの風と、四季の色がすぐそばにあります。色の移ろい・湿度・匂いまで含めて、季節の変化や質感が五感全てを通じて身体に染み込んでいきます。アウトプットが“平面の情報”に偏りすぎないのは、この環境のおかげだと感じています。

 

国内外の人が集まり、表現・発信のチャンスが多いこと

京都は世界有数の観光都市であり文化都市です。留学生や旅人、職人、研究者、スタートアップ、老舗が街の中で交差しています。作品発表の場はギャラリーや企画、ポップアップに加え、町家や工房の壁一枚分といった“小さな器”も多く、広く知ってもらう機会やコラボレーションの芽が思わぬところに転がっています。

 

アートが“暮らしと地続き”にあるライフスタイル

伝統産業・工芸が街中のいたるところにあること

京焼・清水焼、西陣織、京漆器、京友禅、京くみひも、京竹工芸など、通り沿いの工房や小さな店で職人さんと会話をすると、素材の質感や表情に触れられます。たとえば器の釉薬(ゆうやく※)の濁りひとつにも、火や土や水の機嫌が宿っています。

※釉薬(ゆうやく)とは、陶磁器の表面にかけられるガラス質の膜のことで 器に光沢や色彩、手触りの質感を与える役割を持っています。

 

印刷のインキ選定やUIのトーンを決めるとき、無意識にその記憶が助けになります。時代の変化で姿を消したり、産業の規模が小さくなった地域もある中で、こんなにも多様な伝統産業・工芸に気軽に触れられるのは、それらが今も日常生活に根付き、息づいている京都ならではだと思います。

 

神社仏閣は“作品のアーカイブ”であること

伝統産業・工芸だけではありません。限定公開などを含め、気軽に行ける距離にある神社仏閣は、その建築様式・技法のみならず、襖絵、天井画、仏像のプロポーション、彫りの深さなど、学びの宝庫であり、教科書で見ていたものが自分の現場の参考資料になります。スケール感や光の回り方を自分の目で測れるのは京都ならではです。京都は文化・芸術の層がとても厚いので、他の都市では考えられないほどインプットの幅が広がります。日常の中で、建築から絵画、彫刻まで多様な視覚体験を積み重ねられるのは大きな強みです。

 

美術館・ギャラリーの密度

京都市内はもちろん、阪急・京阪・JRで京阪神一帯の展示にもすぐにアクセス可能で、デザイン案件で詰まると、電車でふらっと足を運ぶことができます。インプットを量だけでなく、“質”で整える習慣が、京都だと自然に身につきます。しかも、大きな美術館だけでなく、小さなギャラリーも点在していて、そこでまだ大きな展覧会に出ていない若手作家や、自分と歳の近い作家の作品に出会えるのも魅力。さらに、そうしたギャラリーでは作家と直接話せることも多く、そのやり取りがいい刺激になるんです。

 

文化イベントが多彩なこと

祇園祭の鉾の“設計思想”、手づくり市の素材選び、骨董市の“時間の痕跡”など、京都は様々な”プロセス”に触れる機会にも恵まれています。アートフェスも多く、実験的な展示やライブが街に点在していて、完成品だけでなく“作る過程”を見る機会が多いことは、デザイナーには大きなメリットです。

 

「京都の人は冷たい?」のギャップ——暮らして分かった良い意味

京都に来る前、私は「京都の人は冷たい」という噂を耳にしていました。実際に住んでみて感じたのは、“相手を思いやり、その時々に応じた適切な距離感を保ってくれている”ということです。

京都だけではないと思いますが、初対面ではズケズケとすぐに踏み込まず、時間をかけて“場”に馴染むことが大事だと思います。挨拶を重ね、名前を覚え、町内の掃除に一度顔を出す——そんな薄い膜を丁寧に通過すると、驚くほど温かい“面倒見”に出会えます。

デザインの相談をすると「この紙屋さんに聞き」とメモ付きで紹介してもらえます。展示の告知も、ポスター一枚分を町家の壁に貼らせてくれます。お節介は押しつけではなく“余白の譲り合い”として現れ、創作の小さな背中押しになります。

“冷たい”というより、関係の温度管理が細やかなのだと分かりました。つまり、他者の時間や仕事を尊重する文化があるということです。それに気づいてから、私は京都がいっそう好きになりました。

 

京都で働くリアル——キャリアの選び方と日常の動線

京都で就職する”と決めた理由

卒業後は、私は京都の企業に入社しました。理由は、街から得るインプットと仕事のアウトプットを地続きにしたかったからです。工房へ寄って素材の相談をし、夕方にギャラリーで別案を思いつく——動線の短さ”が発想の回転数を上げると実感しています。

 

転職と現在

その後は転職して、TSCのデザイナーになりました。案件は京都発のものも、関西一円のものもあります。京都拠点でもリーチは広いです。市バス・地下鉄・阪急・JRを使い分けると、打合せの移動は負担になりにくいです。東京案件はオンラインで対応しています。集中できる環境適度な刺激の両立が、この街では可能だと感じています。

 

暮らす・働く”の重なり

例えば、退勤後に展覧会へ気軽に立ち寄ることができます。また、土曜の朝に気軽に工房を見学し、材料を購入することもあります。制作の循環が日常の時間割に自然と組み込まれることは、京都で働く大きなメリットです。

 

芸術系大学の現役学生の皆さんへ——京都の“質のインプット”を味方に

京都は“静かでのんびり”というイメージがあるかもしれません。実際は、何百年続く技術と美意識が日常に息づく「濃い街」です。情報が爆速で流れる東京の良さももちろんあります。けれど京都には、自分の目で見て、手で触れ、考え抜いて形にするための時間があります。

神社仏閣の建築、工芸、ギャラリー、小さな展示——インプットの“質”が高いのが京都の強みです。最新の情報もキャッチしつつ、自分の視点で咀嚼してアウトプットしたいと思うなら、京都は大いにおすすめです。住んでみると、刺激は十分にあり、“働く場所”としてきちんと成立していると実感できるはずです。

 

まとめ——京都でデザインする幸福

 

生活距離で世界級の芸術に触れ続けられるので、目と手が鍛えられます。

 

●自然と都市のバランスが、素材感の記憶を豊かにしてくれます。

●人と場の回路が多く、発信の器が大小さまざまで、チャンスが街の中に点在しています。

●“京都の人は冷たい”という噂は、関係の温度管理が細やかという良い意味のギャップでした。

●働く動線が短く、インプットとアウトプットが地続きになり、制作の回転数が上がります。

 

京都は派手ではありませんが、確かな濃度で感性を磨ける場所です。大学を出てなお居ついたのは、この街でデザインすることが自分のリズムに合っているからです。

これからも、通りの角の光や工房の手の温度に耳を澄ませて、京都発のデザインを続けていきたいと思います。

 

■京都への移住に関する情報はこちらをチェック! >「住むなら京都」

Information
店舗・施設名 タカラサプライコミュニケーションズ株式会社
住所 京都市伏見区舞台町1番地
ホームページ https://www.takara-sc.co.jp/

Writerデジスタイル京都スタッフ

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Writerデジスタイル京都スタッフ

タカラサプライコミュニケーションズではたらく京都大好きメンバー。 定番から穴場まで、幅広いKYOTOの情報をお届けします!
X:@digistylekyoto
Facebook:https://www.facebook.com/digistylekyoto/

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