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京のおうどん、〝きつね〟と〝たぬき〟を追っかけて

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油揚げは、日々、継ぎ足す煮汁で甘辛く炊き、 だしと出合ったときのおいしさを追求しています ― 更科本店(京都市中京区・新京極通)

2023/09/27

熱々のおいしいおだしとなめらかな麺。

食べてほっこりとする〝京都のおうどん〟を愛する人は少なくないはず。なかでも「きつねうどん」といえば、誰もが一度は食べたことがある、定番メニューでしょう。…でも、私は気付いてしまったのです。「きつねうどん」とひとくちに言っても、お店によってあんがい味も姿も違うぞ、と。

そこで、京うどんを味わえるあちこちのお店へ出向いて、それぞれの〝きつね〟とその兄弟分(?)の〝たぬき〟を徹底調査することを決意。さあ、おいしい自由研究の始まりです。

 

創業明治7年。自家製麺のうどんは、やや固め

京都市中京区・新京極商店街の一角にお店を構える「更科本店」。

〝ひらり・つるり・ぺろり〟のキャッチコピーもユニークな、看板商品の「きしめん」で、メディアに登場することも多いこちら、意外にもきしめん推しを始めたのは25年ほど前。明治7年(1874年)創業、約150年の歴史のなかではわりに最近だといいます。

「初代が名古屋の人で、きしめんはずっとメニューにありました。でも30年あまり前、私がお店を継いだ頃は、うどんや蕎麦のほうがよく出ていたんです」と話すのは、6代目店主の鬼頭亮二さん。

ところが、その数年後、鬼頭さんは蕎麦アレルギーを発症。麺は全て自家製の同店にとって、大ピンチを迎えます。そのとき、先代である父・賢次さんがいずれ蕎麦の提供を止めても大丈夫なようにと、きしめんを看板商品にすると決断したそう。「おかげさまで、いまも蕎麦打ちを89歳の父が担当してくれており、お蕎麦も提供できています」と鬼頭さんは微笑みます。

小麦粉・塩・水のみで作られる、同店のうどんときしめんは、麺の切り方は異なりますが、生地のレシピは同じ。看板商品であるきしめんのおいしさを研究した結果、厚みが1㎜にも満たない麺のコシがゆがいても損なわれないよう、現在は3種の小麦粉をブレンドするようになりました。

「よく、『京都のうどんは、やわやわ』だなんていわれますが、〝力(りき)〟のある小麦粉を使うので、うちのうどんはわずかに固めなんです」(鬼頭さん)

 

甘辛く炊いたお揚げと九条ねぎが乗った、きつねうどん(750円)

 

きつねうどんをあんかけにした、たぬきうどん(900円)

 

しっかりと厚みのある油揚げは、老舗豆腐店「近喜(きんき)商店」に特注

更科本店の「きつねうどん」と「たぬきうどん」で特徴的なのは、3枚乗った分厚い油揚げ。

こちらの油揚げは、京都錦市場にある老舗豆腐店「近喜商店」に特別に作ってもらっているそう。ちなみに、「刻みきつね」に使っているのは通常の油揚げです。

柔らかで、しっかりとした厚みがある油揚げは甘辛く炊いてあり、かんだ瞬間、じゅわーっとあふれるように煮汁が出てきます。ちょっと行儀が悪いかもしれませんが、はじめに油揚げをお箸でギュギュッと押して、うどんだしに甘辛い味をミックスさせるのが筆者の好み。絶妙な甘辛の頃合いのおだしが美味しくて、いつも飲み干してしまいます。

たぬきうどんの具は、きつねと同様に3枚の油揚げと九条ねぎ。

片栗粉でだしにとろみをつけて、あんかけにしてあります。おろししょうがをトッピングして、さわやかな香りと辛みをプラス。熱々メニューですが寒い時季に限らず、通年、人気だといいます。

厨房にて。6代目店主の鬼頭亮二さん

 

「麺はもちろん大切ですが、京都のうどんは、やはりおだしがおいしくないと」と、鬼頭さん。

昆布水(みず)に厚く削ったカツオ節を加えて強火で煮立たせ、うまみを存分に抽出したものに砂糖・みりん・しょうゆで味付けしてうどんのおだしが完成。「しょうゆって、ものすごくパンチ力のある調味料なので、それに負けないだけのうまみが必要なんです」と話します。

大鍋で甘辛く炊き上げる油揚げ。午後3時に火入れを行うのが日課

 

油揚げを炊くのに使うのも、先ほどと同じだし汁です。みりんは使わず、味付けは砂糖としょうゆ。

「煮汁はうなぎのかば焼きのたれのように(笑)、毎日、継ぎ足し、継ぎ足しで。一日一回、炊ききって、油揚げに味を染ませます」と鬼頭さん。

そう。同店のきつねとたぬきは、甘辛い油揚げがしっかりと主張しつつも、まとまりのある味わい。これは、同じだしを使うことにより、味の系統が整っているからなんだと改めて気付かされます。

「理想は、まず、素うどんがおいしいこと。そこに甘辛いお揚げが加わって、おだし・麺とが、〝三方良し〟で、合わないと! 常にそれを、心がけています」

 

お品書きの写真は看板商品のきしめんで。いずれもうどん、蕎麦に変更可

 

店内には4人掛けのテーブル席が7つ、1人席4つ、小上がりが1つ

 

お店は、昨年(2022年)、誕生150年を迎えた新京極商店街に面しています

 

―「更科本店」さん、ごちそうさまでした!

スポット情報

店舗・施設名 更科本店
住所 京都市中京区新京極通六角下る中筋町483
電話番号 075-221-3064
営業時間 11:00~15:30、17:30~20:00
※夜営業は日曜のみ
定休日 木曜(その他、臨時休業あり)
交通 阪急「京都河原町」駅から徒歩約6分
ホームページ https://www.facebook.com/kishimen.sarashina

地図

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ライター紹介

京のおうどん、〝きつね〟と〝たぬき〟を追っかけて一覧

ライター:市野亜由美

京都のおいしいお店を訪ねるのが好き。おすすめの手土産、ランチの行き先など、友人から尋ねられることもしばしば。仕事で、レシピの記事を担当できるのは幸せ。 食の世界の奥深さや、楽しいことへの興味が高じて、小さなイベントを自ら企画したりも。

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