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【舞台挨拶】『仕掛人・藤枝梅安』上映後、河毛俊作監督&主演・豊川悦司さんにインタビュー!

2023/02/27

ようこそ、おおきに。映画ライター椿屋です。

みなさん、京都お好きですか? 池波作品、お好きですか?

 

池波正太郎と司馬遼太郎、両氏の時代小説にふれた若かりし頃、「viva!ニッポン人!!」と、己が日本人に生まれた歓びを幾度噛みしめたことでしょう。そこからわたくしの時代小説漁りが始まるのですが……一人ひとりお名前を挙げていては途方もないスクロールを要しますので、ここは割愛させていただいて。

 

今回は、池波正太郎生誕100年企画として誕生した新たな時代劇『仕掛人・藤枝梅安』に注目いたします。

(c)「仕掛人・藤枝梅安」時代劇パートナーズ42社

 

多くの患者の命を救う鍼医者でありながら、蔓と呼ばれる元締からの依頼を請けて悪を闇に葬る仕掛人というウラの顔を持つ主人公・藤枝梅安を、あの!トヨエ……ごほん、豊川悦司さんが演じるとあっては、興奮するなというのが無理なお話。高身長といい、美しい大きな手といい、原作に描かれる梅安そのもの。加えて、尾骶骨に響く声に、そこはかとなく洩れ出でる色気!

 

(c)「仕掛人・藤枝梅安」時代劇パートナーズ42社

 

梅安の相棒であり仕掛け人の彦次郎を務めるのは、ラブリンこと片岡愛之助さん。端整な佇まいとキュートさを兼ね備え、抜群の安定感で豊川梅安を支えます。このおふたりのバディ感も、数ある見どころのひとつと言えるでしょう。

さらには、梅安が唯一心を許す女性・おもん役の菅野美穂さん、彼の身の周りの世話をするおせき役の高畑淳子さん、鍼の師でもある恩人・津山悦堂役の小林薫さんらレギュラー陣に加えて、この上なく豪華なキャストが集いました。

 

(c)「仕掛人・藤枝梅安」時代劇パートナーズ42社

 

第一作には、早乙女太一さん、柳葉敏郎さん、天海祐希さん。続く第二作では、一ノ瀬颯さん、一人二役で登場する椎名桔平さんに、同業者である仕掛人を演じる佐藤浩市さんといった錚々たる面子。かわいい、渋い、格好いい、きれいのオンパレードでございますよ。

 

(c)「仕掛人・藤枝梅安」時代劇パートナーズ42社

 

江戸での大がかりな仕掛けを描く第一作は、現在絶賛公開中でございます。そして、4月7日からのロードショーを控えた第二作『仕掛人・藤枝梅安2』では、物語の舞台が京へと移ることもあって、わたくし、公開2日目にMOVIX京都にて行われた舞台挨拶に潜入してまいりました!

ご登壇されたのは、天海祐希さんの夫役を演じた田山涼成さん、主演の豊川悦司さん、河毛俊作監督のお三方。

 

まずは、数ある作品の中から『仕掛人・藤枝梅安』を選び、劇場へ足を運ばれた皆さまへのご挨拶から。ここでは、監督の「ちょうど去年の今頃が撮影の真っ盛りで、3ヵ月くらい京都にお邪魔していました。そのときの日々のことを懐かしく思い出しながら、帰ってきたよというかんじがして、感極まっています」というお言葉に、客席もほっこり。

 

そして、「この京都で時代劇をつくるということの贅沢さを感じました」と豊川さん。雪で撮影がストップしたときのことを振り返りながら、「京都のかなり厳しい自然にやられたところもありましたが、それにもまして、冬の京都はとても美しかったです」と、作中には制作スタッフが降らせた雪はもちろん、本物の雪も映っているといったお話を披露。

「この『仕掛人・藤枝梅安』という作品のもうひとりの大きな登場人物が京都というまちではなかったかなと思っています」という言葉が示すとおり、京都というロケ地のポテンシャルをまざまざと見せつけてくれる映像美は、必見でございます。

 

冬の京都での撮影における大変さを問われた監督から、「やはりロケーションは、天候命。雲や光の具合、空模様に関しては、どんなにお金を払ってもどうにもできないものですから、そこはもう演出家の心がけ?(笑) 思うような天気になってくれると、とてもうれしいものですよ」といった本音もちらり。

「京都が持つ独特の気候の質感……手触りみたいなものを感じました。ふっとあの時代に引き戻してくれる何かがあるんですよね」とおっしゃる監督に続いて、田山さんは「私が京都の撮影に呼ばれるのは、なぜか真冬と真夏でございます。冬は厳しいですが、夏はもっと厳しいんですよね」と会場の笑いを誘いつつ、「今回この撮影に参加できてとても嬉しくて、寒さなんて全く関係なかったです!」と、力強いお応えでした。

 

 

時代劇というコンテンツは、十分に世界で通用する。そのクオリティを支えている京都という場所、京都の撮影所で働くプロフェッショナルたちへの賛辞と敬意がひしひしと感じられる本作。劇場のスクリーンで観てこそ、でございますよ。

 

「京都は時代劇に必要な場所」(豊川悦司談)

派手なアクションや豪勢なCGが特長の、いわゆる“迫力ある”作品ほど、多くの人が「映画館で観たい」と思うのかもしれませんが、実は静かだからこそ劇伴に力のある物語や色味を抑えた説得力のある映像ほど、いい音響といいスクリーンを備えた空間で観ていただきたいもの。

劇中素材を見ていただければお分かりのように、本作は「闇」が大変印象的な作品となっております。

 

(c)「仕掛人・藤枝梅安」時代劇パートナーズ42社

 

撮影においては、「光と影」にこだわられた河毛監督。日本家屋と西洋的建物を比較すれば、光の射し方、届き方はまるで異なります。いまとなっては誰も本物を見たことはないけれど、江戸に暮らす人々が見ていたであろう景色を映像にどれだけ焼きつけられるか、を常に意識されていたといいます。

そのお言葉通り、まさに池波作品の世界が目の前に立ち上がってきたかのようなビジュアルのリアルさも、本作の魅力のひとつ。

 

(c)「仕掛人・藤枝梅安」時代劇パートナーズ42社

 

監督のお話を聞きながら、言葉を探すように低く唸った後で、「いまとは全然人間が違う、というようなことは意識しました」と話し始めた豊川さん。

「あの時代の人たちはいまよりもっと粋で、自己責任がすごく強かったと思います。この作品に出てくる人物たちは、規範を他人に求めない。いまは多くの人がそれを他人に求めがち。むしろ、決めてくれたことに従ったり乗っかったりする方がラクだっていう風潮になってきていますが、昔はそれがもっと個人のものだったという気がします」。

 

では、そういった江戸の人間としてのキャラクターを演じるうえで大事にしたことは何だったかと問えば、「一番は原作に立ち返ることかな」という応え。「ヒントやインスピレーションを、これまで演じてこられた大先輩たちに求めるのではなく、池波先生が書かれた活字の中に答えを探そうと心がけていました」。

 

(c)「仕掛人・藤枝梅安」時代劇パートナーズ42社

 

ところで、舞台挨拶の豊川さんのお言葉にもあったように、本作の撮影には京都というまちが欠かせませんでした。

「すべては風情の問題。まち全体のもつ雰囲気が、『さあ、時代劇を撮るぞ』という気持ちにさせてくれて、創作全体に影響を与える。それは、京都が日本映画のハリウッドとして長い時間をかけて培ってきたもの。実は、建物だけ残っていても意味はなくて、周辺のまちの人たちの営みやそこに根づいてきた文化が醸し出す全体の空気感が大事ですよね」という監督の言葉を受けて、演じる身としては、「そういった空気感は、自分の気分をその時代にもっていくのにすごく役に立ちます。自分がその場に立っているという気にさせてくれる京都のような場所は、とくに時代劇には必要だなと思います」と豊川さん。

 

時代劇ではおなじみの大覚寺や流れ橋をはじめ、妙心寺、二尊院、梅宮大社、日吉大社など多くのロケ地が登場する本作。とくに記憶に残っているロケーションについて、京丹波町にある質美(しつみ)八幡宮の名が挙がりました。

樹齢数百年の老杉並木が続く400mの参道は、浪人・石川友五郎(早乙女太一)が剣客を斬り捨てる重要な場面で使われています。霧が深い場所ということもあって、「あれだけの広さでスモークを焚くのはなかなか難しいんですよ。だけど、あそこは樹々が両側に立っていて、囲われるようなカタチになっているためスモークが溜めやすくて、とても印象的なシーンになりました」と、監督。梅安の家の近所という設定で、VFXを用いる際の背景のベースにもなっているとのこと。

 

(c)「仕掛人・藤枝梅安」時代劇パートナーズ42社

 

加えて当該シーンは、東映剣会の清家三彦氏がつけられた殺陣もお見事。

「石川友五郎は最初から早乙女くんしかいないと思っていたので、彼をどう活かしてくれるかというのを清家さんに相談しました。刀を抜くだけであれだけ魅せる人はいないですからね」と、大絶賛の監督。

「剣に、殺陣に、重みがあるんです。体幹が強くてね。腰が低くて、手先で斬っていない。この人、本当に人を殺したことがあるんじゃないかって思わせるくらい」。

それほどの凄みと気迫に満ちた立ち回りは、そう誰もが易々とできるものではありません。

「踊りになりたくなかったんだよね。人を斬ったり殺めたりするときには、その死の痛みが必要だと思う。梅安の、町人ゆえの自由な生き方に対して、武士の義理に縛られている友五郎の生き様が上手く表現できた」という監督の想いが詰まった殺陣を、どうぞご堪能あれ。

 

(c)「仕掛人・藤枝梅安」時代劇パートナーズ42社

 

京都の滞在期間中、残念ながらコロナ禍ということもあって、なかなか共演者と食事に出ることもままならなかったよう。監督のご贔屓は、四条切通にある「権兵衛」。「お休みの日には蒲鉾で昼からお酒を一献いただくのが好きでね。あと、丼が旨いんですよね」とにっこり。ええ、ぜひとも、映画の余韻を肴に、明るいうちから酒杯を傾けにまいりましょう。

 

【作品データ】

『仕掛人・藤枝梅安』『仕掛人・藤枝梅安2』

監督:河毛俊作

原作:池波正太郎「仕掛人・藤枝梅安」(講談社文庫刊)

脚本:大森寿美男

出演:豊川悦司、片岡愛之助、菅野美穂、小野了、高畑淳子、小林薫

第一作ゲスト:早乙女太一、柳葉敏郎、天海祐希

第二作ゲスト:一ノ瀬颯、椎名桔平、佐藤浩市

配給:イオンエンターテイメント

 

【第一作】絶賛公開中【第二作】4月7日よりMOVIX京都ほか全国劇場で二部作連続公開

映画「仕掛人・藤枝梅安」公式サイト (baian-movie.com)

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ライター紹介

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ライター:椿屋 山田涼子

京都拠点の映画ライター、グルメライター。合言葉は「映画はひとりで、劇場で」。試写とは別に、年間200本以上の作品を映画館で観るシネマ好き。加えて、原作となる漫画や小説、テレビドラマや深夜アニメまでをも網羅する。最近Netflixにまで手を出してしまい、1日24時間では到底足りないと思っている。

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