- 2021/03/25
- 第24回 〝春分〟に「桜のぼた餅とこごみの酢醤油漬け」を
京都御苑近くの京町家カフェ「まつは」。こちらを営む西村めぐみさん、由香さん姉妹に、毎月、季節にぴったりな美味しいもののレシピを教えてもらおうと企画した連載も第4回を迎えました。
今回、紹介するのは「朴葉飯」。ホオノキの葉で包んだおむすびで、時には「まつは」のランチにも登場するという一品です(写真は2016年5月に撮影されたもの。めぐみさん提供)。
ホオノキは高さ30mもの大木となるモクレン科の落葉高木で、その葉っぱは30~50㎝とビッグサイズ。したがって、このおむすび、とっても大きいのです!! 一つで満腹になるようなボリュームが持ち味…なのですが、取材時には、朴葉が手に入らず急きょ、いくぶん小ぶりなフキの葉で代用することに。「不本意なサイズです(笑)」と、お二人もちょっぴり残念そう。
お家で作る場合、近所にホオノキがなくても、5~6月ごろにはネットショップにフレッシュな青い朴葉が出回ったり、また、塩漬けのものであれば京都の乾物屋さんで、料理屋さん向けに販売されていたりもするようなので、気になる人はチェックしてみて。
「もし、どうしても葉っぱが手に入らないときは、お椀によそって食べてもらっても。ホッとする味ですよ」(めぐみさん)。
今年の〝小満〟は5月20日
〝小満〟とは、陽気が良くなり、全てのものが次第に成長して天地に満ち始めるころ、を意味するそうで、今年は5月20日です。
「春に出てきた新芽の、赤ちゃんっぽさが抜けて立派になってきたな、なんて感じたりもして。そういうものを見て、元気をもらっています」と、めぐみさん。
確かに! お店の庭の植木も近所の京都御苑も、気が付くと、風景のメインカラーが若草色から、キリリと濃い緑へと移ってきていますね。
朴葉飯は、由香さんが福井県・今立(いまだて)という地方のお友達の家で食べたのが、その味を知るきっかけ。まさに出合いは小満のころだったといいます。
もともとは5月の田植えのころにおやつとして食べられていた郷土料理のようですが、そのボリュームとともに驚かされるのが〝甘いおむすび〟であること。中身は、甘いきなことごはんのみ、と至ってシンプル。熱いごはんを朴葉で包み、しばらく置くと、緑色の葉が茶色く変色するのが、美味しくなったサイン。朴葉独特の良い香りがごはんに移り、湿気を含んでとろけるようになったきなこが何ともいえない味わいだとか。
「お店で提供するときには、もう少しごちそう感を出したくて、錦糸卵(きんしたまご)をプラスしました」(由香さん)