- 2018/10/04
- 1000年の歴史!京都発祥の発酵文化を受け継ぐ種麹屋「もやし屋 菱六」
“目指すは昭和の小さな商店街” まっすぐ正直にごま油で日本と世界を盛り上げる
今年の3月まで社長業も休まず、同志社大学のビジネススクールにも通われていた山田さん。
大学で学ばれたことを生かし、育休のお母様方へMBA普及の為の講座をされたりと様々な活動をされています。
ビジネススクールを通して出会った素敵な先生と出張を兼ねてアメリカに通う中、日本のマーケットとアメリカのマーケットの差から日本が衰退してきているのを感じているといいます。
少子高齢化で人口が減っていき、市場マーケットが縮小していく中では、これまで成功した一極集中型の今までのビジネススタイルでは成り立たない。これからは一つ前の時代に戻り、地域密着型の会社にしていきたいと山田さん。
“昔ってお豆腐を買いに行く時に、近所のお豆腐屋さんにボールやお鍋を持って行った時代があって。お酒でもお醤油でも瓶を持って行ったら詰めてくれた時代。
僕はそこに戻るべきやと思っているんです。ごま油も瓶を持ってきてくれはったら入れて、いりごまやすりごまでも持ってきてくれたらそこに入れるとか、そんな風な売り方をしていきたいって。ちっちゃい地域で根ざすべきだと僕は思う。
ごま油・ごま製品を売るんではなくって、ライフスタイルを提案するのが山田製油だと思っているので。なんでもかんでも便利やっていうて、出来合いのもの買ってきますとか添加物いっぱい入っているものとか、コンビニで添加物入っているものを買うんじゃなくて自分たちで作りましょうって。
やっぱり食事っていうのは、例えば恋人でも家族でも友達でも、一緒に食べた方が美味しいよっていうのを提案するのが僕たちの仕事だと思っているので。 ”
未焙煎で絞られている「くっきんぐせさみおいる」。未焙煎だからこその生の植物のような香り。まろやかなのでどんなお料理とも相性が良い万能な油◎
山田製油は烏丸御池で「ゴマクロサロン」というカフェ兼ワークショップ店舗も運営もしています。これから子供を育てる若い女性の方々や、子育て中のお母様に向けた食育や食の安全について伝えていくためのライフスタイル提案を形にするために作ったお店。このお店の事例を成功させ、全国各地に様々な地域密着型の小さなお店が出来てビジネスの仕組みを一緒に盛り上げていきたいといいます。
ビジネススクールで学ばれて、マーケティングについても新たな視点を持ったという山田さん。山田さんにとってのマーケティングとは、“パートナーであること”。
“来てもらうとか、お客様という感覚ではなく「同じ価値観を持っているものが集まって小さくてもやっていきましょう。」と。
その中でやるんだったら、”嘘”を使わない。”嘘”を使わなくてもできる範囲が一番良いんじゃないかなって。人間って嘘をつき始めたらずっと吐き続けなければいけなくなるし、嘘をつき続けたらほんまに嘘かどうかも分からなくなるし。 やっぱり人間って正直が一番いいし、みんなで笑えるっていうのが一番ええさかいに。 ”
「山田製油の自分じゃなくって、自分やったらどうなん?」と常に問いながら、顧客目線で物事を考えている山田さん。賞味期限が短くなろうと、一番自分の美味しいと向き合い続け正直に良いと思うことだけを追求していく。
それはものづくりの職人としてだけでなく、人に対しても同様で社員の皆さんとも無理せず嘘をつかないことをモットーにしているそう。
“やっぱり正直にお互いにやるっていうのが一番かなって思うので。特に仕事って、身内でもないやんか。家族でも恋人でもない人がもしかしたら一番長い時間一緒にいる可能性があるやんか。一緒におるんやったら、やっぱり好きな人とおりたいやん。僕はそういう会社を目指したさかいに。そして、そういう人が付いて来てくれていると思うし。”
パートも社員もスタッフは家族のように考え、個人の権利を一番に考えているという山田さん。卒業したビジネススクールが良かったからと、自分の卒業と同時に他の社員さんを入学させたり、有給を100%出し他で勉強する機会を与えるなど、社員さんが求める良いことに全面的に協力しています。サラリーマン時代に経験した良かったこと、嫌だったことを反映させていると仰る山田さんから社員さんにとって仕事が楽しいと思える環境を提供したいという思いをとても感じました。
そして、自身も楽しむことが社員の面白いに繋がるといいます。
取材中もみんな元気にお仕事をされてた皆さん。元気な雰囲気を感じました◎
今年、マレーシア国籍の方が仲間に加わった山田製油さん。今後はさらに社内をグローバル化し、公用語を英語に、そして海外にショップを出すことを考えているそう。
“人種も違う、考えも違う。でもその色んな人たちがまとまって何かをやるっていうことをやらへん限り、会社ができへんかったら国で出来るわけがない。僕らは絶対戦争なんて反対やさかいに、お互いに認め合いながら、慮りながら仕事を一緒にするべきだと思っているし、先に作っておきたいと思っている。”
山田製油さんには、精神障害者の方も一緒に働かれています。
山田さんの目標の一つに、障害者施設が国の補助金や助成金に頼らず自分たちのビジネスで資金を作ることがあります。この出来る仕組みを作る為に、「山田カリー」という、ラー油の残渣を元にしたカレー作りも行なっています。
大きなスキルがなくても働ける環境を作り、障害があることをハンデと思わず自立している社会になることも山田さんの夢の一つだといいます。
その夢を持ったきっかけって何かあるのかなと聞いてみると、「別にないねん。僕一緒やと思っているさかいに。」と山田さん。心の不調があることを当たり前と認め、そのまま受け入れその中で出来ることしてもらうだけでいいといいます。
“こういう考え方のきっかけはわからんし、自分が生きていく中でなんかずーっと考えてたらそうなっていった。多分、それは今の世の中からしたらちょっとずれているさかいに、素敵やというてくれる人もいるけれども普通はあんまそんな考えてはらへんやん。みんな「ちょっと変わっている」「そりゃ、理想はそうかと分からんけどね」とか。いや、理想じゃなくやろうやっていう。あかんかったらやめたらええやんけって。”
理想を理想のままにしない山田さんの考え方がどんどん大きく動いていらっしゃるんだなぁとお話を伺ってとってもワクワクしました。
どんな思いも大事にされていることが、今とこれからの山田製油さんに繋がってらっしゃるんですね。