グルメ・お土産

2017.09.25

誠に残念ながら「茶房一倫」はすでに閉店されました。

暑さ寒さも彼岸までと申しますように、随分と過ごしやすい日が増えてきましたね。

お彼岸のおはぎはもちろん自作した、あんこ好きライター、かがたにです。

 

夏場に取材をしていると、ガッツリとしたあんこ菓子の動きは、暑いとどうしても鈍くなると仰るお店が多かったのですが、ようやくマニア以外の皆さんもあんこモノに手が伸びる季節になってきたのではないでしょうか。

 

とはいえ、さすがにまだ「ぜんざい」には早すぎるので、

今回は「茶房一倫」さんの「冷やし白玉小豆(税込580円)」をご紹介したいと思います。

 

「茶房一倫」さんは、銀閣寺道のバス停からほど近く、白川通りから路地を入ったところにある隠れ家的なお店。

 

私がお邪魔した時に限っていえば、毎回、観光のお客様よりご近所さんの姿が多いように思います。

 

イートイン以外にも、生菓子のテイクアウトがあります。

 

生菓子はオーダーメイドも可能。

「凝ったビジュアルの依頼も楽しいけれど、個人的には古典的な表現のものが好きなんです」

と店主の藤田倫子さん。

 

学生時代はお茶屋さん(茶葉を売る方の)でアルバイトをするなど、早くから和の文化への興味はあったそうで、調理の専門学校卒業後、和菓子店勤務を経て、一年半前にご自分のお店をオープンされました。

 

鉄釜で沸かした湯でいれるお茶もおすすめです。

 

あんこを炊くのも、店内で行なっています。

今、使っているのは北海道産の小豆。

 

「その時あるものをできる限り、おいしくしたいと思っています」

 

小豆に限らず、小さな個人店では常に同じ品質のものが安定した価格で手にはいるとは限らないし、天候による不作で価格が高騰する年は、仕入れ先を変えなければならない場合もあるかもしれない・・・

 

そういう状況もひっくるめて、個人店の心意気がうかがえる頼もしい一言に感じました!

 

お店で炊く餡は基本的に2種類。

 

お茶菓子などに使う「包餡用」のものと、白玉小豆などに使う「かけ餡用」のもの。

 

冬になるとそこに「ぜんざい用」が加わるそう。

 

教えていただいた炊き方自体はとてもシンプル。

 

前の晩からしっかりと吸水させる。

豆の味と香りを残しつつ、何度か水を替えながら、ちょうどいい柔らかさになるまでコトコト炊く。

砂糖と合わせた後、さらに煮詰めていく。

 

煮崩れないよう美しく柔らかく炊くこと、約2時間。

この表情が砂糖の合わせどころ!

 

 

圧力鍋で炊いたりもしたけれど、かつて勤めていた店のように大量に炊くのと自分の店の分量とでは、仕上がりが違うと感じ、試行錯誤の末、現在の炊き方に落ち着いたそうです。

 

「時間はかかりますが、豆の顔が変わる瞬間を直に目で確認できるのが、私には合っているみたい」

 

気になった方法は試してみるのが信条。

取材中に「私はまだまだ」という言葉を何度か口にされていたのですが、それは明確な理想と、それに向かって「もっとうまくなりたい」という強い想いがあるからなんじゃないかなーと思った次第であります。

プロの「うまくなりたい」は20代でも80代でも痺れますね。

 

ほっくり、しっとり、粒の姿を程よく残した「かけ餡」が完成!

 

さて、改めて「冷やし白玉小豆」です。

 

センスの良さから滲み出る、いい意味での「今っぽさ」はありますが、決して派手なビジュアルにあらず。

 

それは、1回食べたら充分!とか、写真に収めて任務完了!

といったタイプの今時のスイーツとは違って、地に足のついた堅実なおいしさを目指しているからでしょうね。

 

だって、なかなか無いと思うんですよ!

近所の小学校低学年と幼稚園と思しき姉妹が

「私、かき氷のみぞれに小豆トッピングがいい!」

「あ、でも白玉もちょっと食べたいしな〜…」

って悩んでる姿が見られるお店。

 

みぞれに小豆て・・・!渋すぎる(笑)!

 

 

ところで、お気づきでしょうか?

これ「あんみつ」じゃないんです。

ほら、蜜がかかってもいないし、添えられてもいないでしょ?

 

蜜の甘さで食べさせるわけではないのがポイント。

 

 

 

あんこの甘さと、適度なゆるさ。

白玉の甘さと、モチモチとした幸福感。

寒天の甘さと、儚い清涼感。

 

それぞれが完全な存在でありながら、器の中では三位一体の甘味として成立しているのです。

 

私は特にほうじ茶寒天とあんこの組合せが好きで、追い討ちをかけるように白玉を口に放り込むと無限ループの始まりを感じます。

 

盛夏の頃に食べた際も、すこぶるおいしかったのですが、特にこの時期に食べると、夏の名残と秋の訪れをしみじみと味わえるように思います。

 

 

「ぜんざい」と差し代わる冬本番まで、何度でも食べたくなる一品です。

Information
店舗・施設名 茶房一倫【閉店】
住所 京都市左京区浄土寺東田町19
電話番号 075-761-5810
営業時間 11:00~17:00(水曜定休)
交通 バス停「銀閣寺道」より徒歩1分
ホームページ https://www.facebook.com/ichirin1119/
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