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京都の歴史を“肌で感じる” ~京都市埋蔵文化財研究所・深草収蔵庫バックヤードツアー体験記~

2023/06/30

学生時代は考古学を専攻していた深草地域ライターのたけばしんじです。

京都市埋蔵文化財研究所・深草収蔵庫でバックヤードツアーが開催されると聞き、参加してきました。

深草収蔵庫は、伏見区深草西浦町にあります。深草収蔵庫でのバックヤードツアーは、今回が初めての企画ということでした。

 

「埋蔵文化財」について

バックヤードツアーは、「埋蔵文化財」についてのレクチャーから始まりました。

 

現在、全国では年間9,000件の発掘調査が行われているそうです。そのほとんどが、緊急調査と呼ばれるものです。緊急調査とは、地下に遺跡のある場所に建物を建てる場合、工事の前に行われる発掘調査のこと。よほど重要な遺構が発見されない限り、発掘調査後には遺跡は破壊されてしまいます。そこで、遺跡は図面・写真・測量データなどによって記録され、発掘調査報告書にまとめられます。これを「記録保存」といいます。全国の発掘調査のほとんどは記録保存が行われ、遺跡自体は消えてしまっています。

 

発掘調査で出土した土器などの遺物が「埋蔵文化財」と呼ばれます。京都市では、年間50件ほどの発掘調査が行われていて、過去60年間でコンテナケース21万箱を超える数の遺物が出土しているそうです。これらは深草収蔵庫を含む複数の収蔵庫に保管されています。深草収蔵庫には、市指定文化財の候補となるものや研究資料として活用度の高いものを中心に、約12,000箱分の遺物が収蔵されているそうです。

中学生の職業体験を受け入れ

深草収蔵庫の業務には、博物館・美術館・大学や研究機関への遺物の貸し出し、出土遺物の整理・ランク分け、市指定文化財候補の選定などのほか、中学生のチャレンジ体験(職業体験)や大学の博物館実習生の受け入れも行っているそうです。中学生のチャレンジ体験は中学2年生を対象として春と秋に行われ、1日目は京都市考古資料館、2日目は発掘体験、3日目が深草収蔵庫で4日目は下鳥羽収蔵庫というプログラム。中学生の皆さん、保護者の皆さん、これはなかなかできない体験ですよ。

収蔵庫内を見学

次に,収蔵庫内を見学しました。1階と2階に遺物が入ったコンテナケースがびっしりと積み上げられていました。ケースにはそれぞれシリアル番号が振られ、収蔵庫内のどの位置にあるかがデータで検索できるようになっているそうです。しかし、ケースを出し入れするのは手作業。重い石器や土器が入ったケースを、頭の上から下ろしたり持ち上げたりするのは、大変な重労働だろうと思いました。

ケースに入らない大きな甕(かめ)などは、床に直接置かれていました。うっかり蹴飛ばしたりしたら大変なので、慎重に歩きました。

「大仏瓦」と書かれたケースに入っていたのは、豊臣秀吉が建立した方広寺大仏殿の瓦でした。方広寺といえば、大坂冬の陣・夏の陣のきっかけになったとされる「国家安康の鐘」で有名です。かつては大伽藍がありましたが、大仏殿は豊臣秀頼の時代に焼失してしまいました。この方広寺の発掘調査で出土した瓦には、焼け焦げて黒くなった部分が生々しく残っていました。

遺物に触って歴史を体感

最後に、各時代の遺跡についての説明を聞きながら、土器や石器に触れさせてもらいました。縄文土器は重く、弥生土器は比較的に軽いことや、肌触りの違いが実感できました。これから博物館で展示される予定の縄文土器を触ることもできました。ガラスケースの中の展示を見るのとは大違いで、土器を使った古代の人々の息吹に触れる思いでした。

奈良時代から江戸時代までつくられた土師器の皿は数多く出土していて、時代によって形や大きさ、色などに異なる特色が見られるとのこと。これを利用して、約30年単位で編年表がつくられ,遺跡の時代を知るものさしとして使われているそうです。

平安京朝堂院の瓦も手に持たせてもらいました。ずっしりとした重さを感じました。当時の建物にいかに重い屋根が載っていたかを想像すると、太い柱や巨大な礎石が使われていたのも納得できます。

土器のほかに、国産磁器についても説明がありました。土器が土(粘土)でつくられるのに対し、磁器は陶石と呼ばれる鉱石が原料となります。豊臣秀吉が朝鮮出兵の際に連れ帰った陶工の1人が、九州の有田で陶石を発見し、磁器の技術を伝えたのが始まり(伊万里焼)。江戸時代には、仙台藩の伊達綱宗が伊万里焼の窯元に注文して菊の御紋入りの磁器をつくり、天皇に献上したそうです。毎月新調され、古いものは「禁裏御用品」として下賜されたため、公家の屋敷跡などから出土するとのことでした。

 

今後のバックヤードツアー開催について

今回は初の試みで、宣伝も控えめだったためか、参加申込者は7名でした。今後の計画について伺ったところ、好評なら、来年度以降も年1回程度は開催したいとのことでした。私にとっては大好評だったので、ぜひ来年も開催してくださいとお願いしてきました。開催が決まれば、京都市考古資料館から発表されるそうです。

 

なお、深草収蔵庫は研究施設であり、見学コースなどは設けられていません。いきなり訪問するなどの行為はご遠慮ください。展覧会などへの遺物の貸し出し等を希望される場合は、京都市考古資料館に問い合わせてください。

https://www.kyoto-arc.or.jp/blog/chousa_kyoka.html

 

スポット情報

店舗・施設名 京都市埋蔵文化財研究所深草収蔵庫
住所 京都市伏見区深草西浦町8丁目118−3
営業時間 ※通常非公開

地図

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ライター紹介

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ライター:たけばしんじ

深草地域の文化「保存・継承・創造」プロジェクト実行委員、伏見チンチン電車の会代表、ステンシル作家、その他得体の知れぬ肩書が複数。 あまり人に気付かれることのない、実生活には無関係な重箱の隅を、穿った視点で追究してみたいと思います。 1987年日本大学文理学部史学科卒業。本業は教育関係。

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