グルメ・お土産

2020.08.28

こんにちは、藤松です。
今回は久しぶりに、祇園のお店のご紹介です。

 

「祇園・上茶谷(かみちゃたに)」は以前は団栗通にありまして、そこで16年ほど「居酒屋 上茶谷」と名乗って営業していました。
「居酒屋 上茶谷」の時代からとても雰囲気のある店で、京都の人にも、観光客の方にも愛される人気店でした。

 

このたび祇園に移ったのは、オーナー・上茶谷さんが独立を果たしたからです。
「居酒屋 上茶谷」時代は、ご自身のお名前を冠しつつ、実はオーナーは別にいて、いわばサラリーマン店主として店を切り盛りしてきました。

「サラリーマンではありましたが、仕入れから何から、自由にさせてもらいました」
と、上茶谷さんは穏やかに語ります。

 

それが今回、独立しようと考えたのは―。

「子どもも成長したし、50を目処に独立しようと決めました」
時代の変化や人生の区切りを感じた上茶谷さんが決断した時期が、今年の初めだったというわけです。

 

「前の店(居酒屋 上茶谷)を閉めたのが今年1月18日。それから有休をとったりしまして…」
自分の店の開店準備のタイミングが新型コロナウィルス流行と重なってしまいました。
でももう後戻りはできません。

 

「この店の家賃も2月から発生していました。新型コロナ流行のお陰で内装工事も遅れて、オープンしたのが5月18日です」

 

いきなりの逆風でしたが、奥さまはじめご家族の応援もあり、それからゆっくりと祇園に時を刻み始めました。
ご自身の店を祇園に出そうと思ったのは、居酒屋時代の店からさほど遠くないから。

「祇園なら常連のお客さんもまた来やすいだろうと思って」
お客さんを思う上茶谷さんの気持ちが伝わります。

 

上茶谷さん自慢のお造りでまずは一献!

本日、カウンターに腰かけて、やはり最初にいただくのはお造り。
「何から…」というお客様には「まず魚を食べてほしい」という上茶谷さん。
わたしも軽く盛り合わせてもらって、今日は「純米辛口 浦霞」とともにまずはひとりで乾杯。
(お造り盛り合わせは一人前1600円~)


■今日のお造りは、鯛、しまあじ、イカ、タコ、そしてまぐろ。外はめちゃめちゃ暑いけれど、あっさり目のお造りに、よく冷えた純米酒がここちよい!

 

■「本日のおすすめ」はじめメニューは毎日書き直します。いま(8月半ば)はさざえや岩ガキも人気なのだそう。

 

 

真夏でも湯気を立てるおでんは、赤垣屋時代から受け継いだもの

 

料理の道に入って最初の10年、上茶谷さんは京都でも知る人ぞ知る名居酒屋、赤垣屋に10年いました。そこで魚の扱い方や、料理に関するいろいろなことを習得していったそうです。

いまも魚の一部はその当時の伝手で仕入れています。また、それ以外に赤垣屋にあって、「祇園 上茶谷」にもあるのが“おでん”(1つ300円~)です。

今日も外は35度を超える猛暑日。でもこうして少し腰を落ち着けられると、やはり目の前の四角い大鍋が、気になるんですよね~。
暑いけど、やっぱり食べたい。
せっかくなのでチロリでつけているという燗酒(松竹梅 山田錦特別純米 800円)も一緒にお願いしました。
選んだおでんタネは、よく味が染みておいしそうな大根に厚揚げ、そしてごぼう天です。

 

■盛夏のアツアツも悪くない!? おでんはこの四角い鍋に入っているとぐっと「食べたい」度が上がる気がします。

 

夏バテ解消にも! 〆はキリッと熱い赤だしのしじみ汁を

おでんと熱燗で、またギュッと汗が噴き出ました。
上茶谷さんといろいろ話は弾みますが、いつの間にか話題はここ、祇園界隈のことに。
私はお酒を届ける側として、上茶谷さんはそのお酒をお客様に提供する人として祇園の中に長くいました。
よくも悪くも、祇園はその時々の京都を写しだす、ひとつの鏡でもあります。
そして上茶谷さんは、祇園のいちばんいい時を知らないと言います。

「今年はお祭りもなかったですしね」

 

 

新型コロナの流行で、いつもと比べて静かな祇園。
周囲がざわつくと色々落ち着かなくなるのが人ですが、上茶谷さんの口調は、嘆きや諦めなどは全然なく、とても淡々としています。

 

■しじみ赤だし(500円) 宍道湖産のおおぶりなしじみがたっぷりはいっています。

 

連日、猛暑猛暑と伝えられても、毎日、コロナの感染者数が報道されない日がなくても、上茶谷さんは動じることなく、ここで仕事を続けていかれるのだろうと、大きくてうまいしじみの赤だしを啜りながら感じました。

 

■いまは役目を終えた「居酒屋 上茶谷」時代ののれん。年季を感じます。

 

だからこそ常連さんも帰ってきて、また新しいお客さんも増えて、この地にちゃんと根を張っていかれると思います。
お客さまが、接客が一番大切という上茶谷さん。こうした店が祇園にちゃんと残ること、それが京都にとって大事なことなんです。
いつか上茶谷さんと、「いちばんいい祇園」を見られたらいいなあと思いました。

 

今日は暑いうえに、いろいろ、熱かった!

ごちそうさま!!

Information
店舗・施設名 祇園 上茶谷(かみちゃたに)
住所 京都市東山区大和大路四条上る 二筋目東入 末吉町78-1 西垣ビル1F
電話番号 075-531-3030
営業時間 17:00~23:30
水曜日定休
交通 京阪「祇園四条」駅 9番出口より徒歩2分
ホームページ https://www.gion-kamichatani.com/

Writer藤松幸一

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Writer藤松幸一

南区の業務用酒販店・株式会社ふじまつの社長。 美味しい料理とお酒大好きな1975年生まれ。 『飲食店のトータルサポート』 をテーマに、ただ売るだけでなくお客様がご繁盛して頂ける環境づくりをお手伝います。 面白おかしく、たまには真面目に素敵なお店情報をお届けします。
Twitter:@LIQUR_fujimatsu
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