電気の神様「電電宮」
境内には電気関係者の信仰を集める、電電宮(でんでんぐう)もあります。電電宮のはじまりは西暦800年頃。当初は明星社(みょうじょうしゃ)という名称でした。弘法大師の高弟 道昌僧正が修行の満願の日に、空から降る明星の中に虚空蔵菩薩の姿を見たとされ、その明星を表す電電明神(でんでんみょうじん)を明星社にお祭りしていました。しかし明星社は幕末に起きた禁門の変で焼失してしまったのです。
社の近くには電電宮のいわれ書きも
家庭に電気が普及しはじめた1956年、関西の電気電波関係者により、明星社は電気・電波の祖神として再建されました。電電明神は雷の神様。雷とは自然発生する静電気のこと。すなわち電気の神様というわけです。その後、大阪万博の年に電気関係者や在阪テレビ局によって社殿が再興され、現在の電電宮となったのです。
電電塔の背後に掲げられたトーマス・エジソンのブロンズ胸額
現在では電気関係者だけでなく、コンピューターや通信事業の関係者からも信仰を集めています。山門近くには発明家トーマス・エジソンと、電磁波の存在を実験で示したハインリッヒ・ヘルツのブロンズ胸額が掲げられた電電塔もあります。さらに法輪寺では電気自動車およびハイブリッドカーの電気システム安全祈願も受け付けています。電気のことなら何でもござれ、頼もしいですね。
渡月橋ともゆかりが
渡月橋
法輪寺の舞台から眺めることが出来る嵐山の名所、渡月橋はもとは法輪寺橋という名前でした。法輪寺を中興した道昌僧正が天皇の勅願により、大堰川を修築して架けた橋だったのですが、のちに亀山上皇が船遊びでこの橋にかかる月を見て、「くまなき月の渡るに似る(曇りのない夜空に、 満月が橋を渡っていくようである)」と言ったことから、渡月橋と命名されました。
階段がちょっと急ですが、嵐山側からは山門へ回るより近道
山門とは別に、渡月橋からすぐの場所にも法輪寺への入り口があります。数えで13歳になった子どもが智恵を授かりに来る伝統行事「十三まいり」をはじめ、多くの方がお参りに来ます。
五山送り火が見られる舞台も
見晴らしのよい舞台と呼ばれる見晴台も。こちらからは渡月橋のほか、京都市内を一望できます。さらに夏の風物詩、五山送り火の左大文字と鳥居形が見られます。送り火の日には一般の方にも解放しているのだとか。
手前の山の中腹にうっすらと鳥居形のあとが
この場所は鳥居形から近いため、送り火の時期でなくてもうっすらと鳥居の形が見られますよ。
丑・寅年の守り本尊
本堂向かって左側にある牛の像
さらに虚空蔵菩薩は、丑・寅年の守り本尊でもあります。境内には狛犬ならぬ、牛と虎の像が。
本殿向かって右側にある虎の像
丑・寅年生まれの人々の開運、厄除け、祈願成就などにもご利益があるとされているんですよ。
羊の像
さらに羊の像も。この羊は虚空蔵菩薩が姿を変えた、またはその使者であるといわれていて、頭を撫でると智恵を授かれるそうです。せっかくなので、多めにナデナデしておきましょう。
観光地・嵐山からもほど近いこのお寺。毎年10月には宇宙にまつわる催し「宙フェス」も開催されています。見晴らしもよく静かな雰囲気も味わえますので、一度訪れてみてはいかがでしょうか。