時代に応じて変化をしてきた「甘さ」と技。
売り場の奥の小さな工房を覗かせていただくと、年季の入ったガス釜と、餡づくりのための銅鍋が壁際に鎮座ましましていました。
すぐ傍にぶら下がる何種類もの大きな木ベラは、あんこの種類や工程に合わせて使い分けているそうです。
「親父の代に入れていた砂糖の割合を、僕の代では少し減らしています。ただ、最近の甘さ控えめの風潮の中では、ウチの餡はしっかりと甘さがある方かもしれませんね。でも、材料も道具もそんなに特別なものは使ってないですよ」
と甘さはしっかりめ、主張は控えめなのは三代目のご主人・将野 雅史さん。
そこを何とか…!と食い下がると、
充分な甘さがありながらも、後味のキレがいいのは、不純物の少ない鬼ザラ糖を使っているからだと教えてくれはりました。
ちなみに、「つばき餅」のこしあんにさらに水飴を加えて練り上げたあんを使っているのが、同店の看板商品でもある「宇賀の月」(税込170円)。
断面からみずみずしさが伝わるでしょうか?
生地にあんこの水分が持っていかれないように、水飴を加えることで保湿性を高めているそうです。
月にかかる叢雲を表現したというビジュアルも素敵。
しっかりとした生姜風味で好みは分かれそうですが、私は大好き。
日本茶だけでなく、紅茶やコーヒーとも合うお味だなと思います。
(金沢銘菓の「柴舟」という和菓子が好きな方は、ぜひトライしてみてください!)
お店から歩いて行ける宇賀神社は藤原鎌足ゆかりの古社。
京都で最も古いとされる神社の一つです。
併せて訪れてみてはいかがでしょう。
「二葉軒」さんでは2月いっぱいまで「つばき餅」を販売されるそうです。
桜のあでやかさや儚さとは一味違う、素朴な味わいをお楽しみあれ!