おでかけ

2026.02.27

こんにちは。デジスタッフのエンドウです。

京都大学吉田キャンパスの新しい交流スペース 『linkhub@(リンクハブ)』 で、能登島をテーマにした展示が開催中です。

今回、能登島での調査と住民の方々との活動を続けてきた前田昌弘先生(京都大学人間・環境学研究科)と、研究室に所属する大学院生の坂本光さんに、展示の背景や見どころについて伺いました。

 

京都大学に到着!

到着しました、京都大学。

いつ見ても、堂々とした時計台が印象的です。京都のシンボルですね。

国際科学イノベーション棟に向かって歩いていくと、おしゃれな外観のファミリーマートが見えてきました。

入口近くには『linkhub@(リンクハブ)』の看板が!ここが今日の目的地です。

おしゃファミマです

おしゃれファミマの中にある、交流スペースの『linkhub@(リンクハブ)』

店内の一角は、カフェのような雰囲気の交流スペースになっています。

ここ 『linkhub@(リンクハブ)』は、京都大学の研究者と企業の開発者、そして学生が交流し、イノベーションを生み出すための新しいスペースなのだそうです。

スタートアップ支援や共同開発の拠点として使われていて、大学の『外』と『中』が自然につながる場所。

思いもよらない出会いから、新しいプロジェクトが生まれていく…そんな期待に満ちた空間です!

ふと振り返ると、壁際に展示パネルが設置されています。

ここで前田先生、坂本さんと合流し、展示についてお話を伺うことになりました。

 

能登島との出会いと、展示の目的

(右)前田先生(左)坂本さん

前田先生:
「能登島をご存じですか? 能登半島の真ん中に位置する島なんですが、実は島があること自体を知らない方も多いんです。

私たちは、一昨年の元旦の震災後から能登島に関わり始め、これまで約2年間、調査や住民の方々との活動を続けてきました。

今回の展示は、その活動を共有しつつ、能登島に興味を持つ人や、これから訪れてみようという人を増やすことを目的にしています。」

 

『あわいを繕う島』―タイトルに込めた意味

能登島の海岸で拾った流木や魚網を用いて作られた看板

前田先生:
「『あわい』には、いくつかの意味を込めています。

能登島は、奥能登と金沢のあいだにある中間地点で、歴史的にも海運の中継点として『空間的なあわい』であり続けてきました。

また、被災から復興へ向かう『時間的なあわい』という意味もあります。

今回の地震では、東日本大震災の時の東北のように国の復興事業が一気に入るのではなく、個々の再建に委ねられている部分が大きい。なかには集落ごとたたむ判断をする地域もあります。

そうした状況のなかで、人々が何かを自分たちの手で作ろうとしたり、生活を立て直そうとしたりする営みは、古くから続く時間をなんとか繕い、今へとつなぎとめようとする姿勢のように思えました。

今回のタイトルには、そうした思いや背景を込めています。」

 

カード型展示の仕組み

カードデザイン・斧澤未知子

坂本さんが棚から取り出したのは、小さなカード。

能登島の風景や営みを切り取った写真と、短い説明文が添えられています。

坂本さん:
「カードは70種類ほどあります。パネルのように決まった順番で説明するのではなく、来場者自身が興味のあるカードを選び、自分なりに能登島の『あわい』を解釈してほしいという狙いです。

カードのデザインは、デザイナーの斧澤未知子さんにご協力いただきました。」

エンドウ:
「写真の雰囲気がフィルムっぽくて、若い人も手に取りやすいですね。」

坂本さん:
「実は、研究室のインクジェットプリンタで印刷して、みんなでカッターで切っただけなんです(笑)

でも結果的にフィルムのようなトーンになって、いい雰囲気になりました。」

 

島の湯に見える復旧のリアル

エンドウ:
「これはお風呂屋さんのカードですか?」

前田先生:
「そうです。『島の湯』という能登島で唯一の天然温泉の銭湯です。

断水が続く中でも温泉には入れたため、多くの住民にとって大きな支えになった場所なんです。

写真とともに、そのエピソードを紹介しています。」

坂本さん:
「写真の裏に関連カードの番号が書いてあって、そこから別のストーリーに広がる仕掛けになっています。」

 

ZINEとして『自分の能登島』を持ち帰る

前田先生:
「最初は報告書にまとめる案もあったのですが、調査や活動はまだ進行中のものも多くてまとめきれない。

そこで来場者が自分の関心でカードを選び、オリジナルのZINEをつくって持ち帰れる仕組みにしました。」

坂本さん
「生き物だけ集めてつくる人もいるし、被災の写真だけ、青い写真だけ、食べ物だけ…どんな構成でもいいんです。

自分の気づきで、能登島を編集してもらいたい。」

エンドウ:
「この雪景色のカード、もうなくなってますね。」

坂本さん:
「本当だ。人気なので、補充しなきゃですね!」

 

伝統行事向田(こうだ)の火祭りを追う―坂本さんの調査

坂本さん:
「2024年にも『向田の火祭り』を開催したのですが、震災直後だったので地域では開催の可否について葛藤がありました。

でも調べていくと、地震だからやる・やらないではなく、もともと人口減少や担い手不足が背景にあり、被災はその状況をさらに浮き彫りにしただけだと分かったんです。

僕自身、東京郊外の出身で、こうした祭りの文化に触れるのが初めてで、とても新鮮でした。」

棚に置かれた火祭りの写真集(制作・天羽生悠矢)

前田先生:
「松明は重機が小さく見えるほど巨大です。倒れた方向で翌年の豊作・豊漁を占うんですよ。」

他団体(東北大学・佃研究室,専修大学・佐藤研究室)との共同研究の成果も

 

被災物が語る暮らしの記憶

次の展示エリア『QURIOSITY PORT(キュリオシティ ポート)』へ移動すると、瓦、漆器、九谷焼、給水タンクなどが並んでいました。

前田先生:
「被災した家屋から出てきた食器や瓦です。冠婚葬祭のため、漆器が20セット以上あるのが能登島の古い家では普通。家ごとに家紋のような印が入っていて、代々受け継がれてきたものなんです。

処分されるはずだったものを住民の方から譲り受けて、京都まで運んできました。」

エンドウ:
「立派な漆でピカピカしています。わたしも欲しくなりました。」

前田先生:
「漂着物もあります。能登は漂着神信仰があり、流れ着いた木を神様として祀ることもあったそうです。

海流の関係で、外国からの漂着物も多いんですよ。」

坂本さん:
「この青いタンク、香港って書いてありますよね。」

 

芸術作品『自動車冷蔵庫』との偶然のコラボ

前田先生:
「隣にあるのは國府理(こくふ・おさむ)さんというアーティストの『自動車冷蔵庫』。

展示中に不慮の事故で亡くなり、作品も長く放置されていましたが、今回たまたま京都市立芸術大学や京都大学の関係者の手により別のプロジェクトで修復が進み、展示期間が重なりました。

再生や再起動というテーマが、能登島の復旧ともシンクロしていて、とても良い偶然でした。」

 

デジタルフォトフレームで見る「能登島の息づかい」

デジタルフォトフレーム編集・土田亮

坂本さん:
「ここには、能登島の祭りや震災後の日常、学生が制作したvlogなどを映し出すデジタルフォトフレーム を設置しています。」

エンドウ
「どの写真・動画も、生活感や温かみを感じますね。

能登島の空気感を、よりリアルに感じられる気がします。」

能登島の全体地図。地図に貼られた番号は展示品とリンクしています

 

最後に

前田先生:
「能登島には被災地としての顔だけでなく、文化、自然、食、そして何より人の営みがあります。そこに光を当てたい。

この展示が能登島を知るきっかけになってくれたら嬉しいです。」

坂本さん:
「とにかく一度行ってみてほしいです。新しい発見がたくさんあります!」

 

能登島のいまを、京都にいながら知ることができる今回の展示。

春の気配が近づくこの季節、ぜひ京都大学へ、そして能登島へ足を運んでみてはいかがでしょうか。

Information
店舗・施設名 京都大学吉田キャンパス・linkhub@およびQURIOSITY PORT(本部構内 国際科学イノベーション棟東館1階 ファミリーマート横)
住所 京都府京都市左京区吉田本町
営業時間 平日の7:00~8:30および17:15〜20:00
※土曜・日曜・祝日の10:00~17:00はlinkhub@側のパネル展示等のみご覧いただけます。
※『自動車冷蔵庫』の展示は3月末まで。
 ご不明な点などあれば「お問合先」よりご連絡ください。
お問合せ先 https://forms.gle/KEBskihxUg5tVR8C7
ホームページ https://www.instagram.com/p/DU9VX7LEjNd/?utm_source=ig_web_copy_link&igsh=NTc4MTIwNjQ2YQ==

Writerデジスタイル京都スタッフ

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Writerデジスタイル京都スタッフ

タカラサプライコミュニケーションズではたらく京都大好きメンバー。 定番から穴場まで、幅広いKYOTOの情報をお届けします!
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