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京北のとれたて野菜で12か月レシピ

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京北の畑から。とれたて野菜でアウトドア料理! 【第10回】1月は、蕪(かぶ)のレシピ。「玉子蒸しの蕪入り餡かけ」をどうぞ

2023/01/23

おいしいものって、食べるのはもちろん、それができあがる過程も美しいですよね。

 

京町家カフェ「まつは」の西村めぐみさんと一緒に、ライターの市野亜由美が毎月一回、京都の里山、京北弓削(ゆげ)町の農家さんのもとを訪れる当企画。アウトドア料理の〝キャンプ飯〟ならぬ、〝ファーム飯〟を作って食べて、レシピもご紹介していきます。

 

蕪の収穫は年に2回。冬は、実がしまって甘みが強い

畑を案内してくれるのは、「京農園よしだ」の吉田修也さんです。京都市の北部山間にある京北町の休耕田を利用した広い土地(約4.5ha)で、年間約100種類の京野菜・ヨーロッパ野菜を生産されています。

 

さあ、それでは今日のメイン食材、蕪の収穫です!

 

こちらが蕪の畑です。一反(いったん)ほどの広さといいますから、約300坪。白・紫・ピンクの4種類の蕪が8列の畝(うね)に植えられています。収穫シーズン中に、この畑から約1万個の蕪が穫れるのだとか。

 

 

「食用にしている部分は、根っこではなく茎。だから蕪の収穫は、土の上に乗っかっている実を拾うイメージなんです」(吉田さん)

 

たしかに、あっけないくらい、スッと抜けました。「ロシア民話の『大きなかぶ』の絵本なんかでみるような、あんなことはないですね(笑)」と、吉田さん。

 

―蕪について、教えてもらえますか?

吉田さん:蕪はアブラナ科・アブラナ属に分類される野菜です。原産地は地中海沿岸で、高温に弱く、涼しい気候を好むため、春と秋が栽培に適しています。うちでは、3月末に種をまいたものを5月~梅雨前に収穫し、9月に種をまいたものを11月くらいから収穫し始めます。この冬場の蕪は畑に雪が積もっても問題なく、2月くらいまで穫れます。春の蕪は早く育つぶん、柔らかくてみずみずしいのに対して、冬場のものは生育がゆっくりで、実がギュッとしまり、甘みが強くなります。

 

―さまざまな色の蕪がありますが?

吉田さん:うちで育てているのは、白い「はくれい」「ひかり」、紫色の「あやめ雪」、ピンク色の「もものすけ」の4品種です。「はくれい」は昔からある品種で、その甘さから〝ピーチかぶ〟と呼ばれることも。「ひかり」は、見た目が良くて美味、病気にも強い優等生。「あやめ雪」は肉質のきめ細かさがだんとつです。きれいなツートンカラーをいかしてサラダにしてもいいし、加熱してもおいしいです。「もものすけ」は柔らかくて、とてもジューシー。中までピンク色なので、サラダに使うと華やか。手で簡単に皮がむけるというユニークな特徴もあります。蕪は、生で良し、加熱して良し。それぞれの特徴をいかして、和、洋、中華、いろいろなお料理に使ってもらえるとうれしいですね。

 

―蕪の調理法や保存方法でアドバイスはありますか?

吉田さん:蕪は皮に辛みがあります。加熱すると、それほど気にならないかもしれませんが、生で食べるなら、厚めに皮をむくと、お料理がグレードアップします。むいた皮はきんぴらなどにすれば、無駄なくおいしくいただけます。蕪は、1週間くらい保存OK。収穫後も葉が実の水分を吸い上げるので、葉付きのものは、なるべく早く切り離してしまい、葉と実の部分を別々にするのがコツです。1個ずつキッチンペーパーに包み、ポリ袋に入れて冷蔵庫へ入れてください。

 

…と、お話しを聞きながら、収穫してきた蕪の泥を洗い流し、料理の準備も完了。ちなみに赤いマシーンは、ブラシとスポンジで葉付きの蕪を洗える優れものだとか。

この日は、めぐみさんファミリーと、友人2人、私の計6人が訪れ、にぎやかな現場です。

 

寒い時期にぴったりの餡かけ 蕪の味わい・香りの熱々おだしが美味!

じゃじゃーん! 連載第10回目にして、めぐみさんと吉田さんのコラボメニューが登場です。「昨年、寒い日にプライベートで畑におじゃましたとき、吉田さんが作ってくださった『玉子蒸し』がとってもおいしくて、リクエストしました」と、めぐみさん。

 

玉子蒸しは、今回は熱々の餡かけに。具材は収穫したての色とりどりの蕪だけ、の潔い一品です。蕪の切り方は、あえて揃えない(コロンとしたざく切りと薄い半月切りの2種)のが、さすがのアイデア! こうすることで、一度にさまざまな食感を楽しめるんですね。

 

「玉子蒸しの蕪入り餡かけ」の作り方

〈材料(作りやすい分量)〉

~玉子蒸し~

卵10個 だし汁適量(卵1:だし汁3くらいの割合が基本。何回か作って、好みの固さを見つけるのがおすすめ)

~蕪入り餡~

カブ6個(今回は3種それぞれ2個ずつ使用) だし汁600cc 水溶き片栗粉、塩、しょうゆ各適量

 

〈作り方(「玉子蒸し」「蕪入り餡」は同時につくり、蒸したて熱々に餡をかける)〉

(1)「玉子蒸し」を作る。卵を溶き、だし汁を加えてよくかき混ぜる

(2)耐熱容器に(1)を入れ、蒸し鍋で蒸す

(3)中まで火が通ったら、できあがり

(4)「蕪入り餡」を作る。カブの皮をむき、3個(それぞれ1種類ずつ)を半月切りに、残りの3個をひと口大のざく切りにする

(5)鍋に(1)を入れ、だし汁を加えて中火にかける

(6)カブに火が通ってやわらかくなったら、塩で味付けをする

(7)いったん火を止め、よく混ぜながら、少しずつ水溶き片栗粉を加える

(8)全体にとろみがついたら、もう一度火を入れて、煮立ったら味見する。好みでしょうゆを加え、味を調える

(9)器に(3)をよそい、(8)をたっぷりとかける

 

※おいしい卵であれば、だし汁に代えて水でもOK

※むいたカブの皮は捨てずに取っておく。刻んでサラダや、塩もみして混ぜご飯に、と使うとよい

※「蕪入り餡」は、薄味で仕上げ、各自、好みでしょうゆをたらすのがおすすめ

 

畑の野菜と京都のとうふ店のおからをエサとして、敷地内で鶏を飼育。この平飼い卵も、人気の商品なのです。

 

「玉子蒸し」は、吉田さんの実家の味。「家にある器で、卵○個に対して、このくらいまでだし汁を入れて混ぜたらいい感じになる、っていうのを見つけたら簡単に作れるようになりますよ」とのこと。

 

吉田さんいわく、「蒸し時間も、特には決まっていません。万が一、す(※筆者註・細かい穴のこと)が入ってもおいしいし(笑)。我が家は石油ストーブの上に鍋を放置して、作ることもあるくらい」。こうした大らかさも、家庭料理らしくていいですね。

 

1月、京北の畑で、とれたて野菜をいただきます!

今回はアウトドアのため、熱々が長持ちすることもおいしさの重要ポイントだったとめぐみさんは話します。「蕪を餡かけにというのは、そんなにしたことがなかったのですが、蕪の味と香りが滲み出た餡がとても良かったなぁと思ってます」

 

ほかの作業をしていた吉田さんの妻・祥子さんも合流。「温まる~、おいしい~」と、絶賛。

 

蕪は炭火焼にしても! ……実はこの日は、ほかにもいろいろお料理はあったのです。が、寒いシーズンゆえ、できあがるそばから冷める前に平らげる方式で、今回はテーブルコーディネートの写真は無し(笑)。ダイジェストでメニューをお伝えしますね。

 

蕪は、焦げ目がついたところで、ホイルで包み、じっくりと中まで焼きます。甘く、香ばしく、お肉のうまみを引き立てます。

 

蕪の皮もサラダに。刻んで、千切りキャベツと共にレモンをかけて、塩であえ、余すところなくいただきます。

 

蕪とキャベツ入りのオニオンスープは、バター仕上げで、濃厚さをプラス。そうそう、写っていませんが、京北のお正月には欠かせない「納豆餅」も焼きました。満足。

さて、来月の野菜は何が登場するのか、楽しみです~

 

【取材協力】

■京北の畑・野菜の紹介/吉田修也さん(「京農園よしだ」「Okulu」)

https://www.okulu.kyoto/

■畑を訪ねる人、料理考案/西村めぐみさん(京町家カフェ「まつは」)

※「まつは」は「まつは」は現在、不定期営業。ケータリングやお弁当などの注文は要相談。営業スケジュールはホームページやSNS(facebook、Instagram)などで確認を

https://www.matsuha225.com/

スポット情報

店舗・施設名 「京農園よしだ」「Okulu」
住所 京都市右京区京北上弓削町牛子谷4
電話番号 090-5472-6048
駐車場 あり
ホームページ https://www.okulu.kyoto/

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