- 2023/09/15NEW
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こんにちは。デジスタイル京都スタッフのイタクラです。
今回は、美術館「えき」KYOTOで開催中の「KABUKI藤十郎と仁左衛門 篠山紀信写真展」をご紹介します!
先日、展覧会に先がけた記者会見で、篠山紀信先生が自ら作品説明された貴重な場に参加することができた私。
まず、写真の迫力に引き込まれ、「歌舞伎の役者や舞台とどう向き合って撮っているか」という話に「なるほどー!」と納得、さらに感動が深まったわけなんです。
もともと、2017年には40年以上にわたり撮り続けた歌舞伎写真の集大成『KABUKI by KISHIN』(光村推古書院刊)を発表し、歌舞伎界からも絶大な信頼を得ている篠山先生。
玉三郎さんの美しい写真の数々が特に有名ですよね。
今回の展覧会は、京都の南座が昨年11月にリニューアルした際に公演の撮影をされていたところ、「『KYOTOGRAPHIE』の一環として京都で展覧会を」と話があり、「京都だったらテーマは歌舞伎しかない、役者は京都に縁のある藤十郎さんと仁左衛門さんにしよう」と決まっていったのだとか。
■(左)四代目坂田藤十郎と(右)十五代目 片岡仁左衛門 舞台製作:松竹株式会社
■とにかく終始笑顔で楽しげに語られていた姿が印象的。写真への情熱、歌舞伎への愛が伝わってきます!
展示は、2つの部屋で構成されていて、まず藤十郎さんの写真が紫の壁を背景に22点。
そして、金のすだれ(?)をくぐると、その向こうに仁左衛門さんが現れて、緑の壁を背景にまた22点の写真が並びます。ちなみにこの色は山城屋と松嶋屋の裃の色なのです。
■私も大好きな仁左衛門さんの部屋の壁は緑。色男に悪役に多彩な表情、ファンにはたまりません!
すべての写真において言えるのは、その迫力。すごみがあります。
まなざしや息遣い、生々しい感情が伝わってくるようで、思わず引き込まれそうになるほど。
「芝居の流れの中で役者がその役に本当になり切って、ワーッと気持ちが乗ってきた時に、エネルギーの発露というべき一瞬がある。そこを『今だ!』と捉えて撮る」と話されていました。
■まさに一瞬を捉えた「曽根崎心中」のお初を演じる坂田藤十郎の写真とともに
だから、必ずしも歌舞伎の“型”が決まった時に撮っているわけじゃない。
いわゆる絵葉書的な写真とは、撮り方がまるで違うんですね。
作品を見ていて、写真に詳しくない私はてっきり舞台に上がって撮っているイメージでいたのですが、客席の一番後ろから望遠レンズで撮るのだとか。
なぜなら、舞台稽古ではなく真剣勝負の本番の公演でしか撮らないから。
お客さんが入っているから、一番後ろからなのですね。
でも、「いい写真が撮れた時は、役者と気持ちが通じ合って一心同体になる。舞台に一緒に乗っているような気持になる」といいます。
■「伽羅先代萩」の緊迫したワンシーンが鮮やかに切り取られている
展示の構成も、内容と全体の流れに即して写真サイズにメリハリがあり、緩急がダイナミック。まるで舞台の演出のようです。
「展覧会の写真は『芸術でございます』と展示して鑑賞してもらうもんじゃないと思っている。写し出された世界を体感して、ここに来ないと分からない何かを感じてほしい」という言葉に納得です。
会期は5月6日(月)のゴールデンウィーク最終日まで。
京都では初となる個展をぜひお見逃しなく!