京都の四季とともに名品と出会える、コレクションルーム
京都を代表する人気作家やテーマをもうけた特集展示を通じて、京都美術の面白さをたっぷりと体感していただくコレクションルーム。
型絵染の重要無形文化財保持者であった稲垣稔次郎(1902-1963)は、伝統的な制作技法を踏襲し、その制約の中で意匠を凝らした作品を次々と生み出しました。吊(図柄同士や型枠と図柄の繋ぎ)を図柄の一部として巧みに取り込むなど、技術的な完成度の高さはもとより、制作過程で生じる染料の擦れや滲みなどの偶然性を取り入れたりするなど、作者の遊び心も感じ取れます。本特集では、寄贈を受けて新しく収蔵した稲垣の作品を中心に紹介します。そして、作者の卓越した個性的な表現とその遊び心を手がかりとして、型絵染の奥深さとその魅力の一端を紐解きます。