- 2021/03/25
- 第24回 〝春分〟に「桜のぼた餅とこごみの酢醤油漬け」を
京都御苑や鴨川のほど近く、西村めぐみさん、由香さん姉妹が営む京町家カフェ「まつは」。訪れる人がつい、「ただいまー」と言いたくなるようなこちらのお店の優しい雰囲気を伝えられたら、根っから食べることが大好きなめぐみさん・由香さんのセンスが光るお料理を家庭でも楽しんでもらえたら、とスタートした連載も無事に第2回を迎えることができました。
今回は、お二人の地元である長野の懐かしい思い出にもつながる食材、野蒜(ノビル)を使ったおむすびが登場。「私たちは〝ののびる〟と呼んでいて、子どものころから、春になると母と一緒に原っぱや土手へ採りに行きました」「小さな根っこの部分の皮をむくと白く輝いていて、可愛いくて」と、会話が弾みます。わぁー、幼い〝まつは姉妹〟がシャベル片手に競うように野原をかけまわる風景が目に浮かぶよう!
おむすびって、ただでさえハッピーになれるソウルフードだというのに、こんなお話しを聞いたらおいしさもひとしおでは。ぜひ試さねば。もし、ノビルが手に入りにくければ、ネギやエシャロットを使ってもいいかもしれません。
今年の〝穀雨〟は4月19日
〝穀雨〟とは、穀物にとっての恵みの雨となる春雨が降るところから名付けられたもので、今年は4月19日です。
例年はお店の周辺も観光で賑わい、この時期は花街の踊りを見に行くこともあるというお二人。「今、人の世の中はたいへんだけど、それでも庭の葉っぱが空に向かって伸び、優しい雨を受けてすくすくと育っているのを見ると心が癒される」といいます。
この「野蒜のおむすびと筍の紫蘇漬け」のワンプレートは、田植えに行くとき、持参して食べたくなるような素朴なごはんのイメージ。
「寒い冬には、優しい味のスープや煮物がおいしいけれど、ほわんとした春霞の空気の中では、舌の先にピリッと刺激の感じられるものが欲しくなるな、と思って」(めぐみさん)。
独特な辛みのあるノビルは、すり鉢ですって、コクのある「野蒜みそ」に。おみそを乗っけたおむすびに添えるのは、ノビルと同様、春が旬のタケノコ。こちらも、塩気と酸味がギューッと効いた、食べると元気が出てくるような一品に仕上げてあります。