無農薬、と簡単に言いますが、安定して美味しいお茶ができるようになるまでには、様々な苦労があったそう。
無農薬のお茶を作るに至った経緯と、できるまでの過程を、神田さんにじっくりとお聞きすることができました。
「最初は『無農薬』にはいいお茶が少ないと思っていました。でも外国から来られるお客様から、『オーガニックのお茶はないの?』と多く声が寄せられるうちに、実際に自分で作ってみて確かめようと思いまして。」
外国ではオーガニックの野菜や果物が多く出回っていて、日本よりも無農薬に関する関心が高いよう…。
「最初の2、3年は、本当に望むようなお茶ができませんでした。除草剤を撒かない、化学肥料を使わない。茶畑というより、草が覆い茂ってしまって結果的に草原になってしまったという感じで(笑)。」
「草原ですか(笑)。それはもう、大変ですね…。でも、それでも続けられたから今の無農薬のお茶があるんですよね。」
「はい。草を刈ったりお茶の木が元気になるのを信じて待ち続けた結果、5年ほど経った頃に、急に茶の樹が元気になってきたんです。」
「急に茶の木が元気になる、というのは…?」
「農薬を使わなくてもお茶の木が自力で、あるいは益虫の力を借りて元気になったということです。そして元気になったおかげで、有機肥料を吸い上げる力が付いてきたのです。5年という歳月をかけて樹が成長したんですね。うちの茶園には、カマキリや蜘蛛、てんとう虫が共存しています。これは、害虫を食べる虫が増えたという証拠です。つまり、自然に害虫を減らす生態系がうちの茶畑にできたのです。」
そして、今年は去年よりも3倍ほどの収穫が見込めたそう。
茶の木がますます元気になった証拠なのだとか。
神田さんが他の茶農家さんから教わった言葉で、実感している言葉があるそうです。
それは…
「お茶は毎年一年生だ。」
「お茶は毎年一年生…どんな意味が込められているのでしょうか?」
「お茶は毎年、気候によって出来具合が変わってくるし、性質も変わる。毎年同じお茶なんてないんです。その年ごとにお茶の様子を見て、考えながら育てる。これが面白いんです。」
神田さんのお茶への情熱と愛情がひしひしと伝わってきました。
さて、皐盧庵茶舗さんはお茶屋さんでありながら、実は、奥の部屋が喫茶になっており、お茶やお菓子をいただけます。これほど大変な農家のお仕事をされていながら、喫茶もされているのは本当に驚きです。
全て、神田さんが栽培されたお茶をいただけます!
・茶室のお部屋
・足に優しいソファのお部屋も。
茶室では、実際に目の前で炭に火を起こして鉄瓶を用意してくださいます。
今回いただいたのはこちら!
「夏のこうろあんちょっと贅沢なお茶セット」(1860円)
お茶は「無農薬抹茶故蝶」をチョイス。
実際に神田さんが、目の前で点ててくださいます。