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2023.08.10

こんにちは!E-TOKO深草地域学生ライターのニシダ&ウメガキです。

さて、毎年5月5日に藤森神社で行われている駈馬神事について紹介します。

 

この神事は、京阪電鉄墨染駅徒歩10分にある藤森神社参道馬場で行われていました。京都では下鴨神社の流鏑馬神事、上賀茂神社の賀茂競馬が有名ですが、深草の藤森神社の駈馬神事は勝るとも劣らない神事です。

 

藤森神社の歴史は古く、平安遷都よりも前で、​​​​​​社伝では三韓征伐から凱旋した神功皇后が、山城国・深草の里の藤森にいくさ旗を立て、兵具を納め、神を祀ったのが始まりだとされています。

この神社は、勝運と馬の神様として近隣住民のみならず競馬関係者や競馬ファンからも広く信仰を集めています。また、勝負に通じる、菖蒲の節句発祥の神社としても有名です。

 

そこで、駈馬神事で乗子をされている方々やそのご家族の方々にインタビューしてきました。

 

乗子たちの駈馬神事に対する想いとは?

観客の前で「藤下り」を披露する藤原優樹さん 
撮影:只友景士

 

藤原優樹さんは、13歳から乗子を初めて、今年で30年目になるそうです。

一番の得意技は「藤下がり」と教えてくれました。この技は「敵矢に当たったと見せて駆ける技」で、上体をそらしながら足をあげるパフォーマンスはとても迫力がありました。馬に乗りながら素早いスピード感で行うことはとても勇気がいるらしく、怪我をして救急車で運ばれる方も多々いるそうです。そのため神事後に、藤原さんのご家族は、第1部の後に「怪我なく終えれてホッとしている。」というふうに仰っていました。

 

藤原さんは代々乗子を受け継いできた方で、息子さんの藤原心太郎さんも14歳から乗り子をやられています。心太郎さんも今年で2年目とは思えない走りを見せてくれました。まだ駈馬を行うことは2年目なので素駆しかやったことがないそうですが、将来は藤下りや横乗りに挑戦したいと仰っていました。これから怪我なく色々な技に挑戦してほしいですね。

※横乗りとは「敵矢に姿を隠して駆ける技」のこと

 

また、第1部を終えた後に心太郎さんは、「みんな命懸けやっているので、全国の方に駈馬神事を知ってほしい。駈馬神事はカッコ良さ極まりない。世界一です。」と語ってくれました。

 

「素駈」を勢いよく披露する藤原心太郎さん
撮影:只友景士

 

平山謙吾さんは14歳から乗子を始めて、今年で25年になるそうです。得意技は藤下りと横乗りと教えてくれました。馬に跨って走っている状態から馬の横に移動をして片手を離して技を決める姿には鳥肌が立ちました。

平山さんは、「乗る前は怖いですが、馬に乗ったら芸に集中することに一生懸命になっていますね。」と仰っていました。

 

横乗りを堂々と披露する平山謙吾さん
撮影:只友景士

 

岡田虹汰さんは18歳から乗子を始めて今年で2年目になるそうです。彼も素駈けという技を披露してくれました。将来、杉立ちと手綱潜りに挑戦したいと教えてくれました。

※杉立ちとは「敵を嘲りながら、駈ける技」のこと

※手綱潜りとは「敵矢の降りしきる中、駈ける技」のこと

 

岡田虹汰さんの祖父の岡田俊秋さんは昨年まで乗子頭をされていました。虹汰さんは祖父の俊秋さんに「乗ってみるか。」と誘われたことで興味を持ち、やるきっかけになったそうです。

虹汰さんの出番直前、俊秋さんが騎乗している虹汰さんの装具をギュッと締め付け「しっかり掴まっていけ!」と力強く声かけをして送り出していかれました。駈馬神事の技と心意気が町衆の中で代々受け継がれていく瞬間に私たちは立ち会っているのだと思いました。

 

神事が終わった後の気持ちを教えてもらったところ「緊張していたのですが、走り終わった後は、達成感があって楽しかったです。」と力強く話してくれました。

手綱にしっかりとしがみ付きながら「素駈」を披露する岡田虹汰さん
撮影:只友景士

 

深草の町衆によって受け継がれる駈馬神事

(写真左から)岡田虹汰さん、藤原心太郎さん、岡田俊秋さん
撮影:只友景士

 

この行事は、町衆によって「親から子へ、子から孫へ」と受け継がれています。

藤原優樹さんは「馬に乗って技を決めることを怖くないと言えば嘘になりますが、なんとか伝統を続けていかないといけない。」と覚悟を決めてやられています。

先祖代々、乗子が受け継いでいくことで駈馬神事の伝統が現在まで受け継がれているのです。

 

〜取材を終えて〜

取材中に乗子のご家族が「伏見でも駈馬神事を知らない人がいるので、知名度をあげたい。日本のみならず世界中の人に是非見に来てほしい。」といったことを言われていたことが印象的でした。 私たちも、今回初めて駈馬神事を見たのですが、猛スピードで馬が駆け抜ける中、乗り子が技を決める姿は迫力満点でした。

しかもこんなにも迫力のある駈馬をぶっつけ本番で行われていることにも驚きました。今回見学させていただき、素晴らしい行事が深草にあったということに気づけて良かったです。

まだ見たことない人は是非、来年5月5日の藤森神社を訪れてみてほしいと思います。

きっとあなたも駈馬神事の技と心意気が受け継がれる瞬間に立ち会えるでしょう。

 

◎ 参考文献

・藤森神社駈馬神事

http://www.fujinomorijinjya.or.jp/kakeumasinnjinew2.html

Information
店舗・施設名 藤森神社
住所 京都市伏見区深草鳥居崎町609
電話番号 075-641-1045
営業時間 9:00〜17:00
交通 京阪電鉄墨染駅徒歩10分
ホームページ http://www.fujinomorijinjya.or.jp/
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