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京北のとれたて野菜で12か月レシピ

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京北の畑から。とれたて野菜でアウトドア料理! 【第12回】3月は、菜の花のレシピ。「菜の花の卯の花すし」をどうぞ

2023/03/27

おいしいものって、食べるのはもちろん、それができあがる過程も美しいですよね。

 

京町家カフェ「まつは」の西村めぐみさんと一緒に、ライターの市野亜由美が毎月一回、京都の里山、京北弓削(ゆげ)町の農家さんのもとを訪れる当企画。アウトドア料理の〝キャンプ飯〟ならぬ、〝ファーム飯〟を作って食べて、レシピもご紹介していきます。

 

菜の花は、アブラナ科の植物の花。どれも食べることができます!

畑を案内してくれるのは、「京農園よしだ」の吉田修也さんです。京都市の北部山間にある京北町の休耕田を利用した広い土地(約4.5ha)で、年間約100種類の京野菜・ヨーロッパ野菜を生産されています。

 

さあ、それでは今日のメイン食材、菜の花の収穫です!

まず。皆さん、菜の花って、特定の野菜のことを指す名称ではない、ってご存じでしたか? 恥ずかしながら、私は知りませんでした。

「アブラナ科の植物は春になると花が咲き、どれも食べられます。今日は、ミズナ、コマツナ、コカブ、赤カブ、チンゲンサイなどの菜の花を摘みましょう」と吉田さん。

調べてみると、一般的に私たちが思い浮かべる菜の花はアブラナという花を指すことが多いのですが、野菜としての菜の花は、〝菜っ葉の花〟からきていて、もっと広い範囲の花をこう呼ぶそう。なるほど!

この日は、めぐみさんファミリーと友人のももちゃん、私、総勢5人で畑にお邪魔しました。吉田さんから菜の花は生でも食べられると聞き、摘みながらモグモグ。菜の花も各々の野菜によって香りや味が違います。

ミズナの菜の花

 

チンゲンサイの菜の花

 

ビニールハウスの中で育てられているケールにも菜の花

 

この日は収穫しませんでしたが、こちらはキャベツの菜の花

 

吉田さんの妻・祥子さんが、〝穫れたての春〟をわっぱ盛りにしてくれました。左側はネギ坊主とフキノトウ。菜の花は正面から時計回りに、ケール、ミズナ(緑・紫)、チンゲンサイ、コマツナです

 

―菜の花について、教えてもらえますか?

吉田さん:菜の花は、アブラナ科の野菜の花芽を指してそう呼びます。アブラナ科の野菜は、ダイコン、カブ、ハクサイ、コマツナ、ミズナ、チンゲンサイ、ブロッコリー、キャベツなど。例えば、葉物野菜としておなじみのハクサイやコマツナは、若いうちの葉を食べているということですね。収穫せずにそのまま置いておくと、薹立ち(とうだち ※花茎が伸びること)し、やがて花を咲かせます。この時点では葉の部分は固くなってしまいますが、新たに伸びた茎や花芽はやわらかくて甘く、おいしいです。

 

―菜の花の旬は? また、おいしい食べ方は?

吉田さん:早いものだと年末から収穫できる品種もあり、だいたい4月末くらいまで出回ります。春らしい食材として飲食店に好まれますね。菜の花は生で食べてもおいしいですが、加熱することで甘みが増します。香りが繊細なので、油をたっぷりと使った調理法などより、僕はまずはゆでるのがおすすめです。あと、裏技として、つぼみの状態のものを暖かいところにあえて置いておいて、花を咲かせて使うのも華やかさが出てかわいいですよ。ただし、花が咲くと、少し苦みが強くなる可能性もあります。

 

―保存方法でアドバイスはありますか?

吉田さん:日持ちしないので、基本的に買ってきたらすぐ使うのがベストです。冷蔵庫に寝かせて入れていても、上に伸びて花が咲くこともあるほど。そのときにエネルギーを使うので味が落ちてしまうんです。

余談ですが、ミズナなど、家庭菜園でも育てやすいので、挑戦してみてもいいかもしれません。葉物野菜として楽しむほか、少し残しておくと、霜などで枯れてしまっても春になると、菜の花が出てきますよ。

 

 

…と、お話しを聞いているうちに、お料理の準備もととのいました。天気予報で雨降りが心配されたので、初のビニールハウス内でのクッキングです。

 

菜の花は繊細な香りが魅力。個性の強すぎない素材と合わせ、引き立たたせる

「菜の花は大好き! もともとよく使うんです。何と合わせてもおいしくて、工夫要らずの食材ですが、今日はそのままの姿で味わいたいなと思ってレシピを考えました」と、めぐみさん。

 

熱を加えると、菜の花の緑がますます鮮やかに!

 

「菜の花の卯の花すし」の作り方

 

〈材料(2~3人分)

菜の花たっぷり おから200g 卵2個 キヌア(ゆでたもの)大さじ2 いりごま大さじ1 レモン1/4個 すし酢、白だし各適量

 

〈作り方〉

(1)卵をボウルに割り入れ、塩と砂糖(各ひとつまみ、分量外)を加えて、空気を含ませるよう、ふんわりと混ぜ合わせる。オイル(分量外)を薄くひいたフライパンで、薄焼き卵をつくる

(2)おからを深めのフライパン(または鍋)に入れて中火にかけ、乾炒(からい)りし、こがさないよう水分を飛ばしていく

(3)(2)の全体がほぐれて軽くなってきたら、味見をしながら、すし酢を少しずつ回しかけ、馴染ませていく。混ぜながら炒り続け、少し酢を飛ばすような感じで、おからがしっとりしつつもふんわりとした状態になったら、火を止める

(3)キヌアといりごまを混ぜる。(1)を5㎝角くらいの大きさに手でちぎって、軽く混ぜ合わせておく

(4)菜の花をたっぷりの湯でさっとゆがき、ザルに取る。白だし少々をかけてさっとあえ、器に盛る

(5)(3)も盛り付け、レモン汁少々をかける。レモンの皮(表面の黄色い部分のみ)を削りかけ、完成

 

※乾炒りとは、水や油を使わずに鍋に食材を入れて炒ること

※記事内の画像は、おから1㎏で作ったときの様子です

ふわふわのおからに、プチプチしたキヌアの食感と、香ばしいいりごまをプラス

 

薄焼き卵は手でちぎって投入。「刻んで錦糸卵にすると、わずかですが〝角が立つ〟気がして。あくまでふわりとした舌触りを大事にしたいなと思ったんです」(めぐみさん)

 

3月、京北の畑で、とれたて野菜をいただきます!

「普通のちらしずしもおいしいのですが、それだとお米の甘みが少し強すぎるかなと、今回はおからを使った卯の花すしにしました」とめぐみさんは話します。菜の花そのものの甘みや、食感を、おからが優しく、ふわっと受け止めてくれる感じ。おいしいおからが手に入ったら、またぜひ、試してみたいと思いました

 

菜の花と卯の花で、別名〝花花すし〟だね~、などとわいわい言いながら、皆、たくさんいただきました。おなかいっぱいになっても、重たくならないのがいいですね

 

ちゃちゃっとその場で作ってもらった、吉田さんお手製の甘めのふきのとうみそは、お揚げと合わせていただきます

 

もう一品。土鍋でぐつぐつ煮込んだお肉ときくらげのスープ。ほろっと柔らかくなった、菜の花もまた美味

 

この取材に時おり参加してくれた、ほーちゃん(めぐみさんの息子さん)は、〝焚き火名人〟になりました。春夏秋冬、京北の畑で野菜の収穫と料理を記録し続け、豊かな気分を味わい、おなかまで満たされる、幸せな連載。

吉田さんご夫妻、めぐみさん、一年ありがとうございます!

 

【取材協力】

■京北の畑・野菜の紹介/吉田修也さん(「京農園よしだ」「Okulu」)

https://www.okulu.kyoto/

■畑を訪ねる人、料理考案/西村めぐみさん(京町家カフェ「まつは」)

※「まつは」は「まつは」は現在、不定期営業。ケータリングやお弁当などの注文は要相談。営業スケジュールはホームページやSNS(facebook、Instagram)などで確認を

https://www.matsuha225.com/

スポット情報

店舗・施設名 「京農園よしだ」「Okulu」
住所 京都市右京区京北上弓削町牛子谷4
電話番号 090-5472-6048
駐車場 あり
ホームページ https://www.okulu.kyoto/

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