- 2023/03/27NEW
- 京北の畑から。とれたて野菜でアウトドア料理! 【第12回】3月は、菜の花のレシピ。「菜の花の卯の花すし」をどうぞ
京都・二条富小路にある京町家カフェ「まつは」を営む西村めぐみさん、由香さん姉妹。「食材の組み合わせが斬新! そしておいしい!!」と評判の料理を提供する二人が、二十四節気に合わせて考えてくれたおつまみを紹介します。なお、メイン食材は野菜。京都の京北町の農家さんから毎回、この季節の〝推し野菜〟のお題をもらう趣向です。
第19回は、「小寒(しょうかん)」(今年は1月5日から19日まで)にぴったりな一品をどうぞ。
金時人参を縦にカットすると可愛い!歯ごたえも楽しめます
「以前、人参はピクルスやサラダにするなど、生食が好きだったんです。でも、ひたすらじっくりと焼く、この調理法に出合ってから、はまりました」と、めぐみさん。
最初に塩をふって焼くのが、最大のポイント。水分がいい具合に抜けて、甘みがぎゅっと濃くなります。そして、もうひとつ、切り方にもこだわりが。
「今回は、金時人参の色や形の魅力をいかすのに、縦に切りました。また、このようにカットすると、繊維を断ち切らないので、歯ごたえが残るのもおいしいと思います」と話します。「難点というと、焼くときに木の枝をひっくり返すみたいで難しいところでしょうか(笑)。でも、やるだけの価値はあります」とのこと。縦長のかたちの人参のソテーは、お皿の上にメリハリが出るので付け合わせなどにもおすすめだとか。覚えておくと重宝しそうですね。
合わせるお酒はシェリー酒。白ワインやビールにも合いますが、人参の甘みとオイルが出合った、シンプルながら濃厚な味わいの一品なのでアルコール度数の高いお酒で口の中をさっぱりさせるチョイスです。
「シェリー酒はお好みのものでいいですが、甘すぎないドライなものが合うと思います」(めぐみさん)
「金時人参のソテー」の作り方
〈材料(2人分)〉
金時人参1本(大きいものなら1/2本) 塩、オリーブオイル、柚子の皮(薄切り)各適量
〈作り方〉
(1)金時人参を縦4つに切る
(2)フライパンにオリーブオイルを多めにひき、火にかける
(3)(1)を重ならないよう並べる。塩少々をふり、1面ずつ中火で、じっくりと焼く
(4)金時人参の水分が抜けて小さくなり、表面に焼き色がしっかりとついたら、皿に盛りつける
(5)仕上げにオリーブオイルをまわしかけ、柚子の皮を散らす
※金時人参は皮がやわらかいので、むかなくてOK
※オリーブオイルの代わりにバターを使って焼いてもおいしい
※仕上げに少量のはちみつや、バルサミコ酢をかけると、さらに濃厚な味わいに
「焦げないかと、あまり神経質にならなくてもだいじょうぶですよ」とめぐみさん。むしろ、端っこの焦げて少しかりっとした部分が、何ともおいしい!
この日は由香さんがお留守のため、めぐみさんが一人で担当。シェリー酒のグラスを手に「いい香り~」と幸せそうな表情を見て、こちらも和みます。
「まつは」は現在、不定期営業。ケータリングやお弁当などの注文は要相談。営業スケジュールはホームページやSNS(facebook、Instagram)などで確認を
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この季節の〝推し野菜〟メモ
金時人参
細長くて中心まで鮮やかな赤色が特徴の冬ニンジンです。「京にんじん」とも呼ばれ、京料理の彩りに欠かせない野菜ですが、実は京の伝統野菜ではなく、京都における生産量も昔から多くはありません。
金時人参や祝大根がスーパーマーケットなどに並び出すと、お正月気分が高まりますが、これは西日本だけの文化で、関東ではほとんど見かけられないようです。
柔らかくて香りがよく、現代では珍しく旬の時期にしか出回らない野菜です。見つけたらぜひ食べてみてください。
解説・吉田修也さん(okulu株式会社/京農園よしだ )
―次回は「大寒(だいかん)」のおつまみレシピをお届けします