イタリアンワイン×日本料理のマリアージュが絶妙に合う!
続いては生ハム、スライス仕立てを、三種食べ比べ~
「葡萄酒堂」のドアを開けると店内の右手に、イタリアーンな食材が詰まった冷蔵ケースがあります。料理は基本的に宗さんの“和食”ですが、やはり“生ハム”や“チーズ”などのバーメニューはイタリアものが欠かせません。
「すりたて 生ハム3種食べ比べ(1,180円)」では、パルマハムの14か月と24か月、サンダニエーレという種類がいただけます。
どれも少しずつ味わいが異なるので、自分の好みを探すにもおススメ。
葡萄酒堂のテーマの一つに“食べ比べ、飲み比べ”があります。
「自分好みのワイン食を探すときって、ああだ、こうだと話も弾みますからね」
川口さんはお客さまがどうすれが盛り上がるかも、ちゃんと考えているんです。確かに、お酒や料理の話って、盛り上がるもんなあ!
■生ハムはその場でスライスしてもらえます。これがまた、おいしさの秘密!
(一人だけど)だんだん楽しくなってきました。生ハムにはやっぱり赤ワインです。勧めていただいたワインは、川口さんが修行していたエミリア・ロマーニャ州の赤ワイン。
「ノイ コッリ・ディ・リミニ」はサン・パトリニャーノというワイナリーのワイン。
このワイン、実は麻薬中毒の若者たちが、技術取得と社会復帰をめざして作っているものです。近年、有名な醸造家を迎えて俄然おいしくなり、イタリアのレストランでも人気のワインなのだとか。
頑張る若者たちの作ったワイン、興味深いなあ。てことでありがたくパルマの生ハムとともに、イタダキマス。
パルマハムの塩気と、渋みが少なく果実味の豊富なワインは組み合わせもいい感じ。
「パルマハム自体も、エミリア・ロマーニャ州のハムです。ワインと地元が同じなんですよね。この組み合わせは現地で知りました」
ワインとハムの地元がいっしょとは、つまり気心の知れた間柄。日本酒でもだいたい、地酒に地元の食材、というのは合うに決まっているから、当然、この組み合わせも間違いない。シンプルに、うまいです。
だんだんいい気分になってきたところで、宗さんが差し出してくれたのがこちら。
「鬼だし巻玉子(680円)」、立派なだし巻です!
■右から見ても左から見ても、プルプル震えるうつくしい“だし巻”。しかも“鬼”って何よ。
「鬼は、卵の名前です。鬼の卵。福知山の卵です」
宗さん曰く、おいしい卵をずいぶん探したそうです。で、数々の宗さん基準をクリアし、たどり着いたのがこの「鬼の卵」だったそう。
「宗さん、当然、だしってお店で取ってるんですよね?」
「鬼だし巻玉子」を味見しながらふと尋ねると、
「もちろんです。京料理はカツオとこんぶ! 毎日とってます」という答えが返ってきました。“だし”巻たまごとワイン、合うんかいな…。
一瞬よぎった不安でしたが、そこに川口さんは美しいラベルのボトルから、するすると琥珀色のワインを注ぎます。
「フリウリ州(※)、北イタリアのワインで、テッレアルテです。2004年のバックヴィンテージなのでこれはちょっとお値段はするのですが…」
お、お高いの!?
と心配される向きもあると思いますが葡萄酒堂さんのよいところは、こうしたバックヴィンテージも、案外、お財布にやさしいお値段で飲めるということでしょう(詳しくはお店で聞いてくださいね)。
■バックヴィンテージのワインも豊富。おススメは川口さんに聞いてみて!
※フリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州のことでした。
で、「鬼の出し巻」とテッレアルテ・バックヴィンテージ(2004年)のマリアージュは…。
絶妙の取り合わせでした。熟成したテッレアルテは、ほのかに焼きたてパンのような香りがして、それが出汁の“うまみ”とよく合ったんです。ふかふかの出し巻を、ぺろりと食べてしまいました。ワインは本当によく選ばれていて、間違いがありません。
■オーナーソムリエの川口さんと、料理人・宗さん。地元が一緒、息ピッタリの同級生コンビが頼もしい!
葡萄酒堂では、ワイン販売も行っています。
葡萄酒堂の店に入ると、すぐに目に入るのはきちんと並んだワインの棚です。
「ワインは販売もやっています。それもあって、午後3時開店なんです」
もちろんバーも15時開店なので、早めの夕方を楽しむのもまた一興。
■キレイにディスプレイされたワインの数々。買う楽しみも、ありますね!
今日はいろいろなワイン×和食の既成概念を、いい具合に毀してもらえた一日でした。
これはなかなか愉快な体験。
人が少ない時間に、ゆっくりお気に入りのワインを傾けに来てみたいもんですねー。また来よう。