白あんが覗く断面と柚子の香り、2つのサプライズに脱帽!
そしてようやく本題に入りますが、—もえぎ—は抹茶と白あんと柚子を使ったパウンドケーキなんですよ。
苔むした石が点在する静謐な庭を思わせる表面は、こがれ姉さんのクルミを散らしたトップに合わせて、抹茶のシュトロイゼル(ホロホロのクッキーみたいな生地)製。
「大納言や黒豆を散らすことも試しましたが、全体の味を邪魔しないものをと考え、同素材の抹茶でまとめました」
この深い緑色は、祇園辻利さんの「庵の友」という銘柄を使っているからこそ。
一般的な製菓用の抹茶とはランクが違うそうです。
焼いても色や風味が飛ばずに残るものを試して、こちらに決めたというだけあって、断面の鮮やかなこと!
おぉ!庵の友よ・・・!(ジャイアンか!)
ちょっと!誰ですか?混ぜムラがあるなんて言っているのは!
この白い部分こそ、もえぎ最大の注目ポイント「塩芳軒の白あん」なのですよ。
ブライトンホテルから西に歩いて約10分の場所に店を構える御菓子司・塩芳軒は1882年創業の名店。
ラウンジで提供するわらび餅を特別に作っていただいたり、ウエディングメニューのデザート用に粒あんを分けていただいたりと、何かと塩芳軒さんとのご縁は深かったとのことですが、白あんをお願いしたのは―もえぎ―が初!とのことです。
和菓子で使うものよりやや柔らかめに仕上げられた特注の白あんは、パウンド生地との食感の一体化が見事。どこまでがパウンド生地で、どこからが白あんなのか、さすがにジェダイの騎士であるワタクシでも、フォースを集中させなければ感じられないほど・・・というのは言い過ぎでしょうか?
みずみずしい白あんの食感に合うように、パウンド生地には絶妙な配合で“もち粉”がブレンドされているので、パサつかずにしっとりとしたケーキに仕上がっているんですね。
しかもこの白あんには柚子のピールを混ぜ込んでいるため、ケーキをカットした途端、フレッシュな香りが一段と爽やかに立ち上るのも素敵なサプライズ。
あんこと柑橘が合うのは過去回でも触れておりますが、抹茶と柑橘も相性がいいのだと気付かされた瞬間でした。
相性の話ついでに、どんな飲み物を合わせるのがいいかについて少々。
洋菓子要素もあるので、コーヒーや紅茶、もちろん日本茶でも大丈夫なのですが、せっかくの抹茶と白あんと柚子の香りを楽しみたいので、個人的にはペリエなどの炭酸水、純米吟醸の日本酒、シャンパンなどが合うのではと思っております。
通年販売の商品ではありますが、青もみじが美しいこの時期に特におすすめしたい一品。
こんな素敵な手土産があれば、多少、約束の時間に遅れても「京都時間ということで」の一言で許してもらえるのではないかしら、なんて思う次第であります。