おでかけ

2018.02.06

鞍馬寺学芸員に聞く「パワースポット」のお話。

 

さて、この鞍馬寺の由来や、ケーブルカーの車内放送に出てくる「尊天」という言葉など、いろいろと不思議なことが多く、本殿前の通称「パワースポット」については、行列ができて一人ずつ立つ人がいますが、実は「ここには立ってはいけない」という話も聞いたことがありました。そこで鞍馬寺の学芸員である曽根祥子さんに詳しくお話を伺ってみました。

 

「鞍馬寺は、大きな宇宙の力、山に溢れている氣や、目に見えない自然の力を感じられる場所です。冬の空気が澄んでいるときと5月が一番、その力を感じることができると、私は思います。雪がキラキラと輝いてきれいですよね。今日は、マイナス3〜4℃ということなんですが、こういうときにこそ本来のお働きを感じることができるのではないかと思います。

 

月輪の精霊である千手観世音菩薩、太陽の精霊である毘沙門天王、大地(地球)の霊王である護法魔王尊の三身(さんじん)を一体として「尊天(そんてん)」として信仰しています。目に見えないものを拝むのは難しいので、それをわかりやすくするためであり、神仏を超えた大地の力の素晴らしさというものを信仰したり感じたりしているのだと思います。

 

護法魔王尊は650万年前に人類救済のために金星から天下ったなどの説もありますが、山の力の素晴らしさを表現したのだろうと私たちは考えています。それをみなさんが気持ちがいいと感じていただいたり、受け取っていただいたりするのならそれでいいと思います。この尊い力を信じたり、自分の背骨としたりしていくことが大切なのです。

 

昔から山には素晴らしい大きな力があるといわれており、神道にせよ、仏教にせよ、その山の力というものを、みなさんがそれぞれに解釈してこられたのだろうと思います。寺としての歴史は、770年(または796年)といわれていますが、山の信仰の歴史はその前からでしょう。その後、仏教の寺として存在し平安時代より天台宗に属しておりましたが、戦後、昭和22年、鞍馬弘教(くらまこうきょう)と称し、これまでの神道や仏教などの歴史を踏まえて、神仏、宗派、国境(人種)の垣根も超えた大きな力を尊天としたのです。この護法魔王尊は天台宗には出てこない考えで、本来の鞍馬の姿に戻ったと考えられるかもしれません。

 

鞍馬弘教には、統一的世界観実体集教(とういつてきせかいかんじったいしゅうきょう)として、乱暴な言い方をすると『枠を取り払う』という目的があります。ですから、参拝方法を教えてほしいという方もいらっしゃいますが、決めてしまうとそこにまた囚われてしまうので、枠を取り払うことを考慮して、『この形で』ということは言わずに、みなさんそれぞれの方法でお参りしていただいています。宗教というと特別なイメージがあると思いますが、日々の生活をきちんと生きることが宗教だと思いますので、日々の暮らしの中で道に迷ったときに一点の明かりを見つめることが宗教だと考えています。それぞれの方がご自由に、ここのエネルギーを受け取って『よかった』と思ってもらえたらそれでいいのです。

 

とはいえ、本来は、エネルギーというのは『もらう』ばかりではなく、自分の中にあるもの。そこに気づいていただけたらうれしいです。外からもらったものはなくなりますので、自分自身の中にある泉のほうがもっと大切なわけですが、まずはここに来て『ほっとするなぁ』『気持ちいいなぁ』と感じて、また明日からがんばれたらそれでいいのではないでしょうか。どこかで『生かされている』ことに気づけたなら、敬虔な気持ちになり、日々に感謝できるようになり、すべてのものに『ありがとう』という言葉が出てくるのではないか……ということをお伝えしたいです」

 

と、曽根さん。

 

「鞍馬寺」という名前があるものの、考えは神道にも近いような……と思っていた理由が見えてきました。では、例のパワースポットについてはどうなのでしょうか?

 

 

あの中央にある三角の図形は、千手観世音菩薩(慈愛・水・月)、毘沙門天王(智恵・光・太陽)、護法魔王尊(破邪顕正・力・大地=地球)の三身(さんじん)、つまり『尊天』を表しています。その周囲の六角形は、眼耳鼻舌身意(げんにびぜつしんに)、つまり五感と心を表しています。人間の体に入ってくる窓口で、般若心経にも出てくる言葉です。それらが人間の内側を表していて、真ん中にご尊天がいらっしゃるということです。最近は、特に立ってはいけないと注意することはありませんが、やはり私たちがそこは通ることはありません。確かにエネルギーは感じられることでしょうし、気持ちいいのだろうと思います。

 

並んで待つ方がいらっしゃいますが、並ばなくても構いません。本来のパワーは、外からもらうものではなく、みなさんそれぞれに自分のなかに持っておられるものです。そこに気づけたほうが毎日が楽しいですよ。もちろん、並びたい人は並んでいいのですけれど、人によって感じる場所は違うはずですし、パワースポットというのは、あの場所のことだけではなく、ほかにたくさんあります。本当に山の力を感じられるのは、あの場所ではなく奥のほうだと思いますよ(笑)

 

護法魔王尊の力として破邪顕正(はじゃけんしょう)とお伝えしていますが、これは邪(よこしま)なものを排除するものではなく良いものに変える、大地の働きの力であり、浄化の力なのです。護法魔王尊の働きというのは、浄化の力、清めの働きです。だから気持ちがいいのでしょうね」

 

とのこと。

 

三角形の上に立つことについて、鞍馬寺の方は寛大に許してくださっていただけなんですね。

正しい参拝ということではない……ということを、個人的にはここで強くお伝えしておきたいと思います。

 

さて、そんな鞍馬寺のパワーを本当に感じたいなら、私はぜひとも、そのまま引き返すのではなく、貴船神社のほうへ向かう参道へ、ぜひ。約1時間ほどで歩けます。本殿の左手の奥のほうに「奥の院への参道」があります。

 

奥の院への参道を入ると、登りの階段が続きます。その後も、ずっとしばらく登り坂。

 

峠には、木の根道があります。緑の季節も、雪の季節も、私はここが一番気持ちよくておすすめです。もちろん気持ち良いと感じる場所は人によって違いますが……。

 

台風による倒木。昨年は通行止めになっていましたが、こういうことだったのですね。幸い怪我人が出るような事故はなかったものの、山の生態系は変わってしまう可能性もあるのだそう。

 

不動堂。ここにもとっても気持ちのいいエネルギーを感じます。

 

義経堂。武道や武術を学ぶ方など、弁慶と義経の話に惹かれてお参りする方も多いそうです。

 

その先にあるのが、奥の院。魔王殿です。前回来たときには、ここまで来たときに雷雨に見舞われましたが、なかなかの迫力でした。今回は、空気も冷たく凛としていて非常に気持ちのいい空気でした。

 

奥の院の参道は、この先の貴船川の手前まで。そして、ここまでが鞍馬寺の敷地なのだそう。広い!

 

橋を渡れば、貴船神社の参道。この橋は「奥の院橋」という名前なのですね〜。時間があれば貴船神社へ。

 

【お寺のデータ】

所在地:〒601-1111 京都府京都市左京区鞍馬本町1074番地(鞍馬駅徒歩約30分)

TEL:075-741-2003

愛山費:300円

拝観:年中無休

※霊宝殿(博物館):月曜日休館(祝日は翌日)・冬期休館あり:9:00〜16:00

 

 

>鞍馬のもうひとつの魅力「温泉」へも足をのばしてみましょう!

Information
店舗・施設名 鞍馬駅
住所 京都市左京区鞍馬本町191
電話番号 075-741-2012 (9:30~16:30)
営業時間 乗車券発売時間 9:40~16:30
定期券予約受付時間 9:40~16:30
ホームページ https://eizandensha.co.jp/guide/station/kurama.html

Writer藤嶋ひじり

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Writer藤嶋ひじり

編集者・ライター・恋愛コラムニスト。洛北と叡山電車を愛する3姉妹の母。子ども時代から鉄分多め。区画整備された新興住宅地育ちで、山々に囲まれた洛北に憧れ移住。

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