この度、京都dddギャラリーでは葛西薫展NOSTALGIAを開催。
本展は2021年秋、ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)で好評を博したものから選りすぐりのものを展示。
葛西は、「サントリーウーロン茶」や「ユナイテッドアローズ」等の広告のみならず、パッケージ、CI、サイン計画ほか、小説や詩集の装幀や映画や演劇関連のグラフィック、動画制作など、多方面でめざましい活躍。
今回の展覧会では、葛西がその語感が大好きと決めた「NOSTALGIA」(ノスタルジア)をテーマに、近作の数々を発表。「ノスタルジア」と言えば、「郷愁」、「望郷」などの意味やタルコフスキーの映画にも同タイトルがあるが、葛西はそれを、「意味のないもの、分からないものへの興味。その深層にあるもの」と語った。そして、それは手作業から生まれるとのこと。定規を使うこと、墨を磨ること、絵具を絞り出すこと、鉛筆を削ることなど、そこに生ずる懐かしい匂いや音の輻輳・・・。それは、葛西の身体に宿る太古の原始的な感覚を呼び起こす。葛西にとっては、自分の手(宇宙)を通して湧き出てくる、「創作の断片を編集する喜び」が「ノスタルジア」なのだ。
葛西の作品には、不透明で不確実でギスギスしたデジタル時代を乗り越えるヒントがたくさん込められてる。現代社会が喪失しつつある「ユーモア」と「ペーソス」、「知性」と「無邪気」等々。今の時代だからこそ葛西の想い描く「ノスタルジアの世界」をぜひ体感しに来てほしい。
■葛西 薫(かさいかおる)
1949年北海道札幌市生まれ。1968年文華印刷、1970年大谷デザイン研究所を経て、1973年サン・アド入社、現在同社顧問。サントリーウーロン茶(1983~2010年)、ユナイテッドアローズ(1997~)、とらや、TORAYA CAFÉ (2004年~) などの広告制作およびアートディレクションのほか、映画、演劇のポスター、CIサイン計画、装丁などの広告制作およびアートディレクションのほか、サントリー、サントリー美術館館、六本木商店街振興組合のCI・サイン計画、映画・演劇のグラフィック、タイトルワーク、ブックデザインなど、活動は多岐にわたる。 東京ADCグランプリ、原弘賞、毎日デザイン賞、亀倉雄策賞、講談社出版文化賞ブックデザイン賞などを受賞。著書に『図録 葛西薫1968』(ADP刊)などがある。
■協力
株式会社サン・アド
■出版
『NOSTALGIA Kasai Kaoru』 / プリモアート