究極の名香「蘭奢待」、特別展示 -
推古天皇 3(595)年、淡路島に香木が漂着したことから、日本の香文化の幕が開けます。仏教 という宗教儀礼の中で香木は多用され、平安時代には貴族たちがその栄華を香りの調合と和歌に 表し、また、遣唐使の廃止による国風文化の勃興と併せ、中国とは別の日本独自の“香の道”を 歩み始めます。そして、応仁の乱後、東山慈照寺(銀閣)に於いて、足利八代将軍義政公の同朋衆 志野宗信(しのそうしん 1443-1523) の手によって香道の基礎が作られ、以降現代まで、志野流は 500年以上に亘り20人の家元によってその道統を継承されてきました。江戸時代には、京都だけに 留まらず、徳川将軍家庇護のもと、全国武家や江戸城大奥、公家、僧侶から市井の人々にいたるま で賞玩され、高雅な芸道として成熟します。
本展は、室町時代後期に誕生した日本文化の最高峰“香道”を、初代志野宗信から現家元 20代幽光斎宗玄まで連綿と守り抜いてきた志野流500年の道統を紹介するものです。細見美 術館では、2003年の「香りの美術-貴なるものへの憧れ-」展以来、20年ぶりの“香”の展覧会とな ります。奇しくも本年は細見美術館開館25周年の節目の年であり、志野流初代志野宗信の500回 遠忌を迎える年でもあります。
この記念すべき年に、香道の歩みを振り返り、貴重な名香と香りにまつわる美術工芸品の数々を展観いたします。
聞香体験会、調香師・ソムリエとの香り対談、講演会、香りのイベント等を開催する予定です。(詳細は HP 等でご案内いたします。)