楽一元は、樂家4代目一入の子として生まれました。
妾腹とはいえ実子だったのですが、父の一入は尾形家から乾山や光琳の従弟に当たる幼児を養子に迎え家を継がせることにしました。これが樂家5代目宗入です。成人してから一元は樂家と同じ市中で開窯し、父譲りといわれる高い技量で、力強い作品を数多く生み出します。樂家の祖である長次郎、楽焼の最高峰とされる本阿弥光悦などの作風を追究してゆき、「利休七種」などの名品の優れた写しを制作しただけでなく、初期の華南三彩風の色絵陶器まで写していきました。
本展では、一元の共箱が添う作品と、一元在世中に千家宗匠であった表千家・覚々斎や裏千家・六閑斎らが箱書した作品に絞って展示し、一元が見つめ続けた楽焼の真髄と、歴代宗匠も認めたその技の一端をご紹介します。