ヒトそれぞれの人生があるように、モノにもそれぞれの生きた道がある。 現存する道具を見てみても、様々な人との出会いがあり、大切にされ、それぞれの歩み方で、今に至りる。
例えば、樂茶碗の“ものがたり”。
いったいどんな道を辿ってあなたの前へやってきたのであろう。
織田信長や豊臣秀吉が生きた安土桃山時代まで遡る。
その時代の中、千利休と樂家初代長次郎が出会うことにより物語は始まる。
唐物や高麗物中心だった茶碗の中、新たな和物茶碗をと、樂茶碗は生み出された。
利休から少庵、そして宗旦と続き、現在の三千家と繋がっていきます。樂家もまた、三千家のお家元と共に、歩んでいくこととなる。
始まりの“ものがたり”から、現在に至るまで約450年。
1つ1つの茶碗にも“ものがたり”がある。 なにもお茶碗に添うエピソードというのは、格式高く大層なものばかりではない。 人の手によって生まれた時から、その時代、その場所にいる人々が暮らしの中でお茶を飲み、人が繋がっていくことで、それぞれのお茶碗に“ものがたり”が積み重なっていくのである。 数百年も昔の出来事でさえ、目の前のお茶碗が紡いで見せてくれることがある。
本展では、茶碗が長い時間の中、様々な出会いを経て紡がれて来た“ものがたり”に焦点を当て、樂歴代の作品の数々を展観する。人から人へと大切にされてきた道具への想いも感じて頂ければ幸いである。
「Zoom de ぎゃらりー・とーく in RAKM」 館長 十五代吉左衞門・樂直入によるオンラインでのギャラリートークです。
普段の展示では目にすることができない、作品の高台、背面、見込み、印などにカメラで 接近し、制作者ならではの視点で解説します。 開催日時、参加方法などの詳細は美術館HP内「特別企画」ページにてご確認ください。
※「手にふれる樂茶碗鑑賞会」「特別鑑賞茶会」は、コロナ禍の為、休会致しております。状況が改善されましたら再開致します。