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第六回 【城南宮〜曲水の宴〜】雅な平安時代の歌会

2018/10/24

 

今回はこの写真の白拍子の舞人(まいびと)、舞花さんにお話しを伺いました。

 

曲水の宴で白拍子が舞うことについて

雅な歌会を催した歌人や公家が白拍子を招いたのだと思います。
その歌会を再現したのが曲水の宴です。

城南宮の曲水の宴では雅楽の越殿楽今様の歌をつけて舞っています。
越殿楽はお正月に神社で流れていたり、大変有名な曲です。

 

雅楽とは

雅楽は唐や高句麗から伝わり、現在は宮中方(宮廷・京都)、大きな団体では南都方(興福寺・奈良)天王寺方(四天王寺・大阪)などが伝承しています。

 

左舞(さまい)」は中国に由来しメロディのある曲で赤やオレンジの衣装の舞、
右舞(うまい)」は朝鮮に由来し、リズムのある曲、黄、緑の衣装の舞です。

雅楽の最初によく聴く「ホワーン」という音は「音取り(ねとり)」という音合わせ、そのあとのコンコンという音は「このペースで行きます」という合図です。

雅楽を勉強する際、通常は笙(しょう)、龍笛  (りゅうてき)、篳篥(ひちりき)の三管(さんかん)のいずれかを選びます。

次に絃楽器の琵琶、筝(そう)を学び、そして打物の楽太鼓や鉦鼓(しょうこ)、鞨鼓(かっこ)を学んでいき、舞楽もできるようになっていきます。

(現在、団体によっては舞だけを勉強するところがあったり、小さい子は舞を先にする場合もあります。)

 

衣装に関してはたとえば昔、お姫様は太って髪が長いことが豊かさの象徴でした。

そのため雅楽で使う衣装の長い裾は貴重な布をたくさん使えるという権力の象徴であり、より大きく見せたいという意味もあります。

 

また「雅楽演奏会」に行った場合、プログラムに「管弦」と書いてあるのは舞はありません。

「舞楽」と書いてあるのは舞メインです。

 

そして普段、私たちが使っている言葉の中には雅楽からきた言葉があります。
「塩梅(篳篥の吹き方で音が変わる奏法を指す)」「調子を合わせる」「打ち合わせ(トントンという音から)」
「左様でございます(左大臣なども左の方が格式が高い)」「うまい(右舞)」、

「むやみやたら」というのは「八多羅(やたら)拍子」という特殊な拍子からきています。

 

お姫様は通常、御簾の奥にいつも座っていて、筋肉もなく、沢山着させられていたため、動くときには抱きかかえられ移動しているお姫様もいたそうで、五節舞(ごせちまい)などを舞う事はとても大変だったそうです。それなのに天皇に見初められる可能性もある舞台に立つため緊張から倒れる方も多かったそうです。

 

人物は縦長なので縦に撮影すると無駄が省かれ主役が引き立ち、横に撮影するとその場の雰囲気も一緒に撮影できます。こちらの写真は三分割構図を使い撮影。

 

雅楽の見どころ


京都の奉納舞で良く見られる人気の曲は 童舞でデビューによく舞われる「迦陵頻(かりょうびん)」「胡蝶」、イケメンすぎて武将のため面をしている「蘭陵王(らんりょうおう)」「納曽利(なそり)」などがあります。

 

国風歌舞(くにぶりうたまい)」は皇室の儀式や神社の例大祭などで「人長の舞(にんじょうのまい)」や「東遊(あずまあそび)」が奉納されます。

天皇即位の礼の後の大嘗祭では「久米舞」や「五節舞(ごせちまい)」が舞われます。

 

奉納舞について

当日は儀式が粛々と行われていることが多く、舞はリハーサルなしで行うことが多いです。

舞台の大きさや床の感触が違い、長い裾なので畳に引っかかってしまい美しく見せるのが大変なときなどもあります。
城南宮の曲水の宴では晴れているときはお庭、雨の場合は神様がいらっしゃる場所により近い神楽殿に場所が変わります。

 

城南宮では雨が降ると神楽殿に移動し行事が行われます。観客の顔はなるべく映らないように配慮をし撮影。F値をさげてぼかすか現像の際にぼかしツールを使いましょう。

 

舞花さん、いろいろと解説ありがとうございました!

白拍子だけでなく、雅楽浪速神楽の剣の舞も舞われる舞花さんから貴重なお話しを伺うことができて光栄です!!

神社での奉納で聴く雅楽は音楽だけのときと舞もあるときがありますが、基本は音取りができるように最初は楽器から勉強し、最後は舞だとは知りませんでした。
音楽も舞のどちらも雅楽だというのも納得。

 

舞台を見る際、少しでも意味が分かると今までよりもっと楽しめます。
ますます舞台を観に行くのが楽しみになりました!

 

小雨が降り始めたときの歌題発表では傘の花が咲いた
城南宮では曲水の宴の起源といえる水辺のお祓いの行事「人形(ひとがた)流し」を行います。
普段立ち入ることのできない曲水の鑓水まで入ることができ、人形に自らの罪穢れを移して流します。

 

他の曲水の宴は場所によっては和歌だけでなく漢詩も賦する(ふする/漢詩を作ること)など、それぞれの趣向をこらしています。

 

風流な動く平安絵巻を見にぜひ一度、訪れてみてください!

 

F値を下げ手前の草をぼかして遠近感を演出。主題が引き立ちます。

スポット情報

店舗・施設名 城南宮楽水苑
住所 京都市伏見区中島鳥羽離宮町7
電話番号 城南宮 075-623-0846
営業時間 2018/11/3(土・祝) 14:00〜
交通 地下鉄・近鉄
「竹田駅」4番出口より、市バス「城南宮東口」下車
阪急車
「烏丸駅」より、地下鉄乗り換え「竹田駅」下車
「大宮駅」より、市バス18系統「城南宮道」下車
京阪
「中書島駅」より、市バス19系統「城南宮」下車、または
市バス南3系統、京阪バス6、京阪シティバス24・24Aにて「城南宮東口」下車
駐車場 あり(乗用車200台、バス20台)
料金 境内無料
ホームページ https://www.digistyle-kyoto.com/archives/event/196

地図

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ライター紹介

京都のことを愛しすぎて、住んでしまった 女性カメラマンが “ほんまもんの京の舞台”を撮る!一覧

ライター:佐々木美佳(ayse 愛謝 アイシェ)

舞台芸術を愛する元・ロックギタリスト。 中国在住時の「中国大連生活・観光旅行ニュース」ブログが人気となり、帰国後はカメラマンに。 京都の祭事や四季のうつろいを中心に「地球散歩の旅」満喫中。

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