酒造りの開始に備え、醸造の成功を祈願する
京都盆地の西部に拠点を置いた古代豪族・秦氏が一族の氏神として信仰した古社。大山咋神(おおやまぐいのかみ)と市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)の二柱を祀り、平安京遷都後は賀茂社(上賀茂神社・下鴨神社)とともに皇城鎮護の神として崇められた。古くから酒の神としての信仰を集め、境内の霊泉「亀の井」の水を醸造のときに混ぜると酒が腐らないと伝わる。 「上卯祭」は秋の収穫を終え、酒造りが始まる11月の上の卯の日に執り行われる神事。和洋の酒だけでなく味噌、醤油等、全国の醸造業者や卸小売の関係者が集まり盛大に祈願する。祭典中、茂山社中による狂言「福の神」が奉納される。「卯」の字は甘酒(うまざけ)を、「酉」の字は酒壺を意味しているとされ、4月の中の酉の日には醸造が無事に終わったことを感謝する「中酉祭」が行われる。