| 旧東奥義塾外人教師館 | 旧弘前市立図書館 | 弘前教会 | 弘前カトリック教会 | 弘前昇天教会 |
| 青森銀行記念館 |
弘前市内を歩くとたいへん綺麗な明治西洋建築に出会います。
どうしてこれほどまでに多くの西洋建築が残っているのか、 街を巡りながらそれぞれの歴史を訪ねて見ると、 大変興味深い歴史がそこにありました。
上)追手門広場の旧東奥義塾外人教師館
下)外人教師館内部(1階食堂)
追手門広場に残るこの旧東奥義塾外人教師館は、明治34年(1901)に建てられたものです。これは東奥義塾が招いた外国人宣教師用の住宅で、当時の生活ぶりを知ることができます。東奥義塾とは明治5年(1872)に津軽家の私的な学校として開学していますが、その歴史は古く、寛政8年(1796)、9代津軽藩主寧親の藩学校「稽古館」の開校にまでさかのぼります。後の12代承昭は新時代に対応する学問を学ばすために漢学や英学寮を設置し、東京などから多くの教師を招き入れます。明治4年の廃藩置県で「稽古館」は「東奥義塾」となり、その後も積極的に外人宣教師を招聘しました。レンガ積みの基礎に立つ木造2階建のこの建物は外人宣教師の住宅だったものです。
津軽家は、開国の機に海外の文化を積極的に受けいれながら、来るべき国際化社会に必要な人材を育て、この地の発展に寄与したといえます。ここ弘前には、新しいものを受け入れるという精神が今も息づいているように思えます。
青森県弘前市下白銀町2の1
開館時間:午前9時〜午後4時30分(ただし入館は4時まで)
観閲料:一般(高校生以上) 320円(210円)
     小・中学生    160円(110円)
      ( )内は20人以上の団体料金
※旧弘前市立図書館、郷土文学館も入館できます。
休館日:年末年始(12月29日〜1月3日)・館内整理日
交通:弘前駅から2.5km 徒歩約30分、バスで約15分、タクシーで約10分
外人教師館内部(2階ベランダ)
旧弘前市立図書館外観
追手門広場には、もうひとつ歴史的な建築、旧弘前市立図書館が残されています。設計・施工は、積極的に洋風建築を取り入れた弘前の棟梁、堀江佐吉が当たり、資金は事業で成功した、斉藤主らが提供しました。明治39年(1906)、市の文化発展のために寄付されたこのモダンな建築は、ルネッサンス様式を基調にした木造3階建で、屋根飾りや窓の形などが特徴的です。
パリノートルダム寺院の外観に似たこの教会は、東奥義塾と深い関わりがありました。1874年に教師として来日した、宣教師ジョン・イングのもとで勉強した生徒22人が洗礼を受けて、この弘前教会が生まれました。
22人の若者は、津軽の近代化のために活躍し、教育、政治、文化の幅広い分野で弘前の発展に寄与していくことになります。
弘前教会外観
礼拝堂内部
突然の取材にも関わらず、快く応えてくださった牧師の竹内さんから興味深いりんごにまつわるお話を聞きました。現在の王林や陸奥は、米国インディアナ州から取り寄せたりんごの木の子孫だそうです。「インドりんご」というりんごがありましたが、それが品種改良されたのが現在の弘前の西洋りんごだそうです。この「インドりんご」名の由来は、原産地のインディアナからとかイング牧師の名前からだと言われていますが、「印度」でないことは確かです。
弘前教会は明治8年(1875)に創建された東北で最初の教会です。現在の礼拝堂は明治39年(1906)に建てられ、双頭ゴシック洋式の建築として今も高い評価を受けています。この建築に関わったのは堀江佐吉の4男斉藤伊三郎でした。
礼拝堂(後部)
日本キリスト教団 弘前教会
青森県弘前市元寺町48番地 Tel:0172-32-3971
開館時間:午前10時〜午後5時(水曜、日曜は見学不可・要予約)
入場料:無料
左)弘前カトリック教会内部全景
右)弘前カトリック教会外観
弘前教会の近くに、1910年(明治43年)に建てられたロマネスク様式の緑の尖塔をもつ美しい教会があります。ここは明治5年(1872)、パリ外国宣教会のアリヴェ神父が布教を始めたところで現在の聖堂は明治43年(1910)オージェ神父が設計し、横山常吉によって建てられました。祭壇はオランダのアムステルダムにある聖トマス教会から特別に譲り受けたもので、ゴシック様式のものです。内部の「神の人間への救い」をテーマにしたステンドグラスも美しい教会です。
弘前カトリック教会
青森県弘前市百国町小路20 Tel:0172-33-0175
開館時間:午前9時〜午後3時(日曜午前は見学不可・要予約)
入場料:無料
会堂内ステンドグラス
左)弘前昇天教会外観 右)聖堂内のリード・オルガン
弘南鉄道の中央弘前駅近くにある弘前昇天教会は、レンガ造りの外部がとても美しい建物です。内部は青森ヒバ材を多く使った木組みの建築でとても落ち着いた内装です。地元の人たちからは「山道町の教会」といわれて、鐘の音とともに親しまれています。1921年(大正10年)に建てられたこの教会は、アメリカ人ジェームス・M・ガーディナーの設計で、施工は大工の林緑。外壁のレンガはイングリッシュ ボンド方式で積み上げられており、この教会を見ているだけならここが日本であることを忘れてしまいます。建物の最上部の聖鐘は、アメリカの信徒たちの協力でつくられ、長い船旅ののちにここ弘前に到着したそうです。またここには120年前のアメリカで製作された貴重な家庭用オルガンも宣教師とともに渡ってきています。
街に響く鐘の音、教会聖堂の中で響くオルガンの音。100年近く前に、どのような想いで弘前の人々はその音色を聞いていたのだろう。
日本聖公会東北教区 弘前昇天教会
青森県弘前市広前市山道町7
Tel/Fax 0172-34-6247
開館時間:午前10時〜午後4時(日曜、礼拝時は見学不可)
入場料:無料
聖堂内部
左)青森銀行記念館外観 右)青森銀行記念館内部
追手門広場近くには、もうひとつ 明治37年(1904年)に、旧第五十九銀行本店として堀江佐吉が施工した青森銀行記念館があります。現在、国の重要文化財に指定されているルネサンス様式の貴重な建物です。内部の見学も可能で、その重厚な内装は、力強さを感じずにはいられません。
青森銀行記念館
青森県弘前市元長町26番地
Tel:0172-33-3638
観覧期間:4月1日〜11月30日
観覧時間:午前9時30分〜午後4時30分
休館日:毎週火曜日
観覧料:一般(高校生以上)200円
    団体(25人以上)100円
    小・中学生 100円
    団体(5人以上) 50円
青森銀行記念館扉
ここ弘前では、異国の文化を積極的に受け入れた人々が、創造的に、力強く生き抜いてきた歴史を垣間見ることができます。それは、いつの時代においても、「未来への扉」を自らが切り拓いた弘前の人々の歴史です。
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