■有楽椿(侘助)
薄田泣菫の「侘助椿」によると、利休の時代の茶人・吸松斎宗全(還俗名・侘助)という人がこの花を大変愛玩したことから、「いつとなく侘助といふ名で呼ばれるやうになつたといふ」ということだそうです。侘助は花が開ききってしまわないのが特徴のようで、控えめな様が茶人の心をとらえたのでしょう。
■蝋梅
「東風吹かば匂いおこせよ」と菅原道真が歌ったのは蝋梅ではないでしょうが、「天神さん」ではバラ科の梅と並んで、ロウバイ科の蝋梅がほのかな香りを漂わせます。つまり梅と蝋梅は兄弟ではなく、桜と梅が兄弟のようですね。ちなみに桜は「散る」と言いますが、梅はなんと表現するかご存知ですか? 梅は「こぼれる」といいます。日本らしい繊細な表現ですね。
文・吉居ゆうき
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