喰呑処 はれる屋
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店内探索
店内に入って、いや、正確には入る前から、なにより目を引くのが、変な(?)ポスターたち。 よく見ると、これらはメニューである。
「ミックス皿うどん」「世にも奇妙なコロッケ」「パワー系豚キムチ」。
うさんくさいミネソタの州知事や、横浜在住の女性らの歓喜の声が書かれていたり、スタートレックのキャラクターがわざわざ解説してくれたり。
これらすべて、店長の手作りだと言うからすごい。
ポスターを穴が空くほど見つめたあとは、店内が気になる。
辺りに並ぶ、雑多なようで統率がとれているようなフィギュアたちや、やはりここもスタートレックのポスター、果てはトイレに至るまで、 これらはいったい何なのか、店長はもしやスタトレマニアさんなのかと思いきや、
「だいたい友人が買ってくる。なんやこれ? と思ったものはたいがいそう。これイケてるやんと思ったのは、俺」
だそうだ。
店長は富山の出身で、高校卒業後、料理人を目指して京都へ。 先斗町の「招月庵」というお店で働いていたが、縁があって独立。平成10年12月8日に北大路の地で「はれる屋」開店となる。 「はれる屋」という店名は宗教的な背景はさておき、「ハレルヤ」→「賛美する」と「晴れる」の二つを主な意味としてかけて付けられたそうだ。 客層はだいたい学生~社会人、ご近所の会社帰りのお客様で賑わうことが多い。
パワーあふれるメニューの秘密
いただける料理は、メニューは和洋折衷、なんでもあり。 店長曰く、「凝りすぎたメニューよりも、オーソドックス+オリジナル」、そして一言で言うなら「俺風」。 一見すると一貫性がなさそうだが、ラーメンが食べたい日があればカレーが食べたい日もあるように、人の好みはうつろうものとして、人の多面性をあらわしたメニュー群なのだそうだ。
そのメニューの中でやはりよく出るのは前述の「変なポスター」にも描かれている店長のお薦め三点。
「ミックス皿うどん(¥600)」と「世にも奇妙なコロッケ」こと「エビチリクリームコロッケ(¥500)」、「パワー系豚キムチ(¥550)」である。
それぞれに店長じきじきの一言をいただけた!
ミックス皿うどん 古くは中国から長崎に渡り、地元の人々に愛された味をちょっと和風に出来たらいいなぁーとの考えから生まれました。 |
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エビチリクリームコロッケ エビチリに、クリームに、コロッケときたらみんな大好きではないでしょうか? で、合体しました。 |
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パワー系豚キムチ 豚キムチは豚キムチでも、ここまで科学的にもパワーに満ちあふれた豚キムチはこれだけでしょう。まずはめしあがれ! |
このほか、「おこげのココナッツカレーあん」は、以前来店されたフィリピン人の女性が「マァースタ、私の家のカレーとよくにてるぅー」と大絶賛されたそうだ。中華風おこわに、ココナッツで甘みを増したカレーあんで、店長いわくオリエンタルテイスト。
変わったポスターで目を引くメニューだったが、普通のメニューもちゃんと用意されている。
しかしそこはそれ、ただですむはずがなく、メニューの横にやはり一言添えられている。 ちょっと栄養学的なことを書いてみたり、店長お得意のボケをかましてみたり、様々だが、たとえば「がん予防」とか書くのは、もちろん、その効用をアピールすることもあるが、それによって「ふーん、じゃあこれ食べよう」と、 品のアピールになったり、「へえそうなん?」とそこから話のタネになったりするためでもあり、「身体にいいから食べなさい」という押しつけがましさはない。 それらメニューには月替わりメニューと常時メニューがあり、常時メニューの年四回マイナーチェンジするそうだ。
器にも気づかいを
店内の食器はどれも統一感があり、こだわりがあるのかな、と思ったら、やはりあった。
店長自ら信楽へ買い付けに行かれるそうだ。
「自分の足を使ってせなあかん!」とは店長の弁。
料理を作った後でどんな器があうかな、と考えるときもあるが、器を見てこの器にはどんな料理が合うかを考えるときもあるので、 器は重要事項。しかし、置物にするだけの器は必要ない。「器は使ってなんぼ」。はい。
しかし、「使ってなんぼ」の器のディスプレイにも気を遣われているところが店長らしい。
ここは一つのコミュニティ
妙に笑えるポスターやメニュー、店内のインテリア、そしてこだわりの器や料理、どれをとっても茶目っけとまじめさが同居している感じである。
店長は、居酒屋といういろんな人に出会えるコミュニティーとしての、ひとつのきっかけ、たとえば友情やビジネスと出会うきっかけとしての店作りを心がけていらっしゃる。
これだけ雑多に置かれるフィギュアやポスターの中にあっても、落ち着いた雰囲気さえあるのは、店長の心意気ゆえだろうか。
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