並河靖之(1845・弘化2年~1927・昭和2年)は、明治・大正期に活躍し、帝室技芸員となった七宝家で、彼が営んだ「並河七宝」の《工場》と《店》からなる旧並河邸に2003(平成5)年4月より開設したのが、並河靖之七宝記念館である。
今季で18 年目の秋を迎えたが、館蔵品の七宝はもとより、近代和風建築の建造物や七代目小川治兵衛が作庭した庭園も文化財となり、多方面からも興味が向けられている。
明治維新後の波乱万丈の波に揉まれながら、稀代の七宝業を一時代で築き上げた「並河七宝」の人々の精美な技をご堪能いただき、彼らの魂が語る言霊に耳を澄ませ、心眼を開き、明治の代を生き抜いた靖之たちへ想いを馳せていただきたい。