国宝・重要文化財を含む至極の品々
畠山記念館は、昭和39年(1964年)、株式会社荏原製作所の創業者である畠山一清(はたけやまいっせい)(1881~1971)によって東京・白金台の閑静な地に開館した。
事業のかたわら、即翁(そくおう)と号して能楽と茶の湯を嗜む数寄者でもあった彼は、長年にわたり熱心に美術品の蒐集に努めた。
そのコレクションは、茶道具を中心とする日本、中国、朝鮮の古美術品で、国宝6件、重要文化財33件を含む約1,300件にも及ぶ。
即翁の蒐集品には、「即翁與衆愛玩(よしゅうあいがん)」との愛蔵印がある。
この言葉には、自らの蒐集品を独占するのではなく、多くの人と共に楽しもうとする即翁の意思を読み取ることができる。
本展覧会は、施設改築工事のため休館している畠山記念館の「與衆愛玩」という即翁の理想を分かち合うために、関西の地において初めて開催される展覧会である。
即翁の審美眼と美意識に触れ、彼が愛した茶の湯をはじめとした日本文化を末永く伝えていきたいという思いを共有する機会となれば幸いだ。