インディペンデント・キュレーターの小原真史が企画した本展では、第四回内国勧業博覧会跡地の岡崎エリアに位置する京都伝統産業ミュージアムを舞台に、日本における博覧会初の人間の展示施設となった「学術人類館」にまつわる新発見写真や世界各国で行われた同様の資料約1000点などにより、この時代の人々が植民地や異文化をどうイメージしていたか、またその欲望の所在を探る。
舞台芸術祭の一環として開催される本展は、観客とパフォーマーとの「見る/見られる」という関係性や、西洋の他者として位置付けられてきた身体の歴史をたどるという意味で、大きな意義をもつだろう。2025年大阪万博を控えた関西において、博覧会が幻視させてきた明るい未来像の陰の部分にスポットライトを当てることで、グローバリズムの綻びや人種差別の問題、国家イベントの意味を考えてみよう。