関ケ原合戦の後、世が落ち着きつつあった17世紀初頭、「かぶき者」と呼ばれる人たちが出現した。彼らは異様な風体をし、常軌を逸した思考をもつ者たちであった。その「第一」といわれたのが織田信長の甥にあたる織田左門頼長(道八)である(『当代記』)。現在では、漫画の影響で「かぶき者」といえば前田慶次の名を思い浮かべる人が多いが、歴史に埋もれた第一人者が存在していたのである。
今年は織田左門の没後四百年に当たる。それを記念して、今回の企画展では彼にゆかりのもの、そして数寄の世界の「かぶき者」ともいえる古田織部好みの茶道具を展示する。