渡邉のコンセプトのひとつは「相容れないものが出会う一瞬間を絵画の美しい状態として表すこと」だ。「異なるものの対立は人生で絶え間なく起こる。それを軋轢や不調和として見るのではなく、互いが輝くためのもっともインタラクティブでアクティブな瞬間としたい。」と渡邉は考える。激しいストロークと静謐な線が何層にも折り重なり、抽象と具象のはざまを行き交う構成と、油彩の艶やかさ、複雑な混色と光線によって見え方が変化する色彩は、観察者にも「官能性を働かせて見ること」を求める。
「私の絵はわからない絵画です。絵画は理解するものでなく、経験し感じること。見る人自身がクリエイティブな自分を発見するために、新たな選択肢を生み出す場にしたい。」