伝統的な陶芸の技術に、大胆な造形、ポップな色使いで現代的な感覚を加えた作品で、世界中から高い評価を受ける桑田卓郎氏の個展が、清水寺の非公開寺院「成就院」で開催中。春秋の一時期を除き通常は非公開の塔頭寺院と庭園をゆっくりと楽しめるチャンスだ。
江戸時代初期に建てられた成就院の大広間には、金やプラチナ、色とりどりの釉薬と造形で表現された桑田氏の作品が並び、その奥には、国の名勝に指定される借景式庭園「月の庭」が広がって、伝統と前衛が混在する実験的なアート空間でありながらも、じっくりと作品に向き合える寺院ならではの落ち着いた雰囲気。もうひとつの会場である経堂では、釈迦三尊像を囲むように大型の作品が並び、圧倒的な存在感を放っている。清水寺の新しい魅力に出会えるユニークな展覧会だ。