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ことり会が食す! ジェイアール京都伊勢丹"京味"で見つけた京の美味♪



12 月はわたくし、ライター椿屋がレポート担当です!

ご紹介するのは、真摯な京漬物づくりに取り組まれている京漬物屋さん。その「茎屋」さんは、東寺近くにある小さなお店。創業は20年前で、老舗の多い漬物業界では一番の若手なんだとか。なんでもご主人、元はレコード販売会社を営まれていたという経歴ながら、趣味が嵩じて漬物屋を始めはったそう!お母様のレシピを受け継ぎ、ご自宅で白菜の漬物を愉しんでいたところ、周りの友人たちの間で評判となり、とあるお店でお茶請けに使ってもらうように。そこを訪れていた全国を飛び回るバイヤーさんの目に留まり、ぜひ百貨店に!というオファーを受けたことが、漬物屋を始めるきっかけというから驚きです。

新宿の伊勢丹さんをはじめ、全国の百貨店に置いてもらうようになって、と聞くと順風満帆のようですが、「最初の5.6年は食べていけず......」なんて本音も。それでも「いろんな人の力で漬物屋をさせてもろてます」という言葉通り、本当に丁寧なお仕事ぶり。売り手の顔が見えない商売はせず、全て手作りゆえに大量生産はできないけれど、徹底した無添加主義で野菜本来の美味しさを引き立たせる商品をたくさん生み出してらっしゃいます。使う野菜の多くは、契約農家の無農薬有機栽培や、農薬・化学肥料を通常の半分以下で育てた特別栽培のもの。寒干しした大根を昔ながらの製法で漬け込む「昔たくあん」に使う米ぬかは丹後の契約農家から、味をまろやかにするために「すぐき」に加えるリンゴ果汁は青森から。さらには、納得のいく食材が手に入らない年は定番商品でさえも「作らない」という選択をするほど。年に5、6回は自ら農家へも出向くという誠実さです。

甘い・酸っぱい・しょっぱいといった味の微妙な匙加減を、添加物を使わずに作り出す工夫にも熱心で、出汁ひとつとっても、かつお・昆布・しいたけといった材料の配合を繰り返して目指す味を作っていきます。無添加で作るということは、手間と時間とコストがかかるということ。ご主人の三輪さんは「趣味でやっているようなものですから、自己満足で開発しています」なんておっしゃいますが、すべてはお漬物への愛がなせる業ですよね。

まずは塩漬けにした四葉胡瓜をしば漬けにしてから、さらにたまり醤油と米麹で漬け込み、和がらしを練り込んだ「からし胡瓜」は、歯触り抜群で、噛めば噛むほど味わいが口の中いっぱいに広がります。これ、茄子バージョンもあって、お酒のアテにももってこいです!さらに、大根・胡瓜・茄子・みょうが・生姜のしば漬け「五色浅しば」は、梅酢を使っていてあっさりとした仕上がり。試食中、いろんなお話をしてくださっていたご主人が、最後に「もっと美味しいお漬物を作りたい」とおっしゃっていたのが、とても印象的でした。