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百味會

山里で生れた山の豊かなしぐれ煮

山里の昔ながらの常食がおみやげに

叡山電鉄もまだ通っていなかった明治の中頃、京都や地方から鞍馬寺参りに来る人たちの土産として売り出されたのが山菜を塩漬にしたものだったらしい。つまりは、村人たちの常食として親しまていたものだった。
それをここの初代が、保存に適した物をと考え、昆布と醤油、山椒の実と葉を用いてしぐれ煮風にし、山椒の香りがよく効くようにと細かく刻んだ珍味佃煮を考案した。当然、その材料はこのあたりで採れるものだったし、参道沿いの小規模な店から出発した。それがいまや、全国にその名を知られる鞍馬の伝統的名品となった。
なお、この木の芽煮のほかに、山椒の実と昆布を炊き合わせた辛口の山椒昆布、粒山椒をしぐれ煮にした辛口の実山椒、香り高い山椒の葉を刻んで煮た葉山椒、山椒のなかでは最高の風味をもつという花山椒など、山椒の香りをいかしたさまぎまな製品が開発されている。また、歯切れのいい蕗しぐれ煮や、甘辛い椎茸しぐれ、山ふきと山椒の実に竹の子と昆布を薄口醤油で煮た鞍馬しぐれなどもあり、製品はじつに多岐にわたる。いずれも、白いご飯にのせてぐいぐいかき込むのに最適のおかずだ。おみやげにも進物にも最高の鞍馬名物として喜ばれていて、各種のセット商品も用意されている。

山里の素朴な味が現代人にも愛されて…

木の芽煮というのは、昔はこのあたりの常食として食べられていたものです。山の中で当時は食べ物の種類も少なく、逆に山菜などは豊富にありましたから、それらを塩漬にして日頃のおかずにしていたわけです。そして、それに多少の工夫を加えて、鞍馬寺詣での参詣客相手に細々と売りはじめたのが、いわば当店の創業でした。その当時は、鞍馬といっても、観光地というにはほど遠く、それこそ信心の厚い参詣客相手がほとんどでした。
戦後になって鞍馬は観光地としても発展し、観光客や行楽客も数多く訪れるようになり、おかげさまで木の芽煮の需要も増えました。さまぎまな製品を開発するようにもなりました。しかし、その一方で、かつては無尽蔵だった鞍馬の山菜も不足がちになり、いまでは各地から仕入れています。それでも国産のみで輸入品は使っておりません。それがこだわりといえばこだわりでしょうか。ともかくも、昔の村人たちがいわば“ご飯の友”として親しんだ素朴な副菜を、現代の人たちが珍味として愛していただけていることは、これにまさる喜びはありません。

   
創      業◇明治20年(1887年)
商      号◇有限会社渡辺木の芽煮本舗
所 在  地◇京都市左京区鞍馬本町248
電      話◇075-741-2025
ファ ク ス◇075-741-1386
営業時間◇午前9時~午後5時
定 休  日◇不定休