「御洲濱司」の暖簾を守り続ける 植村義次 |
葵祭に御神饌として供えられる銘菓「洲濱」 創業は明暦三年(一六五七)。創業時の屋号は「近江屋」で、初代・善兵衛は近江の出身であった。当初から御所の斜め向かいに店を構えており、長きにわたって「御洲濱司」の暖簾を守り抜いてきた。そして、大和郡山の公卿・植村家から、長年の功績が称えられ、植村の姓を賜ったと伝わっている。 植村義次は、京都で唯一「洲洛」を専門につくり続けてきた店である。洲浜という菓子の起源をたどると、鎌倉時代につくられたともいわれ、和菓子の中では本来スタンダードな部類に入る。水飴と砂糖、大豆の粉を練り合わせ、断面が、正月の蓬莱や婚礼儀式に使われる島台(洲浜台)の形になるように成形されているのが特徴だ。葵祭の際、下鴨神社の御神饌として数百年にわたって供えられ続けていることからも、評価の高さがうかがえよう。この他、洲濱の生地を、そら豆のような形にひねった「春日の豆」がある。植村義次では、長い間これら二種類の菓子だけをつくり続けてきたという。 そうしたなかで、現十四代目当主は、時代に合った洲浜生地の使い方も工夫している。その中のひとつが、白い正方形の落雁地に洲濱で四季折々の模様を描いた「押物」である。春には「春の山」、秋には敷紅葉などを象った洲濱が落雁を彩り、雅やかな菓子として人気を集めている。 |
洲浜の奥深さを感じながら |
創業◇明暦三年 商号◇植村義次 所在地◇京都市中京区丸太町通鳥丸西入ル 電話◇075-231-5028 ファクス◇075-231-085 営業時間◇午前9時半~午後6時 定休日◇日祝日 予約◇洲漬のみ前日までに要予約 |
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