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百味會

伝統の味は守り、新しい試みにも挑戦する

海外旅行先で考案された新しい和菓子

先々代が寺町二条のかぎやで修行を積み、暖簾分けを受けて大正五年(一九一六)に創業した。したがって、その伝統は元禄年間以来のものともいえる。たとえば、代表商品のひとつの「ときわ木」は、つぶ飴を薄く延ばして焙炉焼きで仕土げた菓子だが、これは本家から伝承されたものという。老松を思わせる風趣があり、茶菓として人気が高い一品だ。
また、同じく代表的銘菓として人気の野菊は、京菓子にもかかわらず地中海アーモンドを入れた豆落雁。これは、外国旅行が好きだった先代が、なんとか外国の素材を入れて和菓子ができないものかと考案したわけで、そういう先取も旺盛だ。外国旅行好きということでは、店の看板は先代がわざわざ中国まで行ってつくったものという。
もうひとつの代表商品が黄檗。粟羊羹に豆の粉をまぶしたもので、名前からも連想できるように唐菓子めいた古風なイメージがあるが、お茶にもお酒にもあう。なお、このときわ木、野菊、黄檗柴の三つを詰め合わせた百万遍かぎやの銘菓三撰を「洛三彩」と称している。昔ながらの伝統の味と、新しさにチャレンジした味を、合わせて楽しめるのが喜ばれているようだ。

伝統を守って進取を生かすのが老舗の使令

京という町は、素晴らしいところですが、難しい土地でもあります。たとえば、その季節感は他のどのようなところにもない繊細さがある一方、環境を含めて町そのものの変化はありません。それだけに京の人たちは、味覚や感覚が繊細ですが、他方では辛抱強くて頑固ともいえます。
ですから、伝統的な京菓子は他の地方にはない独特のお客様がついています。その意味では、京の菓子屋はお客さまに守られているといえますが、逆に言えばそのお客様は厳しくて怖い存在です。伝統の味が変われば、お客さまから叱られ、店から離れてしまいます。けれども、暖簾だけにあぐらをかいた商いをしていれば、これまたお客さまは離れます。
私どもとしても、まず暖簾に伝わる老舗の味を守ることを大切に考えています。少なくとも先代の顔をつぶすことはできません。しかし、時代に対応しながら、新しい菓子をつくる努力を続けていかなければなりません。最近では、本を見て来たという若い人もよく来店されますし、学生さんなどが敬老の日に祖父母に送ってほしいとかでもよく来られます。伝統を守って先取を生かすというのは時間のかかる作業ですが、それをクリアしてこその老舗だと思っています。

   
創      業◇大正五年(1916年)
商      号◇有限会社かぎや政秋
所 在  地◇京都市左京区百万遍角
電      話◇075-761-5311
ファ ク ス◇075-761-5313
営業時間◇午前9時~午後6時
定 休  日◇日曜日
予       約◇要予約