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百味會

日本古来の伝統の香りを守り伝える

原了郭

香り高き香煎の名品をつくり続ける

初代当主の原儀左衛門道喜は、赤穂義士・原惣右衛門の子として生まれた。初代は浅野家の家臣を勤めた後、香煎の処方を学び、号を了郭と定めて、元禄一六年(一七〇三)に原了郭を創業。香煎とは、陳皮や茴香などの香りのある素材を粉末状に加工し、白湯に入れて飲用するもので、かつては一般庶民の間で広く飲まれていたという。
創業以来、同店は最高品質の香煎を開発・製造し、宮内庁御用品に指定されるなど、古くから高い評価を得てきた。代表的な商品としては、乾燥させた大葉と焼き塩を合わせた「青紫蘇香煎」があげられる。白湯に混ぜてしばらくすると湯が淡い緑色に変化し、紫蘇の香りが立つ逸品で、茶席の待ち合いなど、茶事によく用いられる。
香煎を専門に扱う同店は、全国的にも希少な存在であり、すべての商品は一子相伝の独自の製法によってつくられる。そして現在は、原了郭十三世の名を継承した若き当主が、伝統の香り豊かな香煎をただ一人で製造している。香煎ならではの香りや味はいまも愛され続けており、京の伝統文化の一つとして、大切に守られているのである。

すべての工程を昔ながらの手作業で行う

私は、二十一歳のとき当店を受け継ぎましたが、幼少のころから先代が香煎をつくっている様子を見て育ち、小学校高学年のころには、手伝いをしながら製法を学び始めました。そのため、すでに四半世紀以上、香煎づくりに携わってきたことになります。当家に代々伝わる家訓は「香りを一番大事に製造する」ということで、私も常に香煎の特徴である微妙な香りを醸し出せるよう努力しています。
すべての工程を手作業で行っているため、大量に生産するのは不可能です。また、天候など諸条件の変化にも影響を受けるので、受注する際には日数の余裕をいただくようにしております。材料に関しては、自分の目や鼻、舌で納得できるものを厳選したうえで使用しており、材料を良い状態で保つため、仕事場には一切の冷暖房器具を置いていません。そして、季節の違いによる作業上の微妙な加減は伝授された方法と私自身の「勘」によって行っています。
当店の商品はすべて「香り」が命ですから、良い香りを出すために、細かく砕く、炒る、練る、といった一つひとつの作業に充分な手間隙をかけています。手作りのよいところは、「心」をもった人間がつくっているところであり、心のこもった商品は、必ずお客様にも喜んでいただけるものと信じております。今後も、伝来の技術をさらに磨き、香り高い香煎をつくり続けていきたいと思います。

   
創業◇元禄十六年(1703年)
商号◇原了郭
所在地◇京都市東山区祇園町北側267
電話◇075-561-2732
ファクス◇ 075-561-2712
営業時間◇午前10時~午後6時
定休日◇木曜日