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百味會

永い歴史を通じて築かれた確固たる信念

松前屋

御用所として、格式高い
最高級の昆布製品を開発

松前屋の現当主である三十三代目小嶋文右衞門氏の家系は、鎌倉時代の下野(現在の栃木県)の武将・小山朝政の系統までたどることができる。姓の嶋に山へんを使用しているのは、小山の血を引いているためであり、家の歴史は約八〇〇年にも及ぶ旧家である。
南北朝時代、当時の主人は南朝方に属し、後亀山天皇に従って京に上がった。やがて北朝の時代が訪れてからは官を辞し、御所への諸品調達係として宮中に仕えることとなる。時に元中九年(一三九二)、小嶋家は天皇から「松前屋」の屋号と「文右衛門」の名を賜り、同時に諸役御免除・名字帯刀を許される。以来、明治二年の東京遷都まで約五〇〇年に渡り、松前屋は皇室と共に歩み深く関わってきた。
日々の調新をはじめ諸々の儀式に使う昆布ほか、様々な品を納めてきたという。そして、天皇家が東京に移ったあとは、高級昆布製品を一般に向けても販売するようになったのである。代表商品の「比呂女」は、道南最高品の真昆布を使用し、約六年の歳月をかけてつくられる。まず、五年間蔵で寝かせた後、1ケ月かけて米酢で丁寧に戻す。良い部分だけを短冊に切り、じつくりと炊き上げる。これを、さらに一年間かけて自然発酵させることで、「比呂女」のまろやかな滋味が醸し出されるのである。

こだわりと誇りをもって京の老舗ならではの商品をつくる

私どもは、創業以来長く御所に仕えてきたため、原料や包装、技術など、すべてにおいて高級志向を貫いてきました。明治に入ってからも、基本方針は変えることなく、最高級の昆布製品だけをつくり続けました。こうした努力が、結果的には、大きな信用を築き上げることにつながったものと信じております。
本当に良いものをつくり続けていくためには、「こだわり」と「誇り」を持つことが不可欠です。その意味で、京都の老舗は、拡大主義による「ナンバーワン」を目指すのではなく、こだわりと誇りをもって「オンリーワン」を目指していくべきではないでしょうか。言い換えれば、京都ならではの技術や文化、伝統を盛り込んだ商品を、高い感性をもってつくるところに、京都の老舗としての価値があるということです。私どもとしては、松前屋でなければつくれない商品づくりに、今後も取り組んでいくつもりです。
京都の将来に関しては、観光ではなく文化都市として再生すべきだと考えています。そのためには、京都の人間がまず、伝統を伝えていく義務を再認識しなくてはなりません。私どもも、京都の老舗の暖簾を守る者として、京の未来のために尽くしていきたいと思います。

   
創業◇元中九年(1392年)
商号◇松前屋
所在地◇京都市中京区釜座通丸太町下ル
電話◇075-231-4233
ファクス◇ 075-231-6660
営業時間◇午前9時~午後6時
定休日◇日曜・祝日